~RXファミリとしては初めてCAN FDを搭載し、産業機器やロボティクス分野での高速通信を可能に~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、32ビットマイコンRXファミリの新製品として、家電、産業機器向けに、ノイズ耐性に優れる5V電源に対応した「RX660」を発売、量産出荷を開始しました。ハイエンドのRXマイコンでは初の5V対応製品であり、初めてCAN FDを搭載しました。一般的に3V駆動の場合、ノイズの影響を抑制するために、ノイズ対策部品を外付けする傾向にあります。5V対応のRX660を使用することによりそれらが不要となるため、ユーザは製品の品質の向上と、トータルコストの削減を図ることができます。
昨今、システムの機能安全やセキュリティの重要性が増し、ソフトウェアが大規模化しています。また、製品のモデル数の増加に伴い、ソフトウェアメンテナンスを容易にするためにリアルタイムOSの搭載も進んでいます。さらに、OTA(Over the Air)による将来の機能拡張に備えてバッファも考慮する必要が生じています。RX660は、これらのニーズに応えられるよう、RXv3コア(6.00 CoreMark/MHz)を搭載し、最大動作周波数は120MHzと、高い演算性能と動作時の低消費電力を両立しました。メモリは大容量のROM(最大1MB:メガバイト)、RAM(最大128KB:キロバイト)を搭載し、豊富なパッケージ(48ピン~144ピン)を用意しました。特に、汎用IOピンの有効端子数を従来の5V対応製品RX210から約10%増加しました。例えばRX660の144ピンでは、RX210から11ピン増加の134ピンが有効端子となり、同一パッケージで接続できるセンサ数を増加させることができるなど、システムのアップグレードの容易化に貢献します。
ルネサスのIoTプラットフォーム事業部の事業部長、伊藤 栄は、次のように述べています。「家電や産業用製品は、周囲の電磁波の影響で誤動作や性能の低下などを招く恐れがあるため、ノイズ対策は必須と言えます。新製品は、電源、電圧の高い機器を開発されるお客様からの根強い要望に応えて開発しました。これにより、お客様の機器設計が楽になるお手伝いができれば嬉しく思います。」
ダイキン工業株式会社のグローバル調達本部、グループリーダーである山田 栄輔氏は、次のように述べています。「ダイキンでは10年以上に渡り、主力の空調製品にRXマイコンを使用しており、今回のノイズ耐性に優れた新製品を心から歓迎します。RXマイコンはCPU性能に優れているだけでなく、リアルタイム性を引き出すフラッシュメモリや、プラットフォーム化を考慮したピン互換など、私たちが必要とするマイコンを具現化していると言えるでしょう。」
RXファミリで初めてCAN FDに対応
産業機器やロボット制御分野においてCANが普及しつつありますが、センサの増加などによるデータ通信量の増大で、高トラフィックによる帯域不足、複数バス化によるコスト増などが課題になっています。そこでRX660は、RXファミリでは初めて高速かつ大容量通信に対応するCAN FDコントローラを搭載しました。これにより、データ量の大きなセキュリティ信号も1フレームで送信できるようになるため、機器のセキュリティ強化を図ることも可能です。
2種類の開発ボードを用意
プロトタイピング用と詳細な評価用に、2種類のボードを用意しました。安価なプロトタイピング用のターゲットボード「Target Board for RX660」により、ユーザは簡単にアイデアを形にすることができます。詳細な評価用の「Renesas Starter Kit for RX660」により、ユーザはRX660のフル機能を使ったアプリケーションを開発することができます。
ウィニング・コンビネーション
ルネサスは、RX660と電力変換回路用の各種アナログ、パワーマネジメントデバイスを組み合わせて新たなウィニング・コンビネーション「常時インバータ給電方式UPS(無停電電源装置)」ソリューションを実現しました。主な電力変換部(インバータ、降圧レギュレータ、バッテリ用昇圧レギュレータ、PFC)をRX660の1チップで制御するシンプルな設計で、Bluetoothによる遠隔モニタリングも可能です。ルネサスはこの他にも、ユーザの設計を加速させ、より早く市場に投入できるよう、ルネサス製品のポートフォリオを組み合わせた300種類以上の「ウィニング・コンビネーション」を開発、提案しています。詳しくは、こちらをご覧ください。https://www.renesas.com/win
RX660の詳細については、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/rx660
以 上
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