2015年2月26日

 無線自動変換器ソリューションとSiF(Systems-in-Foil)のための独立系の オープンイノベーション研究開発センターであるImec、ホルストセンター(Holst Centre、所在地:オランダ アイントホーフェン市、CEO:Luc Van den hove)とルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)はこのたび、最先端のデバイスや回路技術の研究成果が発表される「国際固体素子回路会議(ISSCC: International Solid-State Circuits Conference、会期:2015年2月22日~26日、会場:米国サンフランシスコ)において、Bluetooth® Low Energy (BLE)とIEEE802.15.4 (ZigBee)に対応した2.4GHzの超低消費電力RFトランシーバを発表いたしました。このRFトランシーバは、40nm(ナノメートル)を用いて 設計し、前世代の90nmのものと比較して電源電圧で20%、消費電力で25%、チップ面積で35%の削減を実現しました。

 「ヘルスケアからスマートビルディングまで、通信網と接続したワイヤレスセンサが日常生活のあらゆるところに使われ始めています。」とimecのUltra Low Powerの部門長であるHarmke De Grootは述べています。「RFトランシーバはシステム全体の消費電力の大部分を占め、これらの新しいアプリケーションにおいて重要な構成要素となっています。さらに、低コスト、小型化によって、環境に自然にとけ込んだ小型センサの開発が加速されるでしょう。超低消費電力RFトランシーバによって、センサの自立、質、機能、性能を向上でき、ひいてはバッテリサイズやシステムを小さくできることにより、快適なウェアブルシステムを構築することができます。」

 Imec、ホルストセンターおよびルネサスが発表したRFトランシーバは、デジタルベースバンド(DBB)、マイクロコントローラ(MCU)を集積するとともに、デジタル回路で強化されたRFアーキテク チャを採用することによって、世界トップクラスのエネルギー効率を達成しました。加えて、1V以下で動作する低電圧回路技術を用いることで、受信時 3.7mW、送信時4.4mWと世界最小の低消費電力を実現しました。さらにデジタル回路多用のアーキテクチャにより、アナログコア面積を1.3mm²に削減し、DBB/MCU/SRAMの面積は1.1mm²を実現しました。

 40nm CMOSプロセスを採用したRFトランシーバは、センサネットワークに最も広く使われる規格であるBLEとIEEE802.15.4に対応します。2点変調型全デジタルPLL(AD-PLL:All-Digital Phase-Locked Loop)を使った高速キャリア周波数オフセット(CFO)補正により、CFOのばらつき耐性を±20ppmから±60ppmまで拡大しました。また、 AD-PLLを使うことで、面積縮小とさまざまな自動キャリブレーションが可能となっています。30.8%のパケットエラー率(PER)となるBLEの最小受信感度は-93.5dBm (規格-70dBm以下)です。また、高速自動利得調整回路により、最大受信レベルは-5dBm (規格-10dBm以上)となっています。隣接チャネル妨害波耐性もBLEの規格を十分なマージンをもって達成しています。

 本原稿は、ISSCCの論文番号13.2にて発表する「A 3.7mW-RX 4.4mW-TX Fully Integrated Bluetooth Low-Energy/IEEE802.15.4/Proprietary SoC with an ADPLL-Based Fast Frequency Offset Compensation in 40nm CMOS」に基づいています。

以 上

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*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

Imecについて

Imecはナノエレクトロニクスの研究に関して世界をリードする独立した研究機関です。Imecは、ICT(情報通信技術)、ヘルスケア、エネルギーの分野で世界的なパートナーシップを持ち、その革新的な能力で、科学的知見を高めています。

Imecは、産業界と結びついたテクノロジーソリューションを提供しています。

独特なハイテク環境を備え、世界トップクラスの技術力で、持続可能な社会におけるより良い生活のための基礎技術開発を行っています。Imecの本部はベルギーのルーベン市にあり、オランダ、台湾、米国、中国、インドに支所があります。Imecのスタッフは約2,000名(駐在研究員、客員研究員約600名を含む)です。Imecの2011年の歳入は約3億ユーロです。Imecに関するさらに詳細な情報は、 http://www.imec.be でご覧いただけます。

IMECは、下記の会社の登録商標です。IMEC International ("stichting van openbaar nut”として、ベルギーの法律で設定された法人) 、IMEC Belgium (IMEC VZWとしては、フランダース政府によってサポートされる)、IMEC the Netherlands (Stichting IMEC Nederlandとしては、Holst Centreの一部は、オランダ政府によってサポートされています)、IMEC Taiwan (IMEC台湾の会社)、IMEC China (IMECマイクロエレクトロニクス(Shangai)有限公司)、IMEC India(アイメックインディアプライベートリミテッド)。

ホルストセンターについて

Holst Centreは、無線自動変換器ソリューションとSiF(Systems-in-Foil)のための独立系のオープンイノベーション研究開発センターで す。Holst Centreの主な特長は、共有ロードマップとプログラムを中心とした業界と大学とのパートナーシップモデルです。Holst Centreが科学戦略を業界のニーズに整合させることができるのは、この交流のためです。

Holst Centreは、オランダ経済省とフランダース政府の支援を受け、2005年にimec(ベルギーフランダース)とTNO(オランダ)により開始されまし た。研究・開発のオランダ人の先駆者でPhilips Researchの最初のディレクターであるGilles Holstにちなんで命名されています。

同社は、High Tech Campus Eindhovenにある最先端のオンサイト施設の恩恵を受けています。Holst Centreは、約28カ国から180名超の従業員を抱え、45以上の業界パートナーから協力を得ています。


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