業界初のモバイル機器向けUSB-C™コンボバックブーストバッテリチャージャを発売

ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長兼CEO:呉　文精、以下ルネサス）は、このたび、リバーシブル形状のUSB Type-C™コネクタケーブルを使用して、ノートPC、ウルトラブック、タブレット、パワーバンクのNVDC（Narrow Voltage Direct Charging）充電とHPBB（Hybrid Power Buck-Boost）充電(Bypass充電)の両方をサポートする業界初のUSB-C™コンボバックブーストバッテリチャージャを発売したことを発表します。ISL9241はファームウェア制御によりNVDCモードとHPBBモードの切り替えが可能で、広範囲の電力レベルを効率的に処理できる低コストかつ省サイズのソリューションが実現できます。ルネサスの先進的な回路制御テクノロジR3™を活用し、優れた軽負荷時効率と高速の過渡応答により、バッテリの駆動時間を延ばします。内部レジスタの設定で充電モードを切り替えることができ、HPBBモードではより小さいインダクタを使用することが可能です。それによって、複数の電力レベルにおいてより高い効率を実現できます。

　ISL9241は、バッテリ充電、システム電圧レギュレーション、および各種保護機能に対して、Nch FETを使用することにより、高い効率とBOMコストの最適化を実現します。また、バッテリ単体のみ、アダプタ単体のみ、さらにその両方が接続された場合でも動作します。従来型アダプタ、トラベルアダプタ、およびUSB Type-Cポート 給電(USB-PD)からのDC電圧を受けて、最大で4セルのリチウムイオンバッテリを安全に充電することができます。NVDCモードでは、ISL9241はシステムへの供給電源としてアダプタまたはバッテリのいずれかを自動的に選択します。さらに、NVDCモードでは、ターボモードもサポートします。これにより、システム電流が増加して、アダプタ電流が設定されたリミット値に達した場合、BGATE FET(バッテリとシステムを接続するNch FET)をオンにして、バッテリからシステムへの電流を補うことができます。システムコントローラのファームウェアが、HPBBモードに変更するまでは、初期状態としてNVDCモードで起動します。ハイパワーが供給可能なHPBBモードでは、バイパスモード、バイパスモードとバッテリ充電、リバースターボブーストモード、リバースターボブーストモードとバッテリ充電がサポートされます。

　ISL9241は5Vから20VをUSB Type-Cポートから出力可能（OTG:On-The-Goモード）で、リバースバック、リバースブースト、またはリバースバックブーストとして動作します。これにより、少ない損失で急速充電が可能なPPS（Programable Power Supply）モードがUSB-PDによって実現可能です。また、PPSモードではISL9241をバイパスして、直接バッテリを充電することも可能です。ISL9241の再設定可能な充電アーキテクチャにより、USB PD3.0に完全に準拠した複数ポート構成を設計することができます。複数のデジタルテレメトリ、フォルト監視、保護機能も提供されています。さらにISL9241はサプリメンタルパワーモードも搭載しており、入力コンデンサに蓄えられたエネルギを、より高出力が必要となったシステムへ放電できます。

　ルネサスのバッテリー・オプティカルシステム事業部長、Andrew Cowellは次のように述べています。「ISL9241 コンボバックブーストバッテリチャージャは、最適なシステムパフォーマンスと最大の効率に加え、非常に柔軟なソリューションを提供いたします。ルネサスは、より小型なフォーム・ファクタとロングバッテリライフによって、モバイルコンピューティングOEM業界のお客様の製品を差異化するパワーマネジメント分野のイノベーションを常に提供し、信頼をいただいています。」

　ISL9241は、バックブースト電圧レギュレータ「ISL95338」、USB PDコントローラ「R9A02G011」、USB PDコントローラ「R9J02G012」、およびバッテリの状態を監視する電源管理IC「RAJ240045」と組み合わせて使用することが可能で、USB-C PD3.0とバッテリチャージャの完全なソリューションとなります。