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自動運転に向けた運転支援システムのニーズをオールインワンで提供するセーフティマイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」を発売

~安心・安全・快適なクルマ社会の実現に貢献~

2014年11月6日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび安心・安全・快適なクルマにつながる運転支援システムの実現に向け、センサ・フュージョン、ゲートウェイ、シャシーシステム用途に40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)プロセスを採用した車載用32ビットマイコンとして、「RH850/P1xシリーズ」のハイエンド版となる「RH850/P1x-Cシリーズ」を2グループ製品化し、「RH850/P1H-C」、「RH850/P1M-C」の名称で2015年2月からサンプル出荷を開始いたします。

 近年、自動車の自動運転に向かい、運転支援システムの高度化が急速に進んでいます。ルネサスは、その実用化に向け、4つのソリューションが必要であると考えています。

(1)「セーフティ:運転支援システムが安全で正常に動作していることを常に監視し、万が一異常が起こった場合にでも安全を確保できるような機能安全が必要になります。多くのシステムでは自動車向け機能安全規格ISO26262において最も高い安全要求レベルとなるASIL D(注1)への対応が必要となります。

(2)「セキュリティ:自動運転に向け、道路状況などの情報を得るため社会インフラとの通信によるIT化が進むにことにより、外部からのハッキングに耐え得る高い堅牢性やセキュリティ対策も必要になります。

(3) センサ:運転中のあらゆる状況に対応するため、カメラ、レーザなどより多くのセンサからの情報を収集する必要があり、プログラムメモリの大容量化、処理の高速化も必要となります。

(4) ネットワーク:センサからの情報をもとに、運転支援に係わる様々なシステムや運転支援システム同士をつないで協調した制御を実現できるコネクティビティが必要となります。

 ルネサスはこれまで、グローバルなマイコンリーダとしての経験を活かし、これらのニーズに応えるソリューションとして、「RH850/P1x-Cシリーズ」を開発いたしました。

 新製品は、(1)「セーフティニーズへの対応として、「安全ソリューション」:機能安全(ISO26262)に対応する機能を多数搭載、(2) セキュリティニーズへの対応として、「安心ソリューション」:ハードウェアセキュリティモジュールの搭載、(3) センサニーズへの対応として、「高機能・高性能化ソリューション」:大容量メモリと高性能CPUの搭載、(4) ネットワークニーズへの対応として、「コネクティビティソリューション」:豊富な通信機能を搭載、など運転支援システムの実用化に向けた4つのニーズに応える機能を1チップに搭載し、運転支援システムを実現するオールインワンのソリューションです。

 新製品の量産は、2016年09月より開始し、2020年01月に月産200万個を計画しております。エミュレーションデバイスのサンプル価格は108,000円となっております。

 新製品は、運転支援システムの高度化レベルに合わせ、メモリサイズ、パッケージ等のラインナップを取りそろえており、システムのニーズに柔軟な対応が可能です。更に、システム開発を支援するため機能安全解析ツールやパートナーと協業したモデルベース開発環境等のソリューションも今後提供していきます。

 運転手にとってより快適な自動車の実現に向け安心・安全に対するニーズはますます高まっています。ルネサスではこれらニーズに対応するため、次世代の車載システムの新たな価値にむけたソリューション開発に今後も取り組んでいきます。

 「RH850/P1x-Cシリーズ」の特長の詳細は以下の通りです。

(1)「安全ソリューション」:機能安全(ISO26262)に対応する機能を多数搭載

 新製品では、車載向けマイコンでワールドワイドシェアNo.1の経験と機能安全の標準化活動参加により蓄積したノウハウを活かした最適な故障診断機能を搭載しています。ロックステップ方式(注2)を採用するCPUを同一構成で2つ搭載。フラッシュメモリに代表される各種メモリや内蔵バスに対してはECC(Error Check and Correct)機能によるデータの誤り訂正・検出が可能。周辺機能にもシステムで診断するための故障検出機能を搭載。BIST(Built-in Self-Test)機能により各故障検出機能自身の故障を検出可能。ECM(Error Control Module)を搭載しており、各機能からのエラー信号入力に対して状況に応じたエラー処理設定が可能であるため、システムの安全性確保に貢献いたします。

(2)「安心ソリューション」:ハードウェアセキュリティモジュールの搭載

 ネットワーク化が進む車載システムにおけるセキュリティ課題の解決に向け、データの暗号処理や乱数発生に対応するコプロセッサを新たに搭載。本機能を用いることでシステムの改ざん防止等に役立ちます。

(3)「高機能・高性能化ソリューション」:大容量メモリと高性能CPUの搭載

 システムの高機能・高性能化に伴うプログラム大規模化・高性能要求に対応するため、フラッシュメモリ内蔵マイコンでは業界最先端の40nmプロセスと、低消費電力かつ高信頼性に実績があるMONOS (Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)構造のフラッシュメモリを採用。大規模化するプログラム格納用フラッシュメモリの容量をシリーズ最大で8MB(メガバイト)内蔵、また、低消費電力技術により240MHzで動作するCPUを2つ搭載し高性能を実現。さらに、RAMはシリーズ最大で1088KB内蔵しています。これらの技術によりシステム統合等の高度化に貢献します。

(4)「コネクティビティ・ソリューション」:豊富な通信機能を搭載

 通信機能としてCAN、LIN、CSI、FlexRayのほか、Ethernetも搭載しており、ゲートウェイ機能や車載ネットワークを介し様々なセンシングシステムから得られる情報を用いたセンサ・フュージョン、シャシーシステムの複雑な制御を行うことが可能です。

 本製品を使用した応用例として、車の周辺環境の画像認識機能を組み込んだ当社製SoCであるR-Carファミリとの接続により、白線検知や駐車支援システム、先行車検出結果を用いた運転支援システムが考えられます。画像センサからの情報を基にR-Carで画像認識を行い、それと接続された本製品が判断、制御を行うことにより、少ない素子数で当該システムを実現することが可能となります。

 ルネサス エレクトロニクス株式会社 執行役員兼常務第一ソリューション事業本部本部長の大村隆司は、次のように述べています。「今回発表した製品は、クルマの安全制御を実現する鍵となる機能をオールインワンで提供する車載セーフティマイコンであり、今後の自動運転の実用化に向けての世界標準になるものと期待しています。当社は、この車載セーフティマイコンを、今後様々な車載セグメントに展開すると同時に、安心・安全なクルマ作りを支えるプラットフォームとして、多くのパートナー様とのエコシステムにより、お客様に新たな付加価値をご提供していきたいと考えております。」

 新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

RH850/P1H-Cの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rh850/rh850p1x/rh850p1hc.htmlをご覧ください。

RH850/P1M-Cの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rh850/rh850p1x/rh850p1mc.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)ASIL:自動車用安全度水準。ISO26262の要求事項や、受け入れられない残存リスクを回避するために適用する安全方策を規定するためのレベルを示したもの。AからDまでの4段階がありASIL Dが最も厳しい安全度水準。

(注2)ロックステップ方式:2つのCPUコアで同じソフトを動作させ、その結果をコンパレータで比較しエラーを検出する機構。

* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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