~4MBのフラッシュメモリ/512KBのSRAMを搭載した高性能32ビットマイコンを市場投入~
2014年2月26日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび32ビットマイコン「RXファミリ」のフラグシップ製品として初めて、回路線幅に40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)のプロセスを採用したマイコンを製品化し、「RX64Mグループ」の名称で、本日より順次サンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、昨年11月に発表したRXファミリの新CPUコア「RXv2」と120MHz動作の高速フラッシュメモリを搭載する計112品種で、高いリアルタイム性能と大容量メモリを必要とする産業機器やネットワーク機器に適しています。新製品は、(1) 40nmプロセスの採用により最大4MB(メガバイト)のフラッシュメモリと最大512KB(キロバイト)のSRAMを搭載するほか、0.3mA/MHzという優れた低消費電力性能およびCPUとしてRXv2コアを採用することにより組込み業界トップクラスとなる4.2 Coremark/MHz(目標値:注)の高いCPU性能の両立を実現、(2)Ethernet(IEEE1588対応)、SDホストインタフェース、QSPIインタフェース(Quad Serial Peripheral Interface)等の豊富な通信機能やタイマ等周辺機能が充実しているため産業、ネットワーク、IoT(Internet of Things)に向けた各種電子機器の様々なニーズに対応可能、(3)デバイスと密接に連携した強力なツールチェーンを整備しているためユーザーの開発期間短縮に貢献、といった特長を有しております。

 新製品を採用するとユーザーは様々な通信機能に対応した高性能かつ低消費電力な産業機器を短期間で開発できるようになります。

 新製品の量産は本年8月より開始し、2015年2月には月産50万個となる計画です。

 近年、スマート社会の拡大に伴い、ファクトリオートメーションに代表される産業機器やビルディングオートメーション等における組込みネットワーク機器の市場が急速に拡大しています。これらの分野ではCPUの高い演算能力やリアルタイム性能の向上と同時にさらなる低消費電力化が求められています。

 また、システムの多様化に加え、EthernetやUSB他様々な通信機能をサポートするため、使用するメモリ容量は年々増大する傾向にあります。しかし、外付けメモリを使用すると第3者へのプログラムやデータの漏えい、小型化や低コスト化のニーズに対して部品点数、基板面積の増大が課題になります。そのためマイコン内蔵メモリの大容量化ニーズが高まっております。さらにユーザーシステムの大規模化・複雑化に伴い、ソフトウェア・ハードウェアの開発工数は増加傾向にあり、開発効率を向上させ開発期間を短縮することがますます大きな課題となっています。そこでルネサスはこれらの課題を解決するマイコンとして、新製品を開発いたしました。

 新製品は、ミッドレンジ製品から高性能・多機能なハイエンド製品まで幅広くカバーするRXファミリの最上位製品として従来の製品群と互換性を保っているため、既存のRXファミリのユーザーは容易に移行することができます。また、RXファミリとして初めて新製品を採用されるユーザーにおいてもソフトウェア・ハードウェア開発をサポートする強力なツール群の活用により、開発・検証に要する工数やコストの削減に大きく貢献します。

 新製品の特長の詳細は以下のとおりです。

(1) 最先端40nmプロセス採用により、大容量メモリ搭載に加え、高いCPU性能と低消費電力性能の両立

 新製品は40nmプロセスの採用により、業界最高速の120MHzノーウェイトアクセスが可能で最大4MBのフラッシュメモリと最大512KBのSRAMを搭載するとともに、当社従来品「RX63N」と比べ動作時消費電流を40%低減。また、CPUとして新アーキテクチャのRXv2コアを搭載することによりRX63Nに比べ1.6倍となる504 Coremark(目標値)の高いCPU性能を実現している。これにより、リアルタイム性能と低消費電力性能の向上を実現し、外部メモリの削減によるコスト低減に貢献する。

(2) 産業アプリケーション向けに拡充した豊富な周辺機能

 新製品は通信機能の拡充や汎用PWMタイマの新規追加に加え、当社従来品「RX600シリーズ」に搭載した各種機能の継承により従来品と高い互換性を有している。特に産業向けアプリケーションでニーズの高いIEEE1588対応Ethernetやモータ制御用タイマの搭載により、システム間の同期性能の向上や各種モータ制御への柔軟な対応が可能。また汎用シリアル通信に加え、USBとEthernetの2ch化(176ピン、177ピン)、SDホストインタフェース、QSPIインタフェースといった高速通信機能をサポート。さらに、その通信自体の信頼性・堅牢性を高める暗号機能を内蔵している。

(3) ハードウェア・ソフトウェア開発をサポートする強力なツールチェーンを整備

 ルネサスは、新製品に対応する開発ツールとして、まずはCコンパイラ、デバッガ、フラッシュ書込みツール、OS、ミドルウェアを準備。さらに、ルネサス製マイコンを実装したリファレンスボードとマイコンの評価や初期導入に必要な開発環境がセットになった「Renesas Starter Kit」に加え、各種周辺機能のドライバソフトをパッケージ化した「RX Driver Package」を提供するとともに、GUIによる対話形式で周辺機能の設定プログラムを自動生成するコード生成ツールを準備する。ルネサスは、ハードウェア・ソフトウェアの開発工数/コストの大幅削減に貢献するこれらのツールチェーンを3月末より順次提供を開始する。

 ルネサスは、拡大を続けるスマート社会の基盤となる産業機器や組込みネットワーク機器等に向けて、今後も高機能かつ高性能マイコンを開発し、積極的な拡販活動を展開する計画です。

 新製品の主な仕様は別紙をご参照ください。

RX64Mの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx600/rx64m.htmlをご覧ください。

以 上

(注)Coremark:米EEMBC(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)がCPUコアの評価に特化したベンチマーク・テスト。データの読み出しや書き込み、整数演算、制御演算などを実行させるC言語プログラム群のこと。動作周波数当たりの性能数値は、IARシステムズ社の統合開発環境「RX向けIAR Embedded Workbench」によるスコア。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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