ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、このたび、工場の生産効率を向上するソリューションとして、高速・大容量のギガビットPHY(注1)を内蔵した産業用イーサネット通信LSIの新製品「R-IN32M4-CL2」を開発し、10月よりサンプル出荷を開始します。これに先立ち、7月7日(大阪)および9日(東京)に開催される「産業オープンネット展2015」に、「R-IN32M4-CL2」を搭載した評価ボードを出展したします。
第4次産業革命の到来により、産業機器に搭載されるセンサ・ノードは急増していくと考えられています。これらの情報をクラウドなどで一括管理していくことが提唱されていますが、それはネットワークのトラフィック渋滞が発生する原因ともなります。すでに産業イーサネット通信では、標準である100Mbps(メガビーピーエス)の通信帯域では不足することが予想され、1Gbps(ギガビーピーエス)への移行が検討されています。その産業イーサネットのプロトコルの1つであるCC-Link IE Fieldプロトコルは、ギガビット通信を業界に先駆けてサポートしており、大量のセンサやアクチェータがネットワークに接続されても、十分な速度と容量を提供できる、高速・大容量なフィールドネットワークです。
今回ルネサスは、このCC-Link IE Fieldプロトコルをサポートするため、「R-IN32M4-CL2」を開発いたしました。「R-IN32M4-CL2」はギガビット対応イーサネットPHYを搭載しているため、従来、難しいとされてきたギガビット通信に対応するための周辺アナログ回路設計が容易になります。PHY周辺の高周波アナログ回路を気にすることなく(注2)、ハードウエア設計が可能となり、設計期間の短縮や製品の基板実装面積の削減にも貢献します。また、昨今、ファクトリ・オートメーションからプロセス・オートメーション(注3)の応用では大量なプロセスデータの演算やアナログデータ処理も求められてきており、新製品ではこれらの要求に対応するため、CPUコアに浮動小数点演算ユニット(FPU)、8chの10bit対応ADコンバータ、16chの16ビットタイマなどを内蔵しています。新製品は2016年3月から量産を開始し、2020年3月には月産2万個を生産する予定です。
今後もルネサスは、「R-INコンソーシアム」のパートナ各社と連携し、この新製品をプラットフォームとした新たなソリューションを提供していく計画です。
詳しい仕様は別紙(103KB)のとおりです。
R-IN32M4-CL2の製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/factory-automation/r-in32m4.htmlをご覧ください。
以 上
(注1)PHYとは、Physical Layerの略で、通信回路の物理階層のこと。
(注2)高周波アナログ回路で問題なるのは、電気信号を効率よく伝送するために、伝送路において、送り出し側の出力インピーダンスと、受け側の入力インピーダンスを等しく整合するインピーダンスマッチングが必要となる。プリント基板上において配線間あるいは部品間に生ずる小さな電気容量すなわち静電浮遊容量が、特に高周波では回路の動作に影響を与える可能性があり、設計の難易度が高い。
(注3)プロセス・オートメーションとは、素材の組成を加工して製品を作るプロセスのことで、温度、圧力、流量など、アナログデータの計算が多用される。
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