~産業分野・ビルディングオートメーション分野向けに通信機能を強化したRX63N/RX631グループのラインアップを拡充~
2013年3月11日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび、産業分野や、ビルディングオートメーション向けの32ビットマイコン、RX600シリーズのRX631とRX63Nグループのラインナップを拡充し、新たに120種類の新製品を展開、2013年4月よりサンプル出荷を開始します。

 新製品は(1)世界トップレベルの内蔵RAM容量(当社従来品の最大2倍)をもち、高価な外付けSRAMの削減が可能、(2)暗号処理専用のハードウェア・アクセラレータを内蔵し、高い秘匿性と高速データ処理を両立、などの特長を有しています。

 その他の機能としては、既存のRX63N/RX631グループ製品と同様、100MHz駆動で内蔵ROMにノーウエイトのアクセスが可能であり、これにより165DMIPS (Dhrystone MIPS)(注1)の高性能を実現しています。また、ROM部分には、10万回書き換え可能な2MBから1MBの大容量フラッシュメモリを内蔵しています。

 新製品のサンプル価格は未定、量産は2013年12月より開始し、2014年6月には月産6万個を予定しております。

背景

 ますます高機能・高性能化が進む産業用・OA機器等の分野では、ローカルネットワークによる データ通信が高度化してきており、一昔前のPCネットワークに匹敵するほどのデータ処理能力に加え、データの秘匿性を高めるための暗号化処理も欠かせなく なってきております。この増大するデータを高速に処理するためには、高速なCPUに加え、高価なSRAMを外付けする必要がありました。

 新製品はこれに対応するため、以下の特長を有しています。

特長

 新製品の主な特長は次の通りです。

(1)世界トップレベルの大容量RAM(最大256KB)を内蔵

既存のRX63N/RX631グループ製品に比べ、最大2倍にあたる256KBのSRAMを内蔵いたしました。 これにより、高価な外付けSRAMをお客様で別途ご用意いただくことなく、少ない部品点数で安価かつ高速なシステムの構築が可能です。

(2)DEU(Data Encryption Unit)(注2)機能を内蔵し、高速な暗号処理が可能

DEUはAES(Advanced Encryption Standard)標準化暗号方式(128/192/256ビットの鍵長)のハードウェア・アクセラレータです。これを内蔵することにより、CPU自体に高い負荷をかけることなく、高速に暗号化/複号化が可能となり、内部プログラム及び通信データの秘匿性の向上が図れます。

 これらの特長に加え、新RX63N/RX631製品は、RXプラッ トフォームの製品コンセプトに基づき、既存RX63N/RX631グループ製品とピン互換ですので、既存製品でシステム構築いただいたお客様は、回路変更 を行うことなく、容易に新製品への置き換えが可能です。新規採用をご検討のお客様にも、パッケージはLQFP100ピンから176ピンまで豊富なバリエー ションを用意していますので、様々な組み込み装置にお使いいただけます。

 また、外部バスでは、既存のRX63N/RX631グループと共通のEXDMAC(注3)を 備えており、内部バスがCPUなどに占有されているときでも独立した外部バスを利用してデータの転送が可能です。なお、このEXDMACを用いれば、専用 LCDコントローラがなくてもCPUに負荷をかけることなく、QVGAやWQVGAクラスまでの描画ソリューションを容易に実現できます。

 さらに、省電力実現のための機能としては、2Vという低電圧で動作するRTC(リアルタイムクロック)を搭載したことで、低消費電力化に寄与いたします。こ のRTCは時間キャプチャ機能を備えており、CPUがパワーオフ状態となり動作しないときでも、独立してシステム状況の変化を検知します。またタイムスタンプ機能も有しておりますので、この変化がいつ起こったのかを記録し、後に確認することも可能です。

 周辺機能につきましては、既存のRX63N/RX631グループと同様、CAN(注4)2.0Bを最大3チャネル、OTG規格にも準拠したUSB2.0フルスピードを最大2チャネル装備しています。特に、豊富なネットワークインターフェースを持つRX63Nにつきましては、MII(注5)とRMIIに準拠したEthernet MAC IEEE 802.3インタフェースを実装しており、PHYへの接続も容易に行うことができます。

 開発環境としては、ルネサスは2種類のハードウエアエミュレータを提供いたします。ひとつはフラッシュプログラマとしても機能する低価格のE1エミュレータ (新製品向けは開発中)で、もうひとつはトレース機能やRAMモニタ、その他高度な機能を備えている高機能なE20エミュレータ(新製品向けは開発中)となっております。

 新製品の量産は2013年12月を予定していますが、2MBのフラッシュと128KBのRAMを内蔵した既存RX63Nを実装したスタータキット(RSK:ルネサス スタータ・ キット)を3月に販売予定ですので、こちらをお使いいただくことで、新RX63N/RX631グループ製品の量産前に先行して開発を開始できます。この RSKを使用して先行開発を行い、新RX63N/RX631グループ製品の量産後に置き換えることで、開発をスムーズに行えます。

以 上

(注1)Dhrystoneとは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムのこと。本製品の165DMIPSという性能値は、測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

(注2)DEU(Data Encryption Unit)とは、暗号化/復号化処理専用ハードウェア・アクセラレータのことです。

(注3)EXDMACとは、External bus DMA Controllerの略で、外部バス専用DMAコントローラのことです。

(注4)CANとは、Controller Area Networkの略で、独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様です。

(注5)MII、RMIIとは、それぞれ、"Media Independent Interface"、"Reduced、Media Independent Interface"の略で、MII、RMIIは、外部PHYと接続する物理インタフェース規格であり、RMIIは、MIIより小ピンで外部PHYと接続が可能です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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