ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、高い耐ノイズ性と高感度を両立させたタッチセンサーIP(Intellectual Property)を搭載した32ビットマイコンを、ヘルスケア機器、家電製品、産業機器向けに開発し、「RX113グループ」の名称で本日よりサンプル出荷を開始します。
新製品は、 (1) 新開発の静電容量式タッチセンサーIPの搭載により耐ノイズ性と感度を大幅に改善、(2) 32ビットマイコンでは業界トップクラスの低消費電流を実現、(3) タッチキーシステム構築に向けた豊富な周辺機能を1チップに搭載した、パッケージの端子数が64~100ピン、内蔵フラッシュメモリサイズが128~512KB(キロバイト)の計12品種です。新製品の量産は2015年2月より開始し、2016年1月には月産100万個となる計画です。
近年、ヘルスケア機器、家電製品、産業機器の操作部では、耐久性・デザイン性向上のため、機械式ボタンに代わりタッチキーの採用が増えてきています。様々な環境下において使用する為に、更なる操作性・機能性向上に向けて高いノイズ耐性や高感度なタッチキーシステムが求められています。例えば、汗をかいた状態で操作するウェアラブルなヘルスケア機器や、水回りで使用されるIHクッキングヒータ等の家電製品では、水滴が付着した場合でも誤検知なく動作することが求められています。加えて、これらの用途では、デザイン性向上のため、操作部表面のアクリルパネルを曲面にするニーズや、工場内で使用される産業機器では、手袋をしたまま操作するといったニーズも増えてきています。
ルネサスは、これらのニーズに対応した新しい静電容量タッチセンサーIPを開発し、本IPを搭載した第一弾製品として「RX113」グループを製品化いたしました。
新製品は、主に血糖値計やウェアラブル機器などのヘルスケア機器、家電製品、産業機器の表示、システム制御、および操作部を周辺機能やメモリサイズを最適設計し、1チップで実現しました。一般的にこれらの用途においては、表示やタッチキー、システム制御、また用途に応じてはUSBインタフェースが必要とされ、現状のシステムは、複数のマイコンまたはICを組み合わせて構築されています。しかし、ウェアラブル機器の開発においては、デザイン性向上のためにシステムのさらなる小型化や低消費電力化が求められていました。
新製品は、これらの機器で必要な機能を1チップで実現しつつ、先進の低消費電力化の技術を導入することにより、従来複数のICで構成する場合に比べ、実装面積を約1/3、消費電力を約1/2に削減することが可能です。また、「RX113グループ」では、非常に低消費電力なタッチキーの待ち受けが可能です。キー入力のある機器では、キー操作される時間は、稼働時間の中でごくわずかであり、キー入力待ち受け時間がほとんどです。タッチキーの場合、常にキー入力を監視している必要があるため、キー入力待ち受け時間でも多くの電力を消費します。しかし、本タッチキーを使用したシステム(以下、タッチキーシステム)では、通常動作とスタンバイモードを間欠動作させることにより、約5μA(マイクロアンペア)の低消費電力でキー入力待ち受け動作を実現します。
また、タッチキーシステムの実現にあたっては、従来は外付け部品によるセンサ感度の調整に多くの時間を要するなど、開発面においても課題がありました。新製品では、ルネサス独自の技術導入により誤検知防止や高感度化を実現するとともに、外付けの調整部品をなくし、代わりにソフトウェアで自動調整する機能を付加する等、開発期間の短縮とシステムコスト削減にも貢献します。
新製品の特長の詳細は以下のとおりです。
(1) 新開発の静電容量式タッチセンサーIPを搭載
(1)-1 2種類の検知方式をサポート
自己容量方式と相互容量方式の2種類の検知方式をサポート。自己容量方式は当社従来品「R8C/3xT」に採用されたIPよりも耐ノイズ性、感度を大幅に 改善。また新たに当社初となる相互容量方式もサポートし、手袋を装着したままでの操作や、水滴が付着していても誤検知しにくいユーザインタフェースを実現可能。
(1)-2 タッチキーの開発工数を短縮
タッチキー開発用ワークベンチはGUI操作に対応。簡単にユーザのシステムにあわせたソースコードの生成や感度調整の自動化に対応しており開発期間の大幅な短縮が可能。
(1)-3 デザイン性と高感度の両立
厚さ10mmを超えるアクリルパネルにも対応し、曲面パネルを使用するなどフレキシブルなデザインを実現可能。感度は従来品のR8C/3xTに比べ約5倍に改善、デザイン性と高感度なユーザインタフェースを両立。
(2) 32ビットマイコンでは業界トップクラスの低消費電流を実現
32ビットマイコンでは業界トップクラスの低消費電流を実現。動作時の消費電流は0.1mA/MHz(typ.)、低消費電力モード時(RAM保持あり、LCD消灯)ではわずか0.44uA、LCD点灯時にも1.6uA(内部昇圧方式、1/3バイアス)を達成している。
(3) タッチキーシステム構築に向けた豊富な周辺機能を1チップに搭載
高性能32ビットCISC CPU「RXv1(32MHz)」、最大512KBのフラッシュメモリ、64KBのSRAM、セグメントタイプのLCDコントローラ/ドライバ(8コモン×40セグメント(100ピン版))、USBインタフェース(Full/Low Speed対応)、8チャネルのシリアルインタフェース、リモコン受信用IrDA 1チャネル、17チャネルの12ビットA/Dコンバータ、2chの12ビットD/Aコンバータとタッチキーセンサ(最大36チャネルのキー入力(相互容量方式時))等を搭載するほか、家電機器やヘルスケア機器の表示・システム制御・キー入力や外部との通信を1チップで実現可能。
従来、タッチキーシステムのソフトウェアの構築やキーの感度調整には専門知識や多くの開発工数が必要とされ、新たにタッチキーシステムを導入するユーザにとっては障壁となっていました。これに対応するためルネサスは、タッチキーシステムを容易に実現するタッチキー開発環境の開発を順次進めています。本開発環境ではソースコードの生成や感度の調整を自動化することによりタッチキーシステムを容易に開発できるようになります。
ルネサスは新製品を、耐久性やデザイン性が高くタッチキーで操作する白物家電、ヘルスケア機器や電子機器に最適なものと位置づけ、積極的な拡販活動を展開してまいります。
新製品の主な仕様は別紙をご参照ください。
RX113の製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx100/rx113.htmlをご覧ください。
以 上
*新製品はSilicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けた SuperFlash®を使用しています。
SuperFlashは、米国Silicon Storage Technology, Inc.の米国,日本などの国における登録商標です。
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