ルネサスエレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび業界最高レベルの低消費電力を実現する当社製マイコン「RL78ファミリ」(注)の開発支援ツールを開発し、「RL78 Webシミュレータ」の名称で、当社Webサイト(http://japan.renesas.com/RL78-WebSimulator)で運用を開始いたします。
新シミュレータは、(1)仮想ボードシミュレータの機能を搭載しているため、スタータ・キット等の開発ツールを購入せず即時にプログラムを評価することが可能、(2) 消費電流シミュレータの機能を搭載しているため、ユーザが開発したプログラムを解析して消費電流を高精度に算出することが可能、(3)今後、クラウド環境で統合開発環境を準備することにより、短時間で容易に開発初期評価が可能、といった特長を有しております。
まずは、RL78ファミリのなかでも汎用性の高い「RL78/G13」への対応版から提供を開始し、順次他のマイコン製品へ拡大する計画です。
ユーザは当社Webサイト上から新シミュレータを活用することにより、即時かつ無償で手軽にマイコンの試作開発や消費電流シミュレーションを行えるようになります。
近年、マイコンの統合開発環境は高性能化や多機能化が進んでいるため、セットアップ時間の長時間化、ホストコンピュータへの負荷の増大、複雑な操作が課題になっています。また、マイコンの開発初期評価では開発ツール一式を購入しなければならない、マイコンの消費電流の測定に関しては各周辺機能を加えた電流値を算出するには実機を動作させる必要がある、といった課題もあります。
このような背景のもと、当社は統合開発環境をクラウド環境で実現して、容易に使用できる形態で仮想ボードシミュレータと2つの消費電流ツールを開発することにいたしました。特に消費電流ツールは、ユーザプログラムを解析して消費電流を高精度に算出する消費電流シミュレータと、プログラミングを行う前に動作条件を設定することで消費電流を概算できる消費電流計算ツールの2種類を準備しています。
RL78 Webシミュレータの特長は以下のとおりです。
(1) 仮想ボードシミュレータ機能により、無償の開発初期評価環境を即時に構築
統合開発環境でRL78/G13の入出力パネルを選択することによりRL78/G13スタータ・キットの仮想ボードによるシミュレータ機能を実現している。ボードのスイッチ入力、LED出力、ポテンショメータ入力などの入出力を仮想ボードパネルで動作させることが可能。また、端子観測ウインドウにより端子電圧レベルを観測することも可能となっている。
(2) 高精度な消費電流シミュレータにより、ピーク電流低減やバッテリ寿命算出に貢献
消費電流シミュレータは統合開発環境に消費電流プラグインの追加により、ユーザプログラムを解析して消費電流の変化をプログラムのステップごとに算出することが可能。また、平均電流やピーク電流を算出することでピーク電流の平滑化の検討やバッテリ寿命の算出も可能となっている。さらに各周辺機能の動作条件をGUIで設定するだけでプログラミングをせずに容易に消費電流を算出できる消費電流計算ツールも準備している。
(3) 今後、統合開発環境をクラウド環境で実現することにより、開発初期評価期間の短縮に貢献
従来は統合開発環境をホストコンピュータにダウンロードやインストールを行う必要があったが、今後、クラウド環境で実現することにより即時かつ容易に使用することが可能。
ルネサスは、より幅広いユーザに当社製マイコンの活用を推進することを目的に、マイコンのプログラミングを手軽に試作開発できる開発環境の提供を推進しています。この方針に基づき、今回開発したWebシミュレータは、今後クラウド環境の構築や機能拡張やRXファミリなど対応製品の充実を図る計画です。
以 上
(注) RL78ファミリは、業界最高レベルの低消費電力を実現しており、ピン数は10~128ピン、ROMサイズは1~512KBまでの多彩な製品をラインアップしています。32MHz±1%の高精度な高速オンチップオシレータや低電圧検出回路機能を搭載してシステムコストを低減することが可能です。
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