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ライセンスビジネス拡大の一環として、HEVC/H.265ビデオコーデック ハードウェアIPの発売を開始

~市場に先駆けて最新方式に対応し、民生機器の高画質録画・狭帯域動画像伝送を実現~

2013年10月29日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、ユーザーのシステム開発における様々なニーズへの対応と開発効率向上に向けて、世界No.1シェアを有するマイコンのほか、アナログ、パワー半導体などを市場へ提供しております。

 近年は、これらの製品を別々に提供するビジネスモデルから、個別の半導体製品やソフトウェアを組み合わせるキット・ソリューション、さらにユーザーが自社製品に独自の付加価値を加えられ るよう各種IP(Intellectual Property)技術やプロセス技術などの半導体基盤、OSやミドルウェアなどのソフトウェア群で構成されるプラットフォーム・ソリューションとエコシ ステム(注1)を活用したビジネスモデルへと変革を図っております。

 プラットフォーム・ソリューションはスマート社会の実現を促進するものとルネサスは位置づけており、半導体基盤やソフトウェア群、パートナー企業と連携したエコシステムの整備に注力してまいりました。今後は、競争力あるIPをいち早く市場へ提供し、業界標準の地位を獲得することが不可欠と考え、IPの充実を 図るとともに、市場へIPの技術を提供するライセンスビジネスを拡大する方針です。

 以上の方針に基づき、ルネサスはこのたび、最新の動画像符号化方式HEVC/H.265(注2)に対応したビデオコーデックIPを開発いたしました。HEVC/H.265方式は、モバイル機器、民生機器、車載情報機器、産業機器など幅広い市場への応用が期待されております。ルネサスはライセンスビジネスの第2弾として、新IPの発売を本年11月から開始するとともに、車載情報機器向けSoC(System on a Chip)「R-Carシリーズ」の第3世代品(開発中)への搭載を計画しております。

 新IPは、主な特長として、(1) HEVC/H.265方式に準拠した新開発の独自アルゴリズムによる高画質・高圧縮エンコードに対応、(2) 4K2K解像度(4096×2160)の30フレーム/秒(以下4K2K)の超高精細画像に対応した処理性能、(3) 機器間での映像のリアルタイム伝送に適した最小3ms(ミリ秒)の低遅延処理、などを有しています。これらに加え、当社モバイル・車載情報機器向けSoCの開発で培ってきた小面積・低消費電力化技術や高効率バスアクセス・バスレイテンシ耐性技術を応用し、AMBA®(注3)インタフェースで接続するIPとなっております。

 これらの特長により、新IPは高画質・高圧縮の動画像エンコードおよびデコードに対応しているため、最小限のシステムコストでモバイル・民生・車載情報・産業機器における長時間録画や狭帯域動画像伝送を実現できます。

 近年、デジタル映像機器の高性能化・インターネット接続の普及により、ブロードバンド上での動画像伝送が爆発的に増加しています。また、各機器間での画像転送や表示画面共有のために、映像の圧縮・伸長を伴うピアツーピア(注4)の 動画像伝送の要求が高まっています。加えて、4K2KなどのUHDTV(Ultra High Definition Television:超高精細テレビ)向け高解像度の映像コンテンツの普及に伴い、ブロードバンドやホーム・車内ネットワークの帯域負荷がますます圧迫 されていくため、従来技術を凌駕する高圧縮符号化による動画像伝送の実現が必要とされています。

 こうしたニーズに対応するため、ルネサスでは、2013年4月にITU-Tにより勧告された最新の高効率符号化方式HEVC/H.265に対応した4K2K動画像処理を実現するハードウェアIPを開発・製品化しました。

 新ハードウェアIPの主な特長は以下のとおりです。

(1)最新動画像符号化方式HEVC/H.265のエンコードおよびデコードに対応

 モバイル・民生機器向けビデオコーデックとして市場に先駆けてHEVC/H.265方式のエンコードに対応。HEVC/H.265方式の高効率符号化性能を引き出す独自アルゴリズムの新規開発により、リアルタイム処理にて従来符号化方式を凌駕する高画質・高圧縮の符号化を実現している。新IPの採用により、 モバイル機器、民生機器、車載情報機器、産業機器など幅広い市場への応用が期待されている最新動画像符号化方式HEVC/H.265に対応し、H.264 方式をはじめ従来よりも長時間・高画質な動画像録画・再生を図ることが可能。

(2)4K2K画像に対応

 当社従来ハードウェアIP比の2倍となる4K2K解像度(4096×2160)の30フレーム/秒のエンコード・デコード処理性能を有する。 HEVC/H.265の高効率符号化により、従来方式によるフルHD画像(1920×1080)の60フレーム/秒(以下1080p60)と同等のデータ量・通信路帯域で、4K2K解像度による迫力ある画像体験を提供する。また、1080p60の2チャンネル同時処理が可能なため、フルHD画像の圧縮トランスコードやビデオチャットなど、同時に複数の映像をエンコード・デコードすることが要求されるアプリケーションを、単一のハードウェアIPで実現できる。

 なお、新IPはコンフィギュラブルな構成を有し、1080p60性能に特化した小ハードウェア規模にて提供することも可能。

(3)最小3msの処理遅延を実現

 データ制御方式の最適化により、データの入力開始から対応する出力が開始するまでの遅延が、最小3msとなるコーデック処理を実現する。モバイル機器から他表示機器への画面伝送、AVメディア再生機能付きカーナビなどの車載エンタテインメントシステムのリアシートディスプレイへのワイヤレス伝送など、リアルタイムで圧縮された映像データを低遅延で伝送することが要求されるアプリケーションの開発に貢献する。

 ルネサスは、新IPを次世代動画像処理におけるキーIPと位置づけ、モバイル機器、民生機器、車載情報機器、産業機器など幅広い市場に対し、積極的な拡販を行っていきます。また今後、高解像度化・高ビットレート化等の性能向上や既存動画像符号化方式とのマルチフォーマット対応等を図るとともに、リアルタイム動画像伝送に特化したIPなどの開発を進め、市場のニーズにタイムリーに対応してまいります。

 新ハードウェアIPの主な仕様は、別紙をご参照ください。

以 上

(注1)エコシステム:特定の技術基盤を軸にして開発環境やデベロッパー、ソリューションプロバイダなどが集まり大きなビジネスを形成している集合を指す。語源である「生態系」をITビジネスに見立てて「エコシステム」と表現している。

(注2)HEVC (High Efficiency Video Coding) : ISO/IEC MPEGおよびITU-T VCEGにより共同で策定された動画像符号化方式。ISO/IEC、ITU-Tにより、それぞれ23008-2(MPEG-H HEVC)、H.265国際標準規格として承認。

(注3)AMBA : 英国ARM Ltd. 開発のオンチップバスインタフェース仕様。

(注4)ピアツーピア:ネットワーク上の端末間にて直接データを送受信する通信形態。

*AMBAは、ARM社の商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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