~高速タイマとコンパレータの搭載により、センサレス制御の設計容易化とモータの高速化に貢献~
2015年5月28日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、低消費電力の16ビットマイコン「RL78ファミリ」において、このたびブラシレスDCモータ(以下BLDCモータ)のセンサレ ス化と高速回転制御に適した機能を内蔵した多機能マイコン「RL78/G1Fグループ」20品種を開発し、本日より順次サンプル出荷を開始します。

 ルネサスは、省エネ化に貢献するモータ/インバータ制御分野に注力しており、各種ソリューションを拡充しています。今回開発した「RL78/G1F」もその 一環であり、従来の16ビットマイコン「RL78/G14」の上位機能互換グループとなります。各種のモータの中でも、掃除機や冷蔵庫などの家電や電動工 具に搭載するBLDCモータ制御においては、現在は位置センサを内蔵したモータの使用が主流となっていますが、設計自由度の向上や低システムコストの観点から、センサレス化が求められています。今回開発した「RL78/G1F」は、高速タイマやコンパレータ等、センサレス制御に必要となる周辺機能を内蔵しました。これにより、部品点数の削減と低コスト化を実現し、センサレス化を容易にします。さらに、モータ制御用補助タイマを新たに追加搭載したことによ り、モータの高度な制御を実現します。

 本製品のサンプル 価格は一例として、48ピンQFPパッケージ/32KBフラッシュメモリ/5.5KB RAM/4KBデータ・フラッシュを内蔵した「R5F11BGCAFB」の場合、180円/個(税別)です。量産は本年7月より順次開始し、評価ボードやソフトウェアツールなどの開発環境も提供します。また、2016年にはグループ合計で月産100万個を計画しています。

 「RL78/G1Fグループ」の特長の詳細は以下のとおりです。

(1) モータ制御用に64MHz(Max.)対応の補助タイマを追加搭載し、高度な制御を実現

 従来製品で搭載されている64MHz(Max.)対応PWM出力タイマに加え、これと同クロックで動作するモータ制御用補助タイマを新たに内蔵しました。入 力選択式高速コンパレータと、このタイマによるカウントにより、120度通電制御において、停止状態や30Krpm以上の高速回転時においても、センサレ スでロータ位置の検出が可能となります。これにより、ホールセンサやその周辺回路を必要とせず、モータの起動から高回転まで滑らかな動作を低コストで実現 することができます。

(2) ソフトウェアによって信号の増幅率が選択できる高スルーレートPGAを搭載

 微小信号の増幅率をソフトウェア設定によりx4~x32で変更可能な3.0V/μs以上の高スルーレートを持つプログラマブル・ゲイン・アンプ(以下 PGA)を内蔵。さらに、このアンプからの出力を入力できる高速コンパレータを搭載しているので、これら部品の外付けを削減しつつ電圧計測やモータ制御回路の過電流検出を行うことが可能です。また、このPGA回路は入力端子の他、フィードバック抵抗のGND端子も設けているため、マイコン内部のノイズ影響を受けない増幅が可能です。

(3) 高速なコンパレータを2チャネル搭載

 新製品は、反応時間が0.07us(TYP.)の高速なコンパレータを2チャネル搭載しているため、外付けのコンパレータが不要となります。1チャネルは、PGAの出力信号を入力することが可能となっており、ブラシレスモータ制御でのインバータ回路の過電流保護等に使用できます。過電流保護は、コンパレータの出力を、直接的にインバータ回路への出力信号遮断に反映できる機能(PWMOPA)の搭載により、確実に実施することが可能です。そして、もう1チャネ ルは、4入力端子から、プラス側およびマイナス側入力を、任意の組み合わせで選択できるようになっており、センサレスBLDCモータ制御におけるロータ位置検出に使用できます。なお、いずれのコンパレータも、マイナス側入力としては、外部端子入力の他、内部基準電圧や基準電圧作成D/Aコンバータ出力を選択することができます。

(4) D/AコンバータやIrDA(注1)通信機能など便利な機能を搭載

 従来の「RL78/G14」ではフラッシュメモリが64KB以下の製品には搭載していなかったD/Aコンバータを、1~2チャネル搭載。また、シリアル通信機能に家電のリモコンなどでも使用されるIrDA通信対応機能も搭載し、様々な用途で使用できます。

(5) 小型、携帯機器に適した4mm角パッケージ製品もラインアップ

 24 ピンHWQFNと36ピンWFLGAの4mm×4mm小型製品をラインアップ。36ピンWFLGA製品は、特に携帯機器に適したものなっており、小ピン数 でありながらも2系統の電源に対応し、CPUは3Vや5V系で動作させながら、外付けのレベルシフタ無しで外部デバイスとの1.8V系通信に対応すること などが可能です。また、サブクロック発振や入力にも対応し、低消費電力動作や長周期間欠動作による低省電力化によって、バッテリ駆動時間を伸ばすことが可能です。

 ルネサスは、新たにマイコン製品のラインアップ に「RL78/G1Fグループ」を加えることで、普及機用に機能を絞った「RL78/G1Gグループ」、ベクトル制御に適した「RX23Tグループ」、最 大3インバータの高負荷なベクトル制御にも対応できる「RX63T/62Tグループ」などと共に、様々な用途におけるインバータ制御ソリューションを幅広 くシームレスに提供していきます。

 新製品の主な仕様は別紙(112KB)をご参照ください。

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図:RL78/G1F

RL78/G1Fの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rl78/rl78g1x/rl78g1f.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)IrDA(Infrared Data Association)とは、赤外線を利用した通信の規格のひとつ。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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