~JR東日本、山手線/京浜東北線の新駅、高輪ゲートウェイ駅のホームで運用開始~
2020年3月26日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、この度、電力線通信(PLC)用IC「R9A06G037」が、パナソニック株式会社(以下パナソニック)の駅ホーム用照明制御システムに採用されたことを発表します。従来、照明器具を調光調色するためには、電力線とは別に専用の信号線を敷設する必要がありますが、PLCを使用すれば電力線のみで制御信号を送ることができるため、省配線化により費用と工期を削減することができます。

 今回パナソニックは、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)と共同で、屋外で使用できる狭帯域(低速)PLC(10~450 kHz)の規格のひとつであるG3-PLC方式を使用して、駅ホーム用照明制御システムを開発しました。このシステムの駅ホーム用照明器具は、時間帯や天候に応じ、PLCにより調光調色制御を行ないます。本来、このG3-PLC方式は、高いノイズ耐性と長距離通信を容易に実現するという特徴がありますが、駅構内は無線電波や列車発停車に伴う電磁波、また様々な電気機器が発生するノイズの影響を受けるため、過酷な環境の中でも正常に動作させるという課題がありました。

 今回採用されたルネサスのPLC用IC「R9A06G037」は、G3-PLCに準拠しており、通信用ソフトウェアの処理性能が高く、ノイズ耐性にも優れています。ルネサスはこのICの提供のみならず、評価ボードを元にした基板回路の提案や改良、リファレンスとなる通信ソフトウェアの提供や、ソフトウェアの開発支援、通信状態の評価ツールの提供など、これまで培ってきた実績に基づく技術サポートを実施しました。これらを通してルネサスは、駅構内で正常に調光調色を制御できるパナソニックの照明制御システムの開発に貢献し、本システムに採用されました。

 パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 ライティング事業部 ライティング機器ビジネスユニット 調光システム商品部 部長 河瀬 靖憲氏は、次のように述べています。「今回、ルネサスの協力の下、調光調色可能な照明制御システムが駅ホームで運用開始できたことを嬉しく思います。パナソニックにとって照明システムへの低速PLCの活用は初めてでしたが、国内外のスマートメータなどですでに多数の実績があるルネサスの技術サポートにより、フィールド試験から実運用まで到達することができました。今後もルネサスと協力することにより、照明システムへの低速PLCの活用をさらに広げていけると確信しています。」

 ルネサスエレクトロニクス株式会社 インフラ・IoT事業本部 エマージングマーケット事業部 事業部長の守屋 徹は、次のように述べています。「PLCによる照明制御システムの開発において、パナソニックと約5年に渡り協力できたことに深く感謝しています。通信システムにおけるノイズは大敵ですが、両社のレビューとフィードバックの繰り返しにより、技術的課題を克服し、駅でのPLC実用化が実現したことを嬉しく思うと同時に、今後も様々な環境における照明制御システムの開発で協力して参りたいと考えます。」

 ルネサスは今後も、電力線だけで通信が可能なPLCを活用した機器制御システム開発を推進し、エネルギーの有効活用や、環境に配慮したスマート社会の実現を目指します。

ルネサスのPLCソリューションについては、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/solutions/proposal/plc.html

PLC用IC「R9A06G037」の詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/solutions/key-technology/connectivity-wired/plc/r9a06g037.html

以 上

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