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IoTインフラシステム向け、第2世代のデジタルマルチフェーズコントローラとスマートパワーステージを発売

~先進のCPU、FPGA、GPU、AI ASIC等に向けて、1000Aを越える出力電流に対応~

2020年10月15日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、IoTインフラシステムに使われる最先端のCPU、FPGA、GPU、および人工知能(AI)ASIC等への電力供給向けに、10Aから1000Aを越える出力電流に対応した第2世代のデジタルマルチフェーズコントローラの新製品15種と、スマートパワーステージ6種を発売しました。デジタルマルチフェーズコントローラのISL6822x、ISL6823x、RAA2282xx、およびスマートパワーステージのISL993xx、RAA2213xxにより、ルネサスの業界最先端のデジタルマルチフェーズ製品は41機種に拡大しました。これらは、演算処理性能が急速に高まっているデータセンタのサーバ、ストレージ、光伝送、ルータ、スイッチや、5G通信対応のインフラ機器用の電力供給に対し、優れた性能を発揮します。

 ルネサスのモビリティーインフラ・IoTパワー事業部、事業部長のAndrew Cowellは、次のように述べています。「ルネサスは極めて多様なデジタルマルチフェーズポートフォリオを有しており、1000Aを越えるGPUやAI ASIC向けに20フェーズのコントローラを供給する唯一のメーカです。デジタルマルチフェーズプラットフォームの特許取得済みのシンセティック電流制御アーキテクチャは、最速の過渡応答、出力コンデンサの削減、低システムコストという点で、ルネサスのお客様に高く評価されています。これに加え、デジタルマルチフェーズコントローラは、ルネサスのPowerNavigator GUIを採用しており、用途を問わず設定をソフトウェアで行えるため、製品化までの時間を大幅に短縮できます。」

デジタルマルチフェーズコントローラISL6822x、ISL6823x、RAA2282xx

 第2世代のデジタルマルチフェーズコントローラは、フェーズダブラーを必要とせずにあらゆるシステム要件に対応できるよう、スケーラビリティと柔軟性を強化しました。出力電力要件に合わせて、2フェーズから20フェーズまで、幅広いアプリケーションに合わせてコントローラを選択できます。さらに、フェーズの追加や削除用のセットポイントを個別に設定可能なため、負荷の全範囲にわたって効率を最大化できます。各コントローラには不揮発性メモリを搭載しており、すべての設定の構成をデバイスに保存できるため、セットアップやチューニング用の個別のコンポーネントは必要ありません。さらにブラックボックスが障害イベントをキャプチャするため、診断とデバッグがより素早く行えます。

 コントローラの高性能デジタルエンジンは、個々のフェーズ電流を遅延なく追跡できる独自のシンセティック電流制御アーキテクチャを採用しています。このため、負荷過渡に対しても、精度の高い電流と電圧で安定動作の維持が可能であり、競合製品よりも静電容量が約30%少なくなります。すべてセラミックコンデンサで開発することも可能なため、信頼性の高いシステムの開発を可能にします。

 電源供給を完全にデジタル制御することで、PMBusとAVSBusインタフェースを経由してシステムマネージャでシステム全体を監視・制御できます。AVSBusインタフェースにより、監視や適応電圧ポジショニングのためのASICやプロセッサへの接続が可能となり、負荷要件に応じて電源供給を調整することで、エネルギー効率を向上できます。またPMBusインタフェースにより、I/O電圧・電流、温度とフォルトレポートの完全な監視を実現します。デジタルマルチフェーズコントローラとスマートパワーステージと組み合わせることにより、それぞれ個別のフェーズで正確に電流を監視できるようになります。

スマートパワーステージISL993xx、RAA2213xx

 第2世代のスマート・パワー・ステージ(SPS)は、20Aから90Aまでの最大連続電流を供給し、スペースに制限のある設計にも対応できるよう、ドライバとFETをコンパクトなパッケージに内蔵しています。この高い集積レベルと電流検知性能により、通常はドライバと専用FETを必要とする従来のパワーソリューションと比べ、ボードスペースを30%以上削減します。SPSには、DrMOSデバイスで一般的なレギュラータイプのドライバではなく、スマートドライバを搭載しています。SPSドライバの改善により、デバイス内でFETを検知し、インダクタ電流の再構築を行うことが可能です。

 また、スマートパワーステージには非常に精密な電流検知とレポーティング機能が組み込まれているため、複雑な温度やインダクタDCR(直流抵抗)の補償は不要となり、電源設計がよりシンプルに行えます。SPSの電流レポートは、ライン、負荷、および温度において2%の精度を保証しています。これは温度補償の欠落、インダクタのDCR変動、および負荷による時定数エラーに悩まされるDCRセンシングと比べ、非常に大きな改善点となっています。

PowerNavigator™ GUIソフトウェア

 PowerNavigatorソフトウェアは、デジタルマルチフェーズコントローラ向けとしてはルネサス初のリリースとなります。強力なGUIに、柔軟性、コンフィギュアビリティ、そして強力なデバッグツールを備えています。電源設計者は、ブラックボックス、高速コマンドログ作成、およびデジタルテストバス機能を使ったコントローラの構成、システムのチューニングのためのパラメータ設定、そしてデバッグ/監視を容易に実行できます。なかでもPowerNavigatorが最も手放せなくなる点は、チューニングです。測定器からボードを外して、はんだごてで抵抗やコンデンサを付けたり、外したりして、また測定器に配線するという煩わしさからユーザを解放します。通電中にPowerNavigatorを介して調整できるという、後戻りできないほどの快適さを提供します。

供給

 15種の新たなデジタルマルチフェーズコントローラは、4mm x 4mmから8mm x 8mmのQFNパッケージで、量産中です。詳細についてはご覧ください。
 www.renesas.com/digital-multiphase-controllers

 6種の新たなスマートパワーステージは、4mm x 5mmから5mm x 6mmのQFNパッケージで、量産中です。詳細についてはご覧ください。
 www.renesas.com/smart-power-stage

以 上

*PowerNavigatorはルネサスエレクトロニクス株式会社の商標です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

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