SDV(Software Defined Vehicle)の概念を主軸に自動車産業が発展する中で、インターネットを通じて自動車同士や様々なインフラやサービスとつながる技術が基盤として重要な役割を担っております。今後、更に注目されるコネクテッド/ゲートウェイアプリケーション開発において、以下のようなお悩みはお持ちでないでしょうか?
- 簡単にデバイスを試したいけど、煩わしい契約により簡単に始められない
- Time to Marketを実現したいが、プロトタイプをスムーズに製品化できない
- シミュレーション環境による開発だけでなく、実機でも早期に開発に着手したい
ルネサスでは、これらのお客様のお困り事を解決するために、ルネサスのコネクテッド/ゲートウェイアプリケーション向け新開発環境「R-Car S4 Whitebox SDK」を準備しました。先日アメリカ/ラスベガスで開催されたCES2023のAGLブースにてご紹介させていただき、たくさんの来場者から多くの反響をいただきました。
今回のブログでは、R-Car S4 Whitebox SDKの特徴と利便性を紹介させていただきます。
R-Car S4 Whitebox SDKとは?
コネクテッド/ゲートウェイアプリケーション向けの魅力的なアプリケーション開発を加速させるための開発環境です。
R-Car S4 Whitebox SDKは以下の3つの特徴を有し、お客様のデバイス評価や付加価値アプリ開発の早期着手を可能とし、Time to Marketの実現に貢献します。
- オープンソースソフトウェアによる柔軟性(フレキシビリティ)とFoC(Free of Charge)ライセンスによる容易なトライアルが可能
- 豊富なR-Carコンソーシアムパートナーのエコシステムと連携することによる拡張性(スケーラビリティ)
- ユースケース指向のパッケージソリューションによる利便性(ユーザビリティ)の提供
Feature 1: Customizable full software stack (Flexibility)
R-Car S4 Whitebox SDKのソフトウェアは主にオープンソースソフトウェアで構成されています。そのため、ライセンス契約などの煩わしいプロセスを必要とせずに利用することができます。また、ルネサスは積極的にOSSコミュニティ活動に参画しており、常に最新環境へ追従させることでユーザーは最新機能を使うことが出来ます。
R-Car S4はCortex-A55, Cortex-R52に加えて、RH850にも搭載されるルネサスオリジナルCPUコアであるG4MHの3種類のCPUコアを搭載しています。Cortex-A55上には、XenハイパーバイザーやゲストOSとしてLinuxを、G4MHのサポートソフトウェアは、リアルタイムOSであるTOPPERS/ATK2だけでなく、MCUハイパーバイザーのSafeG-Autoを、Cortex-R52はZephyrに加え、Trampoline OSをサポートします。TOPPERS/ATK2とTrampoline OSはAUTOSAR仕様をベースとしたソフトウェアのため、ユーザーはこれらのリアルタイムOS上でアプリケーション開発をスタートすることができ、開発したアプリケーションは商用のAUTOSAR OSへスムーズな移行を可能とします。
Feature 2: Multiple choice and replaceable with ecosystem (Scalability)
R-Car S4 Whitebox SDKは主にオープンソースソフトウェアで構成されており、高いソフトウェア互換性によるベンダーアグノスティックを実現しています。これはルネサスの強みである250社以上のR-Carコンソーシアムパートナーの様々なソリューションとの親和性が非常に高く、商用化に向け自由にソリューションを組み合わせ、置き換えることも出来ます。つまり、同じソリューションでも複数のパートナーのソリューションから選ぶことができ、お客様の製品にあったソリューションを選択いただくことが可能です。
Feature 3: Package solution with use-cases and resource monitoring (Usability)
R-Car S4 Whitebox SDKは、SOTA (Software updates Over The Air) / FOTA (Firmware update Over The Air) やIPS (Intrusion Prevention System) / IDS(Intrusion Detection System) などのサンプルアプリケーション、テストプログラムやリソースモニタリングツール、ガイドラインなどAll-in-one packageで提供しており、容易にコネクテッド/ゲートウェイの機能テストや試作が行えます。また、リソースモニタリングは、CPU負荷、異種CPU間の通信性能、ルーティング性能などR-Car S4の性能を可視化することで、ユーザビリティ向上を図ります。
まとめ
如何でしたでしょうか?今回のブログではR-Car S4 Whitebox SDKの特徴と利便性について紹介しました。
R-Car S4 Whitebox SDKに興味を持たれましたら、こちらより技術文書、ソフトウェアを入手することができます。
現状、昨年11月末にWhitebox SDK Ver1.0をリリースしており、順次ソフトウェアの拡充を図ります。
ご要望ございましたら、問い合わせ先:[email protected]までご連絡ください。
*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
* TOPPERS/ATK2とTrampoline OSはAUTOSAR仕様に基づいたソフトウェアでそのソースコードはGitHub上で公開されております。商用目的でこれらのソフトウェアを利用する場合はAUTOSARおよび開発元のコミュニティの利用規約に準拠ください。