メインコンテンツに移動

RXマイコンによるトーテムポールインターリーブPFCの実現

画像
Kohei Aida
Kohei Aida
Senior Manager, Product Marketing
掲載: 2023年6月22日

RXファミリ RX-Tシリーズは空調機器の室外機や産業用インバータを中心に採用されておりますが、AC-DCコンバータなどの電源制御にも最適な機能を有しており、UPS・パワーコンバータ・EVチャージャといった電源制御アプリケーションでの採用が進んでいます。今回ご紹介するトーテムポールインターリーブPFCは、各種電子機器で必須のAC電源をDC電源に変換するAC-DCコンバータ機能を実現する回路で、一般的なダイオードブリッジによる整流回路+チョッパ回路のPFC回路に対し、更なる効率化(一般的にダイオードブリッジの整流回路による損失分 約40%を削減)可能な回路方式です。

制御には専用品を使用することもできますが、RXファミリ RX-Tシリーズに搭載するPWMタイマ、アナログ回路など、以下「トーテムポールインターリーブPFCを制御するRX-Tシリーズ内蔵機能」により1MCUによる制御も可能です。以下、本機能はインバータ制御に最適な機能ですが、AC-DC含めたコンバータ制御にも同様に最適な機能です。MCUによる電源制御は、専用ICに対し、ソフトウェア制御によるきめ細かい保護、制御の柔軟性、SCIなどによる他ICとの連携など数多くのメリットがあり、システム制御との融和性が高いのが特徴です。

なお、今回ご紹介するトーテムポールインターリーブPFCの制御に使用するMCUは、RXファミリ RX-Tシリーズ RX66Tグループですが、以下機能(RXファミリ共通機能)を搭載するRX26Tなどで同様に実現可能です。

トーテムポールインターリーブPFCを制御するRX-Tシリーズ内蔵機能

  1. PWM出力タイマ(MTU3,GPT)
  2. 12ビットA/Dコンバータ(S12AD)
  3. ポートアウトプットイネーブル(PWM出力緊急停止用)(POE3)
  4. コンパレータ(過電流検出用)(CMPC)
  5. 12ビットD/Aコンバータ(コンパレータ基準電圧用)(R12DA)

これら機能により、以下のトーテムポールインターリーブPFC制御を実現しています。

トーテムポールインターリーブPFC構成

PWM出力タイマはスイッチング素子のQ1/Q2、Q3/Q4、およびQ5/Q6を相補PWMで制御し、12ビットA/Dコンバータは、フィードバック制御の電流/電圧検出に使用しています。フェール制御となる過電流制御は、ポートアウトプットイネーブル(POE3)を使用しQ1~Q6の駆動を瞬時に停止させる構成としています。POE3の入力は、コンパレータ+12ビットD/Aコンバータを使用しています。

画像
Configuration of Totem Pole Interleaved PFC Control - RX66T

これにより以下の通り電源効率は最大95%以上、力率は99%以上を達成でき、専用品と同等の性能を発揮します。また今回はパワー半導体に一般的なIGBT+ダイオードを使用しQ1~Q6を構成していますが、高速スイッチング可能なSiCなどを使用する事で更なる効率アップが望めます。

NTCサーミスタあり:
入力電圧(Vrms) 入力パワー(W) 出力パワー(W) 力率(%) 効率(%)
225.27 311.7 294.7 99.61 94.55
225.63 165.8 155.7 99.00 93.9
105.74 173.5 155.7 99.94 89.74
NTCサーミスタなし:
入力電圧(Vrms) 入力パワー(W) 出力パワー(W) 力率(%) 効率(%)
227.2 307.8 294.2 99.61 95.58
105.77 169.1 155.5 99.88 91.96

また、以下の通り応答試験結果(直流ブレーカにて負荷を0%⇒100%、50%⇒100%に変化させる試験)においても、負荷変動をフィードバック制御する事で電圧を一定に保ち、AC-DCコンバータとして問題なく機能している事が判ります。

画像
RX66TによるトーテムポールインターリーブPFCの応答試験結果

今回、インバータ制御の応用としてMCUによる電源制御(トーテムポールインターリーブPFC)の実現性を紹介させていただきました。AC-DCのPFC ICなどの専用品に加えシステム制御との融和性が高いMCUをラインアップする事で、お客様の選択肢が増え、適材適所でご使用頂ける様になります。

今後もお客様ニーズに沿った良質な製品を世に送り出すことで、お客様のイノベーションに貢献していきます。ルネサスRXファミリのさらなる展開にご期待ください。

奥付

この記事をシェアする

ドキュメント

分類 タイトル 日時
アプリケーションノート PDF 2.67 MB 英語
1件