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Shun Matsuo
Shun Matsuo
Product Engineer
掲載: 2024年10月22日

HMI(ヒューマンマシンインターフェース)技術の発展に伴い、製品の付加価値を高める優れたデザインと高い操作性を実現できる静電容量式タッチセンサの需要が増加しています。以前は主にハイエンド家電製品に採用されていましたが、現在ではローエンド家電、産業機器、ビルオートメーションの操作パネル、さらには衛生面が重視される医療・ヘルスケア機器にも広がりを見せています。こうしたアプリケーションの多様化に伴い、HMIのシステムには高い性能と機能性が求められるようになっています。

これらのニーズに応えるため、最新世代の静電容量式タッチセンサIPであるCTSU2SLを搭載した32ビットマイクロコントローラ「RX261/RX260」を新たに発売しました。卓越した電力効率、高度なタッチ機能、強固なセキュリティ機能により、従来よりも省エネかつ多機能なアプリケーションを市場にリリースできます。

卓越した電力効率

最大64MHzで動作するRXv3コアは、355CoreMarkの高い性能を発揮します。このスコアは64MHz動作のCortex-M0+の2.5倍、また100MHz動作のCortex-M4と同等であり、卓越した電力効率を実現しています。その一方で、スタンバイ電流はクラス最高峰の1μAに抑えられています。さらに、ソフトウェアスタンバイ中に一部の周辺機能を動作させるスヌーズモードを使用することにより、間欠動作時の消費電力を最小化でます

高度なタッチ機能

CTSU2SLは、前世代と比較してノイズ耐性や耐水性が向上し、低消費電力を実現しています。以下の機能を搭載することで、水や油汚れが付着しやすいキッチンやトイレなどの水回り環境やスマートロックや小型家電などのバッテリー搭載製品や環境配慮型製品などのアプリケーションへの静電容量式タッチセンサの導入を可能にします。より多くアプリケーションに高度なタッチ機能を実装することで、製品の差別化を実現できます。

  • マルチ周波数スキャン:3つの静電容量の計測用クロックを生成し、同期する外乱ノイズの影響を低減
  • アクティブシールド:タッチ電極とシールドガード電極を同電位かつ同位相で駆動することにより水や油の付着による影響を抑制
  • 自動判定機能:スタンバイ中のタッチイベント検出をCPUなしで実現
  • MEC(Multiple Electrode Connection)機能:複数のタッチ電極をひとつの電極として計測することでタッチイベント計測時間と消費電流を低減

強固なセキュリティ機能

内蔵のコードフラッシュメモリに書き換え不可領域を設定できるエリアプロテクション機能が搭載されており、例えばセキュアブートのようなシステムセキュリティの起点となる重要なプログラムの書き換えを抑止することが出来ます。またRX261には最新のセキュリティIP(RSIP-E11A)が搭載されています。AES、ECC、SHAエンジンの不正利用や鍵の漏洩を防止する管理機能もサポートしています。

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RX261/RX260 MCU Package Size
図1:RX261/RX260 MCUのパッケージサイズ

これらの機能を活用することで、たとえばIoT家電では強固なセキュリティ機能により、ユーザーデータの保護や無線経由での安全なファームウェア更新が可能です。また、5V動作に対応した高いノイズ耐性や、低消費電力によりエネルギー規制にも適応できます。

さらに、エレベーター等の操作パネルには静電容量式タッチセンサを応用した近接ボタンを採用することで、触れることなく操作が可能となり、多くの人が使用する機器でも清潔さを保てます。操作パネルとその他のモジュールは、高信頼性のCAN FDまたはCANで接続できます。

スマートロックでは、静電容量式タッチセンサが屋外での耐水性・耐塵性を提供し、スマートウェイクアップ機能を活用することで消費電力を抑え、バッテリーの寿命を延ばすことができます。また、セキュリティ機能によりパスワードの保護や不正アクセスによる開錠の防止を実現できます。

RX261搭載した3種類の評価ボードも用意されており、開発フェーズごとに最適な評価が可能です。初期評価に最適なFPB-RX261、全機能を評価できるEK-RX261、タッチソリューションに特化した静電容量タッチ評価システムです。RX260の補足ぜひ、RX261/RX260の動作確認にご利用ください。

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開発フェーズ毎に最適な評価ボード
図2:開発フェーズ毎に最適な評価ボード

詳しくは、RX261/RX260の製品ページをご参照ください。

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