静電容量式タッチキーはフラットな操作パネルやバックライトにより浮かび上がる操作キーなどの洗練されたデザインを可能にするため、その需要がますます高まっています。しかしながら、静電容量式タッチキーは水で誤検知しやすいので水回りで使用する製品には導入が難しいと思っていませんか?
ルネサスではこれまで、相互容量方式を採用することで高い耐水性のある静電容量式タッチキーを実現していました。しかしこの方式はキー1つにつき2つの電極が必要となるため、電極の引き回しが複雑になり基板サイズが大きくなるため、小さな筐体で実装が困難なケースがありました。
この課題に対し、最新マイコンRX140に搭載されているCTSU2SL(静電容量式タッチセンサユニット)では、タッチセンサ用端子を用いたシールド電極の直接駆動方式を新たにサポートし、1つの電極で1つのキーを実現できるシンプルな自己容量方式でも高い耐水性を確保できるようにしたことで、小さな筐体でも採用していただけるようになりました。
シールド電極直接駆動方式では、タッチ計測用ドライブパルスをタッチキー電極用端子とシールド電極用端子の両方から出力します。こうしてシールド電極とタッチボタン電極を同電位とすることで、水滴の付着により増加する静電容量の影響を軽減し、誤検出の低減を実現しました。
ルネサスは本機能を評価できる自己容量耐水ボタンソリューションを提供しており、WEB上でサンプルプログラムやリファレンスデザインを公開しています。
以下の写真は本ソリューションのデモの様子です。シールド電極をタッチ計測用ドライブパルスで駆動しない場合(左側)は水の付着により誤検出が発生しLEDが点灯していますが、シールド電極を駆動した場合(右側)は水が付着しても誤検出が発生していないことがわかります。
以上のように、RX140では自己容量方式でも高い耐水性を実現しており、従来の相互容量方式と比べて少ない電極数で静電容量式タッチキーを実装できます。基板サイズの制約がある水回り用途でも採用が可能となりますので、これまでタッチキーの導入をあきらめていた方々も本ソリューションをご参考にして、再度ご検討してみてはいかがでしょうか。
ご参考:
[1] RX140
[2] 自己容量耐水ボタンソリューション
[3] 静電容量タッチキー