「AI」という単語を見ない日はないくらい、私たちの生活に浸透し始めているAIアプリケーション。興味はあっても実際に自分で試そうとすると、今までのプログラミングとはまったく異なるツールや開発フローがハードルとなり、なかなか手が出ないといった方も多いようです。
ルネサスエレクトロニクスは、従来の組込みプロセッサ並みの低消費電力でリアルタイム画像AIを処理できるAIプロセッサ「RZ/Vシリーズ」を提供しています。このRZ/Vを使ったAIを今まで以上に簡単に試せる学習済の「AI Applications」(以下、AI Apps) をリリースしました。
今回のブログではこのAI Appsを紹介させて頂きます。
AIを使ったアプリケーション開発の場合、ユーザアプリ開発とは別のAI開発環境の準備から始まり、AIモデルの選定・学習データの収集・AIモデルのトレーニングなど、たくさんの作業が必要となります。さらに、実際にユーザアプリで使えるレベルの精度を出すためにはこれらの作業を何度も繰り返さなければならない事が多く、ここに費やす時間と費用がAIをユーザアプリで活用する際の大きなハードルとなっていました。
今回リリースしたAI AppsはこのAI開発の期間を大幅に短縮する事ができます。また、AI Appsはオープンソースを使って開発しGitHubで無償公開しているため、評価だけでなくお客様の開発した量産製品にもそのまま無償でお使い頂く事ができます。
すでに20以上のAI Appsを提供中ですが、その中からいくつかご紹介します。
一つ目は「Conference Room Usage Monitor」(会議室利用状況モニタ)。
カメラに写っている人数を数えるシンプルなアプリです。人間の頭に特化して学習する事により高い精度で人数を数える事ができます。横方向からの撮影に使うアプリに加え、天井から見下ろす角度で頭数を数えることができる「Elevator passengers Counting」(エレベータ乗車人数カウント) も近日中に追加します。
2つ目は「 Defense wild animals for crop」(害獣検出)。
シカやイノシシによる農作物被害は日本だけで年間150億円以上の損害になっています(参考文献)。人間の眼だけでは間に合わない広い農場・牧場を見守るICTツールとして、このアプリを使った対策で少しでも害獣被害を減らせればうれしいですね。
今回ご紹介したAIアプリケーションをわかりやすく紹介したWebサイトも用意しました。お客様が用意するのはRZ/V2Lの評価ボードだけです。ぜひみなさんもRZ/Vを使った画像AI開発にチャレンジしてみませんか?
AI Applications and AI SDK for RZ/V
【参考文献】
農林水産省 農村振興局「鳥獣被害の現状と対策」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/attach/pdf/index-26.pdf