開発コストと消費電力を抑えながら、より多くの機能と高い性能を発揮する小型・薄型アプリケーションの需要は年々増加し続けています。コンシューマ機器、IoT/産業用センサー、医療/ヘルスケア分野等の開発設計者は、より小型で低コスト・低消費電力を実現するアプリケーションの開発に努めています。
Figure 1: 小型、薄型のアプリケーション例
このような市場動向の中で、これら小型・薄型アプリケーションに搭載されるマイクロコントローラも性能を最大限発揮しながら、同時に高集積化・低消費電力化が強く求められています。ルネサスではこの度、高い性能を実現しながら機器の省スペース・低コスト化に貢献する32ビットマイクロコントローラRA2E1をリリースしました。RA2E1グループは、48MHzのArm® Cortex®-M23コアと最大128KBのFlash Memory、16KBのSRAMをベースにしたRAファミリの新しいシングルチップマイクロコントローラです。RA2E1グループは1.6V~5.5Vの広い動作電圧範囲と、LQFP、QFN、LGA、BGA、WLCSP(Wafer Level Chip Scale Package)などの幅広いパッケージをラインナップしており、高性能、超低消費電力、特長的な機能をウェアラブル、ポータブル機器、産業用/IoTセンサ等のアプリケーションにお手頃な価格帯で提供します。
Figure 2: The RA2E1 グループブロック図
RA2E1グループは高精度アナログ機能、タイマ、静電容量式タッチ検出、多彩な通信インタフェース、セーフティ・セキュリティ機能を2.14×2.27mmの超小型25WLCSPに搭載、スペース制約のあるアプリケーションからの要求に応えます。また、高精度 (1.0%) 高速オシレータ、温度センサ、大電流駆動ポート、バックグラウンド動作データフラッシュなどの周辺部品をマイコン内部に取り込むことで、プリント基板の小型化と同時にシステムコストの低減を可能にします。
Figure 3: RA2E1超小型 (2.14 x 2.27mm) 25WLCSP
さらに、RA2E1 グループの低消費動作モードはすべての内蔵周辺機能、フラッシュメモリ、SRAMに適用可能で、アプリケーション使用例に応じた柔軟な電力設定を可能にします。その結果、バッテリーの寿命を延ばし、小型で密閉された筐体の中でも放熱性を向上させることができます。RA2E1 の主な低消費モードは以下のとおりです。
Sleep mode:RA2E1 MCU の内蔵周辺機能は動作させながらCPUを停止させます。これにより、消費電流を最大80%削減可能です。
Software Standby mode:CPU、フラッシュメモリ、SRAM、DTCなど、殆どのRA2E1 内蔵周辺機能が停止します(データ保持)。しかしパワーオンリセット回路は動作しており、必要に応じてIWDT、RTC、LVD、低消費タイマも動作させることが可能です。 RA2E1のソフトウェアスタンバイ電流は250nA (typ)、RTCのソフトウェアスタンバイ電流は360nA(typ)でSRAMデータ保持電流としては業界最小クラスを実現しています。また、ソフトウェアスタンバイからアクティブ動作には高速で遷移可能です。(ウェイクアップ時間 :7.3 µs.typ @HOCO使用時)
Snooze mode: スタンバイ状態でA/D変換またはシリアル通信を有効にし、必要な時だけCPUを起動させることができます。センサーからのデータ受信やAD変換の使用に適しており、Snoozeを有効に使用することでバッテリー寿命を大幅に延ばすことができます。
Figure 4: バッテリー動作機器でのRA2E1低消費モード使用例
RA2E1グループは、ルネサス製開発環境とパートナー製開発ツールから幅広くサポートされています。ルネサスからリリースしているEK-RA2E1 評価 kitは、RA2E1 グループの機能、性能評価が可能で、高性能・高信頼のFlexible Software Package (FSP)、RA2E1のExample Projectと組み合わせて評価いただくことで、アプリケーション開発加速を実現します。
Figure 5: ルネサスEK-RA2E1
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