マイクロコントローラに一石を投じるルネサスは、新世代のMCUを生み出すべく40nmプロセス技術のパワーを向上させました。高集積、電力効率、性能、スケーラビリティといった面を強化したこの40nm MCUは、これからの新スタンダードとなるでしょう。より小さくなったトランジスタサイズと最適化された回路設計によって、これまで類に見ない機能を幅広いアプリケーションにもたらします。携帯機器におけるバッテリ寿命の延長、処理能力や応答性の向上まで、組み込みシステムの可能性を飛躍的に広げるルネサスの40nm MCUテクノロジーについて詳しくご紹介いたします。
ルネサスの40nmプロセス技術における特長
ルネサスのマイクロコントローラユニット（MCU）プロセス技術は、業界の絶え間ない要求に応えるべく急速に進化してきました。先端技術が混じり合う世界をリードする存在である高性能かつ高集積なMCUは、生産性とイノベーションをさらなる高みへと導きます。電光石火の高速実行、シームレスな接続性、膨大なデータ処理能力という特長を持ったMCUは、現代産業システムに欠かせず、リアルタイム制御、インテリジェントオートメーション、データ駆動型の意思決定を可能にしています。プロセスノードの微細化に積極的に取り組んでいるルネサスですが、中でも40nmノードは最も人気の高い技術です。2013年に初めて40nm MCUを発表して以来、その進化は止まることなく、幅広いアプリケーションに対応可能な高性能と統合性を提供してきました。ルネサスの40nmプロセス技術は、高速コネクティビティ、高度なセキュリティ機能、人工知能や機械学習のサポートなどの高度機能を統合するように設計されています。
ルネサスの最新40nmプロセス技術によるMCUは高分解能、高サンプリングレート、高リニアリティのアナログ・デジタルコンバータ（ADC）を内蔵しています。さらに、分解能を向上させたデジタル・アナログコンバータ（DAC）により、高品質のアナログ出力信号を生成できます。このようにプロセス技術の限界を突破し、MCUの性能と機能を向上させ続けた結果、堅牢なアナログ機能を必要とするアプリケーションに向けた革新的なソリューションの設計が可能となっているのです。プロセスノードの微細化、高度機能の統合、電力効率の重視、処理能力の向上など、プロセス技術を取り巻くトレンドが刻々と変化し続ける中、ルネサスではあらゆるニーズに常に対応できる体制を整えています。
ルネサスの40nmプロセス技術を用いたMCU：機能とサポートアプリケーション
| 最先端40nm MCUの特長 |
|---|
| 高性能：高MHzとマルチコア |
| 低消費電力：50%電力削減 |
| 統合性：大容量フラッシュ |
| 安定性：20年間のデータ保持 |
40nmノードプロセス技術を用いたルネサスの40nm MCUは、上に示すように最先端機能と究極の統合性を提供
プロセス技術とは、MCU製造におけるトランジスタと相互接続のサイズを意味します。ルネサスでは、車載用マイコンユニット（MCU）にスプリットゲートMONOS技術（SG-MONOS）を採用することで、業界で頭一つ抜き出る多くのメリットを得ています。30年以上にわたる電荷トラップ型不揮発性メモリ製造（NVM）で培った経験を活かし、優れた機能と信頼性を提供するリーダーとしての地位を確立しているのです。このNVM技術を使ってより高速な性能を実現すると同時に、大容量フラッシュメモリをMCUに集積しました。その結果、効率的なデータ保存と取り出しが可能となり、アクセス時間の短縮とシステム性能の向上を実現しています。また、外部メモリデバイスの必要性を減らし、MCUの機能強化にもつながっています。
40nmプロセス技術の特長の1つとして、ルネサスが業界をリードする世界トップクラスの高速ランダム読み出し性能があります。迅速かつ効率的にデータにアクセスする能力は多くのアプリケーションにおいて最重要事項であり、ルネサスの40nm MCUはこの点で比類のない性能を発揮します。さらに、“待ち状態”を必要としない最速のフラッシュアクセスにより、データに高速アクセスでき、システム応答性の向上とレイテンシの短縮につながります。シームレスな動作のために迅速なデータアクセスが必要とされる、リアルタイム・アプリケーションにおいては特に重要となるポイントです。
また、電荷トラップ機構に基づくディスクリート・ストレージ・ノード・アーキテクチャを誇るのがルネサスの40nmプロセス技術です。この設計のおかげで高い信頼性とスケーラビリティが保証され、MCUが厳しい動作条件に耐え、進化する業界の要求に対応できるのです。さらに、窒化薄膜ストレージ技術（SiN）の統合によって薄型セル設計が可能になり、MCUを先進的なロジックプロセスに適合させることができます。
同期式シリアルインターフェース（SSI）プログラミングの実装は、低消費電力プログラミング動作を可能にさせ、エネルギー効率への貢献、消費電力の削減、携帯機器のバッテリー寿命を延ばします。また、ルネサスでは性能と電力効率をさらに向上させるため、低電圧ワード線駆動を取り入れ、読み出しアクセスパスの高電圧を排除しました。こういった最適化により、小面積を維持しながら400MHzを超える高速ランダム読み出し動作が可能となっています。高性能、低消費電力、小型化を兼ね備えたルネサスの40nm MCUが幅広いアプリケーションに最適な理由です。
産業用、消費者用、車載用といったさまざまなアプリケーションに大きな利点をもたらすルネサスの40nm技術。インチャージトラップ型NVM製造、世界トップクラスの高速ランダム読み出し性能、最速のフラッシュアクセス、高信頼性、スケーラビリティ、最適化された回路設計など、ルネサスはMCU技術の限界を超えていきます。この発展に伴って、エンジニアの皆さまに性能、電力効率、小型化が最重要視される多様な産業向けの革新的なソリューションを設計していただけるのです。
現代技術に新たな価値を生み出すルネサスのMCU
ルネサスの40nmプロセス技術は、高度な機能と性能をもたらすさまざまなMCUやMPU開発を可能にします。以下では、この技術を活用したMCU製品の一例を、その機能と対応アプリケーションとともにご紹介します。
RX72Nグループ
産業オートメーションおよび制御アプリケーション向けに設計されているMCUグループです。高性能32ビットRXv3 CPUコア、最大4MBのフラッシュメモリ、最大640KBのRAMを搭載しています。イーサネット、CAN、USB通信インタフェースもサポートしており、ロボット、モータ制御、ファクトリーオートメーションなどのアプリケーションに適しています。
RA6M5グループ
高性能IoTアプリケーション向けに設計されており、200MHzのArm® Cortex®-M33 CPUコア、最大2MBのフラッシュメモリ、最大512KBのRAMを搭載しています。イーサネット、USB、CAN FD通信インターフェースをサポートし、AES暗号やSHA暗号などのセキュリティ機能も備えています。スマートホーム、ビルディングオートメーション、遠隔監視をはじめ、あらゆるコネクテッドアプリケーションに最適です。
RX66Tグループ
産業用オートメーションシステムやロボットなどの高性能モータ制御アプリケーション向けに設計されたこのグループは、32ビットRXv3 CPUコア、専用ペリフェラル、メモリオプション、UART、SPI、I2C、CANなどの通信インターフェースを備えています。内蔵セルフテスト機能やメモリ保護ユニットなど、高度な安全・セキュリティ機能もカバーしています。通常2.7V～5.5Vの広い電圧範囲で動作し、ソフトウェア開発ツール、ミドルウェア、ライブラリを備えた包括的な開発エコシステムを提供します。産業用ロボット、モーター駆動機器、オートメーションシステムなど、精密なモーター制御を必要とするアプリケーションに最適です。
ルネサスの40nm MCUデバイス
これまで見てきたように、高集積、電力効率、パフォーマンス、スケーラビリティといった点で、ルネサスの40nmプロセス技術はマイクロコントローラに革命をもたらしています。先進的なMCUを活用することで、さまざまなアプリケーション向けの革新的なソリューションを設計し、バッテリ寿命の延長、処理能力の強化、応答性の向上を実現していただけます。ルネサスの40nm MCUが業界の新たなスタンダードとなる所以は、高速フラッシュメモリ、最適化された回路設計、高度なセキュリティ機能などにあります。産業用オートメーションや制御、IoTアプリケーションやモータ制御まで、これらのMCUがあらゆる場面で新たなレベルの生産性とイノベーションを推し進めるでしょう。私たちルネサスは、MCU技術の限界を押し広げ、半導体業界の進化するニーズに応えるべく付加価値の高いソリューションを提供し続けます。