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Renesas next generation Automotive Vehicle Computer VC4 – R-Car Ecosystem パートナーとのWinning comboソリューション

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Adam Korbel
Senior Staff Engineer
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Tobias Belitz
Tobias Belitz
Principal Engineer
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Thorsten Hoffleit
Thorsten Hoffleit
Senior Manager
掲載: 2022年4月26日

ユニバーサル開発プラットフォーム

VC4はオートモーティブ分野の顧客に対し、ユニバーサルな開発プラットフォームを提供することを目的として開発されました。このようなタイプのプラットフォームにおいては、要求されるアプリケーション性能に対して、複数クラスタ(Arm® CPU)での対応が必要となります。

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Communication Gateway ECU

加えて、従来型の車載通信インタフェースや機能安全レベルASIL Dをカバーする必要があり、32ビットマイクロコントローラでサポートしてきたレベルと同等のリアルタイム性能も必要となります。この要求に対して過去には、マルチチップ型のソリューションが提供されてきましたが、新しいR-Car S4では、これらの機能すべてが単一のデバイスによって提供されるため、BOMコストの大幅な削減と、新しい統合機能による処理性能の向上が可能になります。

高レベルのソフトウェア互換性

R-Car S4ソリューションでは、既存製品であるR-Car Gen3、及び、RH850で使用されるソフトウェアコードの80%以上を再利用することができます。サポートされるソフトウェアパッケージには、Linux BSP、Hypervisor関連の多種ドライバ、基本ソフトウェアが含まれています。

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Vehicle Computer VC4 block diagram

Vehicle Computer (VC4)のブロック図

VC4はルネサスのチップセットをベースに構成されます。R-Car S4の特徴としては、8x Cortex®A55コア、1x Cortex® R52コア、2x RH850 G4MHにより、最大27K DMIPSのアプリケーション性能と>5.3K DMIPSロックステップリアルタイム性能になります。加えて8MBのSRAMを内蔵しており、G4MHコア上で低レイテンシでのコード実行が可能です。また、内蔵の3ポートイーサネットスイッチ、16x CAN FD、8x LIN、4x SENT、1x FlexRay、2x PCIe V4.0など、豊富な車載インターフェースのサポートにより、多種多様な車内通信接続が可能になります。

R-Car S4がサポートする多様な低電力モード(always-on, cyclic-run, suspend-to-RAM)に対しては、ルネサスの強みであるPMIC(RAA271041及び、RAA271005)との組み合わせにより、きめ細かい電力制御が可能となります。RAA271041デバイスは、クランキングに伴う電圧降下(2.5V以下)に対し、対降圧機能をサポートします。RAA271005 は、外部信号を監視するために 12 ビット SAR ADC を内蔵しています。高精度Timing-ICであるRC21012及び、5P35023は、すべてのデバイスに対し、正確なクロック供給が可能です。

VC4はR-Car S4上でゲートウェイ、カーサーバー、ゾーン制御アプリケーションが実行出来、新しいE / Eアーキテクチャを評価する上で理想的なプラットフォームになります。

特性

主な機能

  • R-Car S4 ベースのゲートウェイソリューション
  • Automotive品質部品(Timing-IC及び、PMIC)
  • 強固な金属筐体
  • 温度範囲 -40°C~85°C
  • 入力電圧範囲 2.5V~40V
  • ウェイクアップ機能のサポート
  • RTCクロックサポート
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インターフェイス

  • 10BASE-T1S
  • 100BASE-T1
  • 1000BASE-T1
  • 1000BASE-RH
  • 2.5GBASE-T1
  • CAN/CAN FD
  • FlexRay
  • LIN
  • SENT
  • PCIe
  • アナログ入力
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Ecosystem パートナー :

当社のR-Car Ecosystemパートナーとの協業により、VC4のような複雑な設計に対しても、必要なハードウェア及び、ソフトウェアソリューションを手頃な価格且つ、短期間で実現しています。

VC4は1000以上の半導体部品とディスクリート部品で構成されています。近年の供給状況において、このような良好なパートナーネットワークを持つことは有益です。 VC4開発においては、技術的、部品供給面でいくつかのパートナーから強力なサポート受けました。Marvell殿は、高速イーサネットネットワークポート1000BASE-T1及び、2500BASE-T1において当社をサポート頂きました。The 88Q4364 PHY は、IEEE 802.3ch 規格で定義されている 2.5G/5G/10GBASE-T1 のイーサネット物理層部分を実装するトランシーバです。この高速通信のためには、 エプソンエレクトロニック殿によって提供された非常に正確なタイミング装置が必要になります。また、自動車用途水晶振動子の供給も賜りました。

VC4では、光イーサネットインタフェースを車載評価ボードに初めて統合しました。KDPOF殿には、IEEE 802.3bvに準拠した1000BASE-RHトランシーバを当社に共有頂き、広い温度範囲をカバーすることが出来ました。光ファイバトランシーバに関しては、MD-Elektronik殿よりトランシーバの光ダイオード部に光ファイバを接続するために必要な特別なヘッダを提供頂きました。新しい高速インターフェースに加えて、新しい低速技術も導入しています。IEEEは10BASE-T1S技術を開発し、100Mbps未満の速度に対して規格化しています。Microchip殿からは、R-Car S4に簡単に接続できるSPIインターフェースを備えた特別な10BASE-T1Sトランシーバを提供頂きました。このイーサネットインタフェースは、TDK殿が提供する信号結合のためのコモンモードチョーク(CMC)サポートのために必要となります。 すべてのイーサネットコネクタ、特に自動車に使用される、プライマリロックとセカンダリロックとの信頼性の高い接続は、Rosenberger殿のH-MTDコネクタによって実現されています。 ブートフラッシュはMacronix殿に提供頂きました。OctaBus™フラッシュ(MX25UW51245G)は、高速ブートを可能にするために高い読み取りアクセス性能を備えています。MX25UW51245Gの特徴であるRead-While-Write機能はファームウェア更新に対して有益な機能です。また、Linuxオペレーティングシステムは、パートナーであるWestern Digital殿の高性能UFS V3.1メモリに搭載されています。

この包括的なパートナーポートフォリオを活用することで、VC4を開発、量産化可能としています。 一方、ハードウェアコンポーネントと同様に、高品質のソフトウェア開発のためのパートナーも重要です。 Elektrobit殿と共同で、Autosarワークフロー内で組み込みイーサネットスイッチを使用可能なソフトウェアフレームワークを開発しました。EB Tresos Studioの拡張機能、ルネサスが提供するBSW及び、MCALへの適応により、お客様はイーサネットIPルーティングルールを設定できます。これらのルールは、ハードウェアの RSWITCH2 IP によって処理され、CPU へのオフロードなしで低遅延ルーティングを実現します。これらの拡張機能により、強力なイーサネット機能を簡易に操作できます。

今回VC4の開発に際し、多大なるサポートを提供頂いたすべてのパートナーに対して感謝致します。 R-Car向けにソリューションを提供頂いたパートナーの包括的なリストに関しては、こちらのR-Carコンソーシアムメンバーリストをご参照ください。

Vehicle Computer(VC4)は、一部の顧客向けに2022年第2四半期末に発売される予定です。 より詳細なドキュメントについては当社のウェブサイトにアクセス頂き、デバイス注文については当社営業担当者までお問い合わせ下さい。

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