昨今DX化という言葉をよく聞くようになりました。このDXは「つながる」事を基盤に構築されますが、産業業界も以前より「つながる」事で生産性の向上を図ってきました。いわゆるIndustrie4.0を一つの例としたIIoT化で、製造業のDX化とも言われる場合もあります。この流れは、イーサネットインフラの充実による成熟化や、高速化による大容量通信の実現によって、従来のフィールドバスからイーサネット化へ大きく変化しています。
さらに、産業業界もIT(Information Technology)層からOT(Operation Technology)層にわたる、より広範囲の「つながり」を産業ネットワークで結ぶようになってきました。その「つながり」を実現するため、特に重要なのは、リアルタイム通信と非リアルタイム通信の混在です。リアルタイム通信と非リアルタイム通信の混在には、“TSN”という時刻同期とスケジューリングの機能を持つネットワーク技術への対応が必要です。
このような通信に関するニーズは、新しく開発する機器での対応はもちろんの事、既存の機器でも対応する事が求められています。しかし、従来のシステムを大きく変えることは、工数がかかるため望ましくありません。そこで、既存のシステムに「簡単」に産業イーサネットを付加できる手法がないかが求められています。
ルネサスはこのニーズに応えるべく、産業機器や装置にネットワーク機能を容易に付加できる、産業イーサネット通信およびTSNに最適なRZ/N2Lマイクロプロセッサをリリースしました。
下図の通り外部のアプリケーション用ホストCPUとの接続用インタフェース(I/F)として、パラレルホストI/F、シリアルホストI/Fを搭載したことにより、RZ/N2LをホストCPUとダイレクトに接続し、高速にアクセスすることが可能です。また、ホストCPUはRZ/N2LのシステムRAMに格納された通信データに直接アクセスすることができます。
RZ/N2Lは、ホストCPUから独立してネットワーク処理を実行するため、既存のアプリケーションソフトウェアを大幅に変更することなく産業イーサネットに対応することが可能です。さらに、RZ/N2Lには、TSNに対応した3ポートのギガビットイーサネットスイッチを搭載しております。これによって、今後のTSN対応を実現します。また、3ポートを持つことで柔軟なネットワークトポロジーを実現します。
また、上記の主となる機能に加え、ΔΣ I/F、A/Dコンバータ、PWMタイマ、UARTやCANなどの豊富な周辺機能を搭載しております。RZ/N2Lに搭載した最大動作周波数400MHzのArm® Cortex®-R52と、これら周辺機能を組み合わせることで、コンパニオンチップとしての用途以外にも、産業イーサネットに対応したリモートI/O、センサハブ、インバータ、ゲートウェイなどを、RZ/N2L単体で実現する事も可能です。
次に、RZ/N2Lのスムーズな開発のため、以下のソリューションを提供します。初期評価に適した評価用ボード「Renesas Starter Kit+ for RZ/N2L」や、周辺機能のドライバやOSを組み合わせたFSP(フレキシブルソフトウェアパッケージ)、直感的に操作できるGUIでユーザのユースケースに合わせたドライバソフトウェアを生成可能なスマートコンフィギュレータを使用することで、簡単に開発ができます。さらに、ルネサスから産業イーサネット通信のプロトコルスタックを提供し、これらのプロトコル実装にかける開発工数を削減することができます。
詳しくは、RZ/N2L・Renesas Starter Kit+ for RZ/N2L・ウイニング・コンビネーションソリューションをご参照ください。
ビデオ&トレーニング
産業イーサネット、TSNを産業機器に容易に付加できるマイクロプロセッサRZ/N2L
RZ/N2Lの特長により、次の開発に産業ネットワークをより早く実現できる詳細をご覧ください。