ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長：赤尾 泰、以下ルネサス）はこのたび、サーバやノートPC等のCPU、メモリなど向けDC/DCコンバータ（注1）用に、超小型パッケージのパワー半導体2品種「RJK0222DNS」、「RJK0223DNS」を製品化し、2010年8月からサンプル出荷を開始します。
新製品は、DC/DCコンバータを構成する一対（2個）のパワーMOSFET（注2）を１パッケージに搭載したパワー半導体です。先端プロセスを採用した小型・低損失の第11世代パワーMOSFETの採用により、(1)3.2mm×4.8mm×0.8mm（max.）という超小型パッケージへの搭載を実現し、当社従来製品に比べ実装面積を約1/2に削減可能であり、(2)95.2%という業界最高の効率を達成し、電源の省電力化に貢献できます。
新製品のサンプル価格は共に1個あたり50円で、量産は2010年12月から開始し、2011年7月以降は2品種合計で月産200万個を計画しております。
ノートPC、サーバ、グラフィックカード等の情報機器や通信機器では、CPUやGPU、メモリ、ASICなどの電源電圧がバッテリーなどから供給される電圧よりも低いため、降圧用のDC/DCコンバータが複数搭載されます。情報機器の小型・薄型化のニーズに伴い、これらのDC/DCコンバータは小型・薄型化、更に高効率化が要求されています。
当社ではこうしたニーズに対応するため、これまで培ってきたパワーMOSFETの微細化等による小型化技術や小型・高放熱パッケージ技術を用い、超小型パッケージに一対のパワーMOSFETを搭載した2品種を製品化しました。
新製品の特長は、以下のとおりです。
(1) 実装面積を約1/2に削減し、電源の小型化、高密度実装に寄与
電圧変換に使用する一対のパワーMOSFETを3.2mm×4.8mmサイズの超小型パッケージ「HWSON3046（当社外形コード）」に搭載しました。当社従来の5.1mm×6.1mmサイズの「WPAK（当社外形コード）」パッケージ品に比べて実装面積を約1/2に削減できるため、DC/DCコンバータの小型化や高密度実装化に貢献します。
(2) 業界最高効率実現により、電源の省電力化に貢献
当社第11世代の低損失パワーMOSFET搭載により、スイッチング周波数300kHz動作時の最大効率は業界最高の95.2%（入力電圧12V、出力電圧3.3V時）を達成し、電源の省電力化が図れます。
なお、電圧変換に使用する一対のパワーMOSFETのうち、同期整流用（ローサイド用）パワーMOSFETのチップにはショットキバリアダイオードを内蔵しています。このため、DC/DCコンバータのデッドタイム（注3）時にパワーMOSFETからショットキバリアダイオードへ電流切り替えを行う時間を高速化でき、電力の損失を低減することができます。加えて、パワーMOSFETをオンした際の跳上り電圧抑圧に効果があり、輻射ノイズも低減できます。
また、「HWSON3046」パッケージは従来の「WPAK」パッケージ同様、高放熱タイプで、裏面にダイパッド（Die Pad）を備え、パワーMOSFETが動作時に発する熱を基板へ放熱できる構造となっているため、パワーMOSFETはより多くの電流を制御可能です。
ルネサスは、今後も2チップ搭載「HWSON3046」パッケージ品について、各種DC/DCコンバータの電源仕様に適した製品展開を推進していきます。
新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
なお、ルネサスは本年7月21日から23日まで、東京ビッグサイトで開催される「第25回電源システム展」に新製品を出展いたします。
以 上
（注1） DC（直流）の電圧を定められた電圧に変換する回路。
（注2） 制御用スイッチ（ハイサイドスイッチ）に使用する制御用パワーMOSFETと同期整流用スイッチ（ローサイドスイッチ）に使用するパワーMOSFET。この2つを組み合わせ、交互にオン・オフすることで電圧変換することができる。
（注3） パワーMOSFETはオフした後、完全にオフ状態となるまでほんの少しではあるが時間がかかる。このため、制御用パワーMOSFETと同期整流用パワーMOSFETを交互にオン・オフする際、一方をオフしてから少し時間をおいてもう一方をオンする。この時の待ち時間をデッドタイムという。
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