~ポータブル機器、省エネ家電、メータ向けに当社比約38%の消費電力削減も実現~
2010年11月29日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、「RXファミリ」マイコンの新シリーズとして、ポータブル機器、省エネ家電、メータ向けに画期的な低電圧、高速動作と超低消費電力を実現した32ビットフラッシュメモリ内蔵マイコン「RX200シリーズ」を製品化し、第一弾製品として「RX210グループ」を2011年3月より順次サンプル出荷いたします。

 新シリーズは、(1)電池の駆動電圧である1.62Vの低電圧で20MHz時約31DMIPS(Dhrystone MIPS(注1):ドライストーンミップス)の業界最高性能で動作可能なため、昇圧用の部品を外付けする必要がなく、システムコストや消費電力の低減が可能なこと、(2)CPUの消費電力が通常動作時で0.2mA/MHzと低く、既存の「RX600シリーズ」と比べ約38%低消費電力化していること、(3)機器が安全に動作するよう事前防止や誤動作対策を行うフェイルセーフ機能(注2)を豊富にチップに内蔵しており、家電の安全性規格IEC60730(注3)に容易に対応可能なことを大きな特長としています。

 「RX200シリーズ」第一弾製品の「RX210グループ」は、民生・家電向けであり、まず28製品を製品化し、2011年9月より量産を開始、2012年9月から「RX210グループ」で月産200万個を計画しております。サンプル価格は、512Kバイトフラッシュメモリ、64KバイトRAM内蔵の100ピンLQFPパッケージ品(R5F52108ADFP)を千個注文した際の単価が680円となります。また、2011年度には「RX210グループ」第二弾をはじめ、メータ向け製品など、「RX200シリーズ」全体で合計約100製品を展開する予定です。

 「RXファミリ」は、既に高速・高性能を訴求した「RX600シリーズ」を製品化し、産業、OA機器など向けに量産を行っていますが、近年、エコ、省エネ化の要求がますます高まっており、家電等では動作時だけではなく、待機時の電力の削減も重要な課題となっています。そしてバッテリで動作するスマートファン、ポータブル健康機器、デジタルカメラ等では低消費電力化を進めることにより、バッテリライフを伸ばすことが重要な課題となっています。また、低電圧動作として、従来の1.8Vから、電池の駆動電圧である1.62V動作も要求されています。こうしたニーズに早期に対応するため、超低電圧動作、超低消費電流、かつ高性能を実現する「RX200シリーズ」を製品化したものです。

 「RX200シリーズ」では1.62Vの低電圧でも20MHzの高速動作が可能なため、高性能化が進むポータブル機器において、センサのデータ処理等の負荷の高い処理にも十分対応することができます。

 「RX200シリーズ」の主な特長は以下の通りです。

(1)業界トップクラスの超低電圧・高速動作を実現

 1.62~1.8Vの低電圧で最大20MHz、2.7~5.5Vでは50MHzの高速、高性能を実現します。また、動作下限電圧と同じ1.62Vまでフラッシュの書換えが可能なので、フラッシュのオンボード書換えの際にも専用の別電源が不要であり、システムの低コスト化や省電力化が図れます。加えて、1.62V、20MHz時に業界最高性能となる31.2DMIPSを、2.7V、50MHz時には78DMIPSを実現しています。

(2)超低消費電力を実現

 「RX200シリーズ」は動作時には0.2mA/MHzとRX600と比べ約38%低消費電力化、スタンバイ状態ではRTC(Real Time Clock:時計)動作時で1.3μA、RTC停止時では0.3μAの低消費電力を実現します。これにより、システムの省電力化とバッテリ駆動時間の向上が図れます。

(3)家電の安全規格IEC60730対応用のフェイルセーフ機能を内蔵

 家電の安全性確保への要求がますます高まっており、欧州では安全規格IEC60730への準拠が義務付けられています。「RX200シリーズ」では次のように、IEC60730で要求されるフェイルセーフ機能を実現する機能をチップに内蔵しており、ソフトウェアの負荷、外付け回路を大幅に削減することができます。

 内蔵している安全機能は、①RAMの故障テストをアシストするDOC(Data Operation Circuit)、②通信のエラーを検出するCRC(Cyclic Redundancy Check)、③クロック周波数の上昇、低下を検出するCAC(Clock Frequency Accuracy Measurement Circuit)、④発振子の発振停止検出回路、⑤システムクロックとは独立したクロックで動作するウォッチドックタイマ、⑥A/D変換器のアナログ入力の断線検出アシスト機能、A/D変換器の自己診断機能等です。

(4)システムコストを低減する、豊富な周辺機能を内蔵

 10万回書換え可能なE2データフラッシュを搭載し、外付けEEPROMの削減が可能です。これ以外にもPOR(リセット回路)、LVD(Low Voltage Detector:電圧検出回路)、温度センサ、HOCO/LOCO(高速発振回路@50Mz、低速発振回路@125KHz)、RTCを内蔵し、従来は外付けされていたリセットIC、温度センサIC、発振子、RTC ICが不要となり、システムコストの低減に寄与します。

 なお、「RX200シリーズ」は「RX600シリーズ」と命令セット、周辺機能、ピン配置の互換性があるため、ソフトウェアを流用可能です。RX210の開発環境としてはRXファミリ共通のオンチップデバッギングエミュレータ「E1」とフルスペックエミュレータ「E100」、周辺機能ドライバの自動生成ツール「PDG-Peripheral Driver Generator」を提供します。

 また、ルネサスは2010年12月1~3日に横浜市で開催される「組込み総合技術展(ET2010)」に新製品を展示する予定です。

新製品の仕様は別紙をご参照下さい。

以 上

(注1) Dhrystone MIPS(Million Instructions Per Second)とは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムDhrystoneによる性能測定値のこと。本製品の31DMIPSおよび78DMIPSという性能値は測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

(注2) 故障を未然に検知し、被害を防止したり、なんらかの原因で誤操作・誤動作による障害が発生しても、 安全に動作するように制御する機能。

(注3) IEC(International Electrotechnical Commission)は電気工学、電子工学および関連した技術を扱う国際的は標準化団体。IEC60730は家電安全性規格。

* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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