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白物家電のモータ等駆動用に、マイコンから直接駆動可能かつ高転流のパワー半導体を発売

2011年12月15日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、洗濯機や冷蔵庫など白物家電のAC(交流)モータやソレノイド、ヒータ駆動用トライアック(パワー半導体)として、マイコンからの低電流で直接駆動(トリガ)できるトライアック(電流8A、耐圧700V対応)「BCR8LM-14LK」を製品化し、2012年1月よりサンプル出荷を開始します。

 トライアックは、交流回路の制御電源スイッチに用いられますが、駆動電流(ゲートトリガ電流:トライアックをオンさせるために必要な電流)(IGT)が大きいため、通常マイコンからの出力電流を増幅する回路が必要となります。新製品では、従来からの特長である高転流(注)を維持しつつ、トレードオフの関係にあるゲートトリガ電流を12mA以下に低減しており、マイコンからの直接トリガが実現できます。このため、従来必要であったトライアック用の増幅回路が不要となり、電源の小型化および部品コスト低減、低消費電力化が図れます。

新製品のサンプル価格は1個あたり80円で、量産は2012年3月から開始し、2013年3月には月産300万個を計画しております。

背景

 近年、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電におけるデザインや省エネ等の観点から、交流モータやソレノイド、ヒータの駆動回路にもさらなる小型化や低消費電力化が求められています。このため、トライアックには増幅回路を不要とし、マイコンから直接トリガ可能であることが望まれています。しかし、トライアックは通常30mA以上のゲートトリガ電流が必要であるため、マイコンからの低電流出力に対応するべく12mA程度に低減すると、トライアックで重要な特性項目である転流特性や、誤動作防止のための臨界オフ電圧上昇率(dv/dt)が悪化してしまうという問題がありました。そこで、今回、ゲートトリガ電流を小さくするための基本構造の構築、デバイス構造およびプロセスの最適化により特性を落とさずに12mA以下の ゲートトリガ電流を実現したトライアック「BCR8LM-14LK」を製品化しました。

特長

 新製品は、耐圧700Vのトライアックでは業界で初めて、従来からの高い転流特性((dv/dt)c)10V/μsを維持したまま12mA以下のゲートトリガ電流を実現しています。このため、従来必要であった増幅回路が不要となり、電源の小型化、部品コストの低減や低消費電力化が図れます。

 今後は、新製品の8A対応に加えて、12A、16A、20A対応品をシリーズ展開します。また、パッケージも今回の絶縁TO-220FL(UL認証取得)パッケージに加えて、非絶縁外形のラインアップを計画するなど、幅広いニーズに対応していきます。

 新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注) 転流は交流電源で正から負、負から正へと電圧を反転させることであり、トライアックではオンからオフヘ反転させることを示します。 モータやソレノイド等の誘導負荷制御では、トライアックがオフに反転する際、電流の遅れがあると、その影響で、転流時のオン電流下降率(di/dt)cにおいて急峻な臨界オフ電圧上昇率(dv/dt)cが発生する場合がある。この場合、トライアックがゲート信号なしにオン状態へ移行して制御不能な状態になるため、確実にトライアックをターンオフできる高転流であることが望まれる。

* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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