ルネサスのSmart Analog向けWebシミュレータ「Renesas VA」
ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長：赤尾 泰、以下ルネサス）は、様々な分野で機器への搭載ニーズが高まるセンサシステムに向けて、「Smart Analog向けのWebシミュレータ （注2）『Renesas VA(Renesas Virtual Smart Analog Laboratory)』」を開発しました。本シミュレータは、センサ用アナログ回路 （注3）の設計期間を大幅に短縮できる「Smart Analog」と各種センサの購入前からWeb上でシステム検証が行えるため、通常１～３か月必要であった事前検証期間 （注1）を削減できます。「Renesas VA」は、本日から当社Webサイト（ http://japan.renesas.com/smart_analog/）で運用を開始いたします。
「Smart Analog」は、マイコンからの制御で回路構成や特性を再構成可能な新タイプのアナログ回路を搭載した製品群であり、製品発表以来、そのユニークさと、熟練したアナログ技術がなくてもセンサ用アナログ回路を容易に構成できるため設計期間を当社比で3～8ヶ月削減できることから大きな反響を得ています。
そして今回のWebシミュレータ「Renesas VA」を活用することで、（1）センサや「Smart Analog」の購入前からセンサシステムの回路構成が自動設定でき、動作確認を行えるため、システム検証期間を1から3ヶ月削減可能となります。このため開発費を含む機器開発のトータルコスト低減も図れます。加えて、（2）温度センサ、赤外線センサ、衝撃センサなど様々なセンサの種類とメーカ別のデータを揃えており約100個のセンサに対応可能、2012年度中に約1,000個に拡充する予定です。また、（3）本Webシミュレータは、当社Webサイトにユーザ登録 （注4）するのみで、PC等にソフトウェアのインストールを行うこと無く、クラウド環境での動作確認が可能となります。
「Smart Analog」は、当社が注力するマイコンとアナログを融合したソリューションの１つであり、今後も対応するセンサ数の拡大やWebシミュレータ対応製品の強化を図っていきます。
近年センサは、使い勝手の向上やエコシステムの拡大、ヘルスケアの浸透、セキュリティの強化などから、民生、産業、医療を始めとした各種機器において搭載が進んでおり、タイムリーな市場投入のために短期間でセット開発を行うことが望まれています。しかし、様々なセンサの種類に応じてアナログ回路も異なる回路構成、特性設定を行うことが必要となることから、アナログ設計にはノウハウを要し、アナログ回路の設計期間を短縮できないという課題がありました。
こうしたニーズに対応するため当社では、昨年、様々なセンサに1つで対応でき、かつアナログ回路の開発を容易化できる「Smart Analog」を製品化しています。そして今回さらに、各種センサの書類選定から購入後のシステム検証にかかっていた時間をさらに短くするため、各部品の購入前からWeb上でシミュレーションが行える「Renesas VA」を開発し、本日より運営を開始したものです。
「Smart Analog向けWebシミュレータ『Renesas VA』」の主な特長は、次の通りです。
（1）Web上でセンサとアナログ回路の回路構成、特性を自動設定でき、センサシステム検証期間を１から3ヶ月削減可能
市販されているセンサのメーカ名、型番を「Renesas VA」で指定するだけで、最適なセンサ用アナログ回路の回路構成やセンサからの微小な信号を増幅するアンプの増幅度、オフセットを自動で設定できます。また、センサの選定には、従来ドキュメントでの検討から購入後の実機でのシステム検証が必要でしたが、「Renesas VA」ではセンサ部品や「Smart Analog」を入手する前から即座に選定・検証できるため、（既に「Smart Analog」で実現したセンサシステムの実機での開発期間の当社比3から8ヶ月削減に加え、） 今回更にセンサシステムの事前検証期間を１から3ヶ月削減（注1）することが可能です。
（2）2012年度中には約1,000個のセンサに対応
「Renesas VA」には予め市販されているセンサのデータ約100個を登録（注2）しております。今後、登録センサ数を順次増やし、2012年度中に約1,000個以上のセンサに対応し、ユーザの利便性を図ります。
（3）クラウド環境での動作を実現
「Renesas VA」は、クラウド環境により動作できるため、PC等にソフトウェアのインストールを行うこと無く、ブラウザ上での活用が可能となります。加えて、当社Webサイトにユーザ登録するのみで無料で即日使用できます。
（4）様々なシーンにあわせた使い勝手の良いシミュレーションを実現
(a) 使用条件に合わせて電圧駆動、電流駆動などバイアス回路の選択が可能
センサによっては駆動用バイアス方法が複数ある場合がありますが、本シミュレータには最適なバイアス方法を選択することが可能です。またシミュレーション条件は、センサ環境の物理量を正弦波や三角波などの周期関数で設定でき、検討中のセンサシステム環境に合わせて、その条件におけるセンサと「Smart Analog」のシミュレーションが視覚的に確認できます。
(b) ノイズ印加など応用シュミュレーションも可能
「Renesas VA」では、温度センサや圧力センサなど様々なセンサについて、センサ環境を変えたときのシミュレーションに加え、ノイズを印加して内蔵フィルタによるノイズ削減効果を確認するためのシミュレーションなどが可能です。これらの確認は、様々な条件を変更し、シミュレーションを繰り返し実施することがありますが、これら操作を繰り返す場合でも、「Renesas VA」の設定はクリック一つで自動設定されます。過渡解析の波形を確認し、センサ環境を変更し、それに応じた「Smart Analog」の最適な増幅度、オフセットを自動で設定して、シミュレーションを継続するなど、スピーディーなシステム評価が可能となります。
「Renesas VA」で確認可能な「Smart Analog」製品として、回路構成可変型の「Smart Analog IC500」を本日より、計装アンプ型の「Smart Analog IC 501」を7月より掲載いたします。そして、対象製品を順次拡充してまいります。
ルネサスは今後もセンサメーカと協力し「Smart Analog」が対応するセンサ数の増加やキットソリューション開発によるセンサ搭載セットの開発期間短縮に貢献していきます。
「Renesas VA」の機能一覧と画面イメージは、別紙をご参照ください。
また、ルネサスは2012年6月14～15日に大阪市で開催される「Embedded Technology West 2012（組込み総合技術展 関西」に本「Renesas VA」を出展いたします。
以 上
（注1）当社推定
（注2）Webシミュレータとは、ブラウザ上で動作するシミュレータ。シミュレーション用のソフトウェアをPCにインストールする必要がないため、容易にセンサ用アナログ回路の回路構成等を確認できる。
・なお、本シミュレータ「Renesas VA」は、デバイスのばらつきや温度特性等を考慮したものではなく、シミュレーション結果について、ユーザの使用条件において同様の結果が得られることを保証するものではありません。
本シミュレータで使用するSmart Analogとセンサ間の接続は一例です。最適な接続例として提示するものではありません。実デバイスの使用に当たっては、Smart
Analogやセンサの製造上のばらつき、実装条件による影響など様々な変動要因があることを理解の上、ご使用ください。
（注3）センサが感知した微小なアナログ信号を増幅するアンプなどを搭載した回路（アナログフロントエンド回路）
（注4）Renesas VAへのログインには当社のユーザ登録「My Renesas」への登録が必要となります。
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