ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび、ルネサスの32ビットマイコン「RXファミリ」における超低消費電力版「RX100シリーズ」の第二弾製品として、健康機器等のバッテリ制御機器への応用に最適な「RX110グループ」33品種を製品化しました。本日より順次サンプル出荷を開始します。
新製品は最大動作周波数32MHz(メガヘルツ)の高性能32ビットCPUを搭載した製品で、小ピン(36ピン~)/少メモリ(8KB フラッシュメモリ~)を特長とした、RXファミリの中でも最も小型な製品で、USBを搭載した上位機種「RX111グループ」との完全下位互換を保ち、 USBの要/不要に応じ使い分けることが容易となっている上、上位機種である「RX600シリーズ」、「RX200シリーズ」ともCPUコア、周辺機能ともに高い互換性があるため、ユーザーの開発期間の短縮に貢献できる点が最大の特長です。
また、スタンバイ時350nA(ナノアンペア、注1)の超低消費電力、4.8μs(マイクロ秒、注1)の高速スタンバイ復帰、1μs(注1)で変換可能な12ビットA/Dコンバータ等の性能を提供するほか、4mm×4mmの小型パッケージにも対応します。
新製品のサンプル価格は、メモリ容量が最も小さい8KB搭載のLGA 36ピンパッケージの製品で1個あたり150円からとなっており、2014年3月から量産開始、2015年12月には100万個を生産予定です。
近年、組込み系マイコンを使用するアプリケーションでは、機器の高付加価値化のため機能追加などによるプログラムサイズの増大や高級機から低級機までを同一 のシステムプラットフォームで設計し、グレードに応じて使用するマイコンを使い分けることが一般的になってきています。一方、それに対応する開発期間は毎年一定、または短くなってきているため、ファームウェアの開発効率の向上や様々なグレードに応じ最適なマイコンを選択できるよう、同一CPUコアで動作周 波数、搭載メモリ、対応パッケージの幅広い、シームレスかつスケーラブルなマイコンが必要とされてきています。なお、CPUコアを統一することにより開発環境を統一でき、開発初期段階での投資の低減やメンテナンス性向上等を図れるメリットもあります。このようなニーズに応えるため、当社ではRXファミリと して同一コアでの豊富なバリエーションをご用意しています。
また、健康機器、スマー トフォン、ウェアラブル端末、携帯ゲーム機等の計測機器の分野では、センサーが多数搭載されるようになり、それを制御するセンサーハブとして、高性能、低 消費電力、小型パッケージのマイコンの需要が増加しています。特に健康機器等のバッテリ駆動機器では、電池の寿命を延ばすため、計測や処理を高速に完了 し、スタンバイ状態に遷移することで、動作時間を削減し平均電流を下げることが求められています。
当社は、これらのニーズに対応するために新製品を開発しました。
また、新しいマイコンを導入する際には、周辺機能の理解、およびプログラムの開発に不慣れで開発に時間を要します。こういった課題を解決するため、新製品では、CPUの評価ボードやアプリケーションノート、サンプルコードに加えGUIによる対話形式で使用する周辺機能の制御ソフトウェアを自動生成する機能をサポートする等、ルネサスオリジナルの開発環境も充実させています。さらに、国内外の主要なパートナーベンダ様からも様々な開発ツール、ミドルウェア、 リアルタイムOSの等のサポートも充実させており、ユーザーの開発を支援できる環境を整えています。
新製品の特長の詳細は以下のとおりです。
(1)高い互換性による開発期間の短縮に貢献
新製品は小ピン(36ピン~)/少メモリ(8KB フラッシュメモリ~)を特長とした、RXファミリの中でも最も小型な製品で、USBを搭載した上位機種RX111グループとの完全下位互換を保ち、USB の要/不要に応じ使い分けることが容易となっている。また、上位機種である、「RX600シリーズ」、「RX200シリーズ」ともCPUコア、周辺機能ともに高い互換性があり、新製品の追加によりRXファミリトータルとして32MHz~100MHzの動作周波数範囲、フラッシュメモリ8KB/RAM 8KBからフラッシュメモリ2MB(メガバイト)/RAM 256KBまでのメモリ展開、36ピンから176ピンの様々なパッケージラインアップを揃えているため、ユーザーのプラットフォーム開発における様々な ニーズに同一CPUコアの製品群として対応が可能。
また、RXファミリ共通にスター タキット等評価ボード、各種アプリケーションノート/サンプルコードを準備しており、すぐに開発を始めるための開発環境を充実させている。中でもGUIによる対話形式で使用する周辺機能の制御ソフトウェアを自動生成する機能を、当社オリジナルな統合開発環境 「CubeSuite+(注3)」および「e2 studio(注3)(注4)」にビルドインした形で提供することによりユーザーのプログラム開発効率の向上を支援する。
上記の幅広いRXの製品展開と開発環境によって、異なる複数のマイコンを使用する場合に対して機能の理解やソフトウェア資産の流用、評価時間の短縮化等により開発期間を約2割短縮させることができる。
(2)高い処理能力と低消費電力のベストミックスを提供
新製品は、動作時の電流値は、CPU動作周波数32MHz、周辺機能停止の状態で3.2mA(注1)、RAM、レジスタ値を保持した状態でもソフトウェアスタンバイモード時には350nA(注1)と非常に低消費電力となっている。3.08CoreMark/MHz(注1)(注2)の高性能CPUの搭載により、動作時の処理を高速に完了してスタンバイモードに遷移することができるため、電流消費の大きい動作時の期間を短縮することがで きる。さらにスタンバイからの復帰時間もわずか4.8μsと高速なため、復帰中の電流の損失も減らすことが可能。これらの特長により、新製品は例えば 10msの周期でスタンバイ状態から復帰し、0.4msで動作を完了し再びスタンバイ状態に入るといった間欠動作をする場合、当社従来16ビットマイコンに比べ平均電流を約1/3に削減することができるため高性能、かつバッテリの長寿命化が必要な機器への応用に適している。
(3)小型パッケージに対応し、携帯型バッテリ機器への採用も容易
新製品はRXファミリでは最小となる4mm×4mmの小型パッケージ(LGA 36ピン)に対応しており、健康機器、スマートフォンのサブマイコン、ウェアラブル端末等の実装スペースの制約が厳しいシステムにも対応することができる。
ルネサスは、新製品の拡販活動を推進するとともに、今後もRXファミリ新製品の高速・高性能/大容量メモリ/豊富なパッケージ展開を積極的に行う計画です。
新製品の仕様は別紙をご参照ください。
RX110の製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx100/rx110.html をご覧ください。
以 上
(注1)設計段階の目標値。
(注2)CoreMarkとは、米EEMBC(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)がCPUコアの評価に特化したベンチマーク・テスト。データの読み出しや書き込み,整数演算,制御演算などを実行させるC言語のプログラム群のこと。
(注3)エディット、ビルド、デバッグの機能を1つのパッケージにまとめたルネサス製の開発環境のこと。
(注4)現在提供しているCubeSuite+に加え、10月よりEclipseベースの統合開発環境e2 studioもリリースする計画。
*本製品はSilicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けた SuperFlash®を使用しています。
*SuperFlash®は、米国Silicon Storage Technology, Inc.の米国,日本などの国における登録商標です。
*その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
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