電磁干渉(EMI)は、電子デバイスの設計者にとって重要な課題です。FCC(連邦通信委員会)および欧州連合が執行する厳格なガイドラインにより、システムから発生するEMIが規制されています。水晶発振器でもシリコンベースのPLLでも、周波数基準は回路基板上のEMIの主要発生源となり得ます。その対策としてスペクトラム拡散クロックの利用は有効な手段の一つです。
スペクトラム拡散クロッキングとは何か?
スペクトラム拡散クロッキングとは、クロックによって生じるピークエネルギーを低下させるために出力周波数を僅かに変調する技術です。スペクトラム拡散クロッキングを使用することで、基本周波数およびその後に続く高調波の両方から生成されるEMIが削減されるため、システム全体のEMIが減少します。スペクトラム拡散クロックジェネレータ(SSCG)製品は、ダウン拡散とセンター拡散の2種類のスペクトラム拡散クロックに対応しています。ダウン拡散スペクトラム・クロッキングは、名目クロック周波数以下の波長を変調し、センター拡散スペクトラム・クロッキングは、名目クロック周波数の上下の波長を平均して変調します。使用される拡散スペクトラム・クロッキングの種類は、クロックの目的地の仕様により異なります。目的地のチップセットやCPUの中には、違反できない最大クロック周波数仕様があります。この場合は、ダウン拡散スペクトラム・クロッキングが適用されます。
ニーズに合った最適なスペクトラム拡散クロックの選び方:
ルネサスは、アナログとデジタルの位相ロックループ(PLL)技術を独自に組み合わせ、柔軟性の高いスペクトラム拡散クロックジェネレータ(SSCG)製品の幅広いポートフォリオを構成しています。ルネサスのスペクトラム拡散クロックジェネレータのポートフォリオには、水晶またはクロック基準入力をサポートする製品があります。クロック基準入力でスペクトラム拡散クロックを導入する必要があるシステムでは、ルネサスの高性能PLL技術により、良好な位相ノイズと高性能を維持しつつ、EMIノイズを低減します。ルネサスのスペクトラム拡散クロック技術を使用することで、お客様は高性能を維持しながら、高価なシールディング、チョーク、フェライトビーズなどのコストと設計時間を削減することができます。