ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)はこのたび、産業用RZ/G Linuxプラットフォームを構成するマイクロプロセッサ(MPU)の第二世代として、従来の32ビットMPU「RZ/G1」の高性能版、64ビットMPU「RZ/G2」、4製品を発売します。新製品は、64ビットCPUコア採用により、従来のRZ/G1グループに比べて処理性能が大幅に向上しました(CPU処理性能で最大2.7倍)。また、半導体の微細化で問題となっているソフトエラー(注1)の対策として、メモリの誤り検出・訂正(ECC:Error Checking and Correction)機能(注2)を全製品に搭載しました。この機能をチップ内蔵のキャッシュメモリと外付けのDDR3LやLPDDR4メモリの両方に適用しており、メモリ内のデータ破損による誤動作等のリスクを排除することで、産業機器の信頼性をより向上します。
さらに今回、RZ/G Linuxプラットフォームとして、RZ/G2対応のLinuxパッケージには、The Linux FoundationのCIP(Civil Infrastructure Platform)が新たに提供する10年超サポートの64ビットCPU用SLTS(Super Long Term Support)Linux Kernelを適用します。これに、HTML5やQtをサポートするGUI(Graphics User Interface)フレームワークや、3Dグラフィック、H.264/H.265ビデオ、セキュリティ機能等の基本ソフトウェアを加えて、動作検証済みのパッケージソフト(Verified Linux Package)として同時に提供を開始します。これらによりユーザは、HMI(Human Machine Interface)機能やネットワーク機能をより容易に開発可能となり、モバイル機器のようなリッチなグラフィック表示機能を持つ産業用機器を早期に市場投入可能になると共に、Linuxのメンテナンスコストを大幅に削減することができます。
すでに、DJ/クラブ機器、業務用音響機器で業界をリードするPioneer DJ株式会社など先行して評価していただいているお客様にも、RZ/G2Mの性能やグラフィック機能が高く評価され、採用が始まっています。
なお、RZ/G2グループとして、最もハイエンドな8コア品「RZ/G2H」から、6コア品の「RZ/G2M」、2コア品の「RZ/G2N」と「RZ/G2E」まで4製品を発売予定です。本日より、6コア品であるRZ/G2Mと2コア品のRZ/G2Eのサンプル出荷を開始し、順次提供します。
ルネサスは、RZ/G2を含む産業用RZ/G Linuxプラットフォームを使用したデモンストレーションを、2019年2月26日から2月28日にドイツ・ニュルンベルクで開催される組み込み機器の専門展示会「embedded world 2019」の当社ブース(ホール1、スタンド1-310)に出展する予定です。
CIP Governing Board Chairmanで、Siemens AG のSmart Embedded Systems、HeadであるUrs Gleim氏は次のように述べています。「ルネサスは新しい64ビットArm CIPカーネルをサポートする最初のメンバーです。そして新しいCIP Linuxパッケージを認証しリリースするために、RZ/G2 MPUがArm64のための最初のリファレンスハードウェアとして役立つことを嬉しく思います。これはまさに、我々の世界中のコミュニティのバックボーンである、重要なシステムを超長期間サポートする、というミッションに一歩近づいたと言えるでしょう。」
ルネサスのインダストリアルソリューション事業本部、エンタープライズ・インフラ・ソリューション事業部の事業部長、加藤 茂樹は次のように述べています。「ルネサスは今回、産業オートメーションやビルオートメーション分野での組み込み用MPUに対するニーズを満たすようにRZ/G2を設計しました。RZ/G2は、高い性能、搭載された豊富なインタフェース、高い信頼性、さらにソフトウェアの長期サポートで、このニーズに応えます。」
「RZ/G2グループ」の主な特長
- 64ビットCPUコアArm® Cortex®-A57とCoretex-A53を搭載
- 2コアから8コア搭載品までRZ/G2E、RZ/G2N、RZ/G2M、RZ/G2Hの4製品をラインアップ
- メモリの誤り検出・訂正(ECC)機能を全製品に搭載
- LPDDR4あるいはDDR3Lの外部メモリインタフェースに対応
- 高速インタフェースとしてUSB3.0、SATA、PCI-e、ギガビットイーサネット、QSPI、eMMCを内蔵
- グラフィックス、ビデオ機能として、3Dグラフィックスエンジン、H.264および4K対応のH.265コーデック、HDMIインタフェース、LVDSインタフェース、MIPI-CSI2カメラ入力インタフェースを内蔵
- RZ/G Linuxプラットフォームとして、10年超サポートのCIP SLTS Kernelを採用し、基本ソフト(GUIフレームワーク、3Dグラフィックス、H.264/H.265コーデック、セキュリティ機能、ドライバソフト)を組み込んだ動作検証済みのパッケージソフト(Verified Linux Package)、Linux開発環境、RZ/G2搭載の評価ボードを提供します。
RZ/G Linuxプラットフォームについて
RZ/G Linux プラットフォームは、高性能プロセッサと長期保証の動作検証済みソフトウェア、開発環境、リファレンスボードなどをワンストップで提供します。これにより、OSS(オープンソースソフトウェア)の導入への不安を払拭し、ソフトウェアの導入検証の時間や費用を削減し、産業機器に向けた長期間サポートを実現することにより、ユーザは安心してLinuxを採用し、製品をいち早く市場へ投入することができます。
RZ/G2をサポートいただけるパートナ各社は次の通りです。(注3)
企業名 | RZ/G2への主なサービス内容 |
---|---|
acontis technologies GmbH | EtherCat Master Stack |
Emtrion GmbH | Linux and Android Integration |
Enea Software AB | Linux Integration Services and Linux Training |
GlobalLogic Inc. | Engineering Service of Embedded, Android and Communication domains Development |
L&Tテクノロジー・サービス株式会社 | Development and deployment of the RZ/G2 series of next-gen microprocessors |
RelySys Technologies India Pvt Ltd. | Solution Partner of M2M, IoT product |
SEGGER Microcontroller GmbH | JTAG ICE |
Sensory, Inc./新光商事株式会社 | TrulyHandsfree音声認識ミドルウェア(クラウドレス個人特定話者、不特定話者にも対応) |
Theobroma Systems Design und Consulting GmbH | Design and manufacturing of modules and Single Board Computers (SBCs) |
Timesys Corporation | Linux Integration |
VVDN Technologies Pvt Ltd. | Solution Partner of Camera, IoT product |
Western Digital Corporation | Flash storage solutions for industrial applications |
wolfSSL Inc. | 組み込みSSL/TLSライブラリー 「wolfSSL」 |
アイウェーブ・ジャパン株式会社 | RZ/G2評価ボード |
サイバートラスト株式会社 | 最大15年サポートが可能な商用Linux 「EMLinux」 その他、高速起動、RTOS-Linux共存、セキュアOSなどRZ/G2向けソリューションを提供。 |
シリコンリナックス株式会社 | RZ/G2評価ボード |
ソフトバンク・テクノロジー株式会社 | Marketplace運営サービス |
トレンドマイクロ株式会社 | Trend Micro IoT Security™ |
リネオソリューションズ株式会社 | quick-start solution「Warp!!」Linux System Integration |
一般社団法人 WebDINO Japan | GUIフレームワーク "HTML5" 利用時の開発支援・コンサルティング |
株式会社 アイ・エル・シー | スマートデバイス連動GUI開発環境 GENWARE AIR |
株式会社DTSインサイト | 開発ツール、検証ツール、Arm純正開発環境 |
株式会社SRA | GUIフレームワーク "Qt" サポート、開発支援 |
株式会社アドバンスト・メディア | 音声認識機能組込みキット「AmiVoice SDK for ARM/Y」 |
株式会社アルファプロジェクト | RZ/G2評価ボード |
株式会社エーアイ | 音声合成エンジン「microAITalk」 |
株式会社ユビキタスAIコーポレーション | DTCP/HDCPミドルウェア 高速起動QuickBoot 高速軽量データベースDeviceSQL |
技術研究組合制御システムセキュリティセンター | 国際規格準拠認証 セキュリティソリューション開発支援およびコンサルティング |
京都マイクロコンピュータ株式会社 | Linuxデバッグに対応したJTAGデバッガ "PARTNER-Jet2" Linuxアプリ開発に特化した統合開発環境"LIQUID" SMP対応RTOSを含む統合開発環境"SOLID" |
図研エルミック株式会社 | ミドルウェア ONVIF、RTP、EthernetAVB |
東芝情報システム株式会社 | 組込み向けBluetoothSDK「NetNucleus BT」 |
日本電気株式会社 | システムインテグレーター 顔検出/顔照合エンジン「NeoFace」 人物属性推定「FieldAnalyst」 |
(50音順、敬称略)
RZ/G2の詳細については、https://www.renesas.com/rzg2をご覧ください。
RZ/G Linux プラットフォームの詳細については、https://www.renesas.com/products/rzg-linux-platform.htmlをご覧ください。
以 上
(注1)ソフトエラーとは、 宇宙から降り注ぐ放射線によって、メモリ内のデータにエラーが発生し、間違った値になること。
(注2)ECC(Error Checking and Correction)とは、メモリ内のデータが間違っていた場合、それを検出し、正しい値に訂正すること。
(注3)各社、および各サービス内容は、対応可能な地域に制限がある場合があります。
*Arm、CortexはArm Limitedの登録商標または商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
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