~先進のチップレット技術を適用したR-Car SoCや、Armコア搭載の車載用マイコンを投入~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、車載デジタルプロセッシング領域のアプリケーションに向けて、次世代の車載用SoC(System on Chip)とマイコンのロードマップを発表しました。
ルネサスは、高性能アプリケーション向けの第5世代R-Car SoC(System on Chip)に、先進のチップレット集積技術を適用します。これにより、例えば先進運転支援システム(ADAS)向けに高いAI処理能力が必要な場合は、AIアクセラレータを1パッケージに統合するなど、高いフレキシビリティを提供し、迅速な市場投入を実現します。
次世代車載マイコンとして、2つのカテゴリの製品を発表します。1つ目の製品は、次世代E/Eアーキテクチャのドメインおよびゾーンコントロール(ECU)に必要な高性能を実現するための「クロスオーバーマイコン」です。これは、ハイエンドなSoCとマイコンの間の性能差を補完する位置づけです。2つ目の製品は、Arm®コアを搭載した32ビット車両制御用マイコンを投入します。この2つの製品すべてにArmコアを採用することにより、ハイエンドのSoCからローエンドのマイコンまで、エンドツーエンドの完全なスケーラビリティを提供し、ソフトウェアの再利用性を向上します。
また、自動車業界のシフトレフトのアプローチに沿った仮想ソフトウェア開発環境を提供する予定です。このソフトウェアツールにより、ユーザは実チップが無くても開発プロセスの早い段階から、次世代デバイス用のソフトウェアを開発し、テストすることが可能になります。
ルネサスの執行役員 兼 ハイパフォーマンスコンピューティング・アナログ&パワーソリューショングループ 共同ジェネラルマネージャーのVivek Bhanは次のように述べています。「このロードマップは、OEMおよびTier 1のお客様との長年の協力と対話を通じてたどり着いたものです。お客様は、品質に妥協することなく開発を加速させる必要に迫られており、ハードウェアを入手する前からソフトウェアを開発し、検証しなければいけません。私たちは、シフトレフトやソフトウェアファーストといったイノベーションに注力し続け、新しいスケーラブルな組み込みプロセッサを展開し、開発ツールを充実させることにより、お客様の目標を実現できるよう支援します。」
第5世代R-Car SoCプラットフォーム
第3世代および第4世代までのR-Car SoCは、AI性能が求められるADAS/自動運転用や、通信機能を強化したゲートウェイ用、グラフィック処理が求められるIVI(In-Vehicle Infotainment)用など、特定のアプリケーション向けに製品を展開しています。第5世代のR-Car SoCではチップレット技術を取り入れることにより、ユースケースごとの様々な要件に合わせてカスタマイズできる柔軟なプラットフォームを構築します。ベースとなるプロセッサのセットをハイエンドからエントリーモデルまでいくつか用意し、AIアクセラレータやパートナおよび顧客企業による様々なIPを1パッケージに集積することができます。これにより、ユーザはニーズに合わせて、フレキシブルにSoCをカスタマイズできるようになります。
Armコアを搭載した「クロスオーバーマイコン」と「車載制御用マイコン」
E/Eアーキテクチャの進化に伴い、ドメインコントロールユニット(DCU)やゾーンコントロールユニットでは、高度なコンピューティング性能と車載制御のための高度なリアルタイム性能を同時に実現する必要があります。ルネサスは、従来の制御用32ビットマイコンよりハイエンドでありながら、マイコンのように使いやすい不揮発性メモリを内蔵したクロスオーバーマイコンを開発し、このニーズに応えます。さらに、制御用マイコンとしても独自コアのRH850ファミリに加え、Armコアを搭載した新製品を投入します。新しいE/Eアーキテクチャに対応するゾーンコントローラをはじめ、従来のパワートレイン、ボディ制御、シャシー、クラスタシステムなどに新しいマイコンを使用することにより、ユーザは、Armのソフトウェアと巨大なエコシステムを活用できるようになります。ルネサスはマイコンとSoCのIPの共通化を図ることにより、ソフトウェアの流用性、再利用性を向上させ、開発の効率化を支援します。
ルネサスは、このロードマップに沿って、2024年以降、順次新製品をリリースしていく予定です。
仮想ソフトウェア開発環境の提供
車載ソフトウェアがますます大規模化、複雑化する中、従来のようにチップのサンプルを受け取ってからソフトウェアを開発すると、開発期間が長期化します。ルネサスはすでにハードウェアが無くてもアプリケーションソフトウェアを開発できる「バーチャルターンキープラットフォーム」やソフトウェアの動作を解析、評価する「デバッグ&トレースツール」を提供しています。今後、第5世代のR-Car プラットフォームに向けても仮想ソフトウェア開発環境を準備し、2024年1Qより、順次提供していきます。これにより、ユーザは次世代製品のサンプルを待つことなく、先行してソフトウェア開発に着手できるためシフトレフトを実現し、迅速に製品を市場に投入することが可能になります。
以 上
*Arm、Arm Cortexは、Arm LimitedのEUおよびその他の国における商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
(2023年12月追記:関連ブログはこちら「マイコンとSoCでスケーラブルなソリューションを提供する第5世代R-Carファミリのご紹介」)
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