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生物多様性保全の活動方針
ルネサスの事業分野である半導体は製造において大量の水や資源、エネルギーが必要であり、生物多様性がもたらす様々な生態系サービスに大きく依存しています。しかし近年、生態系サービスの健全性は、世界自然保護基金(WWF)から、「自然と生物多様性の健全性を測る指標(生きている地球指数)」が1970年からの48年間で69%低下したと報告されるなど、大幅に悪化しています*。
ルネサスはこの状況を認識し、生物多様性保全を当社の環境行動指針に掲げると共に、本指針に沿って、地球環境の保全と人々の健やかな暮らしの調和を考えた企業活動を推進し、持続可能な社会の実現に向けて努力しています。当社は直接的に生物多様性に影響を与える、もしくは森林破壊につながるような事業活動は行っていませんが、当社生産拠点を中心に、節水や温室効果ガス排出削減などの活動を通じて、森林を含む環境の保全に努めています。
ルネサスは、製造拠点や事業所における資源の効率的な使用や、サステナブルな製品やソリューションの提供など事業活動を通じた生物多様性の保全に貢献する活動の推進を積極的に行うことを活動方針とし、お客様のニーズに応えると同時に、生態系サービスから享受した恩恵を地域社会へ還元していきたいと考えています。
*生きている地球レポート2022 ー ネイチャー・ポジティブな社会を構築するために ー |WWFジャパン
ルネサスの生物多様性保全への取り組み
ルネサスの生物多様性保全活動
2023年度の実績および2024年度以降の活動としては、以下の2点です。
- ルネサスはグローバルの製造拠点を中心に、様々な生物多様性保全活動を行っています。活動の見える化を図るため、2023年から、まず日本国内の製造拠点を中心に「ルネサスの自社スコアブック」による活動評価を開始しました。評価2年目を迎えた2024年は、新たに日本以外の製造拠点も含め、評価対象を拡充しました。今後もスコアブックによる評価を実施し、生物多様性保全活動の継続的な改善と、活動の活性化を図ります。
- ルネサスの生物多様性保全活動に関する取り組みについて、環境月間である6月に社内外への情報発信を開始しました。今後も引き続きルネサスの活動状況を発信します。
ルネサスの生物多様性保全活動指標とスコアブックについて
ルネサスはグローバルの製造拠点および事業所の生物多様性保全活動を評価するため、活動を「A.海洋・水質の保全」「B.土壌や自然環境の保全」「C.温暖化抑制と省資源活動による生態系保護」「D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発・職場環境の改善」の4つに分類しています。
スコアブックでは、4つの分類について国連生物多様性条約締約国会議(CBD-COP)の国際目標などを参考に、具体的な活動内容を生物多様性保全の活動指標として計13項目を設定し、各指標において4段階で評価**しています。
**活動実施の有無や行政基準等、指標ごとに0から3ポイントで評価
活動分類(4分類) | 生物多様性活動指標(13項目) |
---|---|
A.海洋・水質の保全 | 海岸・河川・水源の清掃活動 |
敷地周辺清掃(水域プラスチック等汚染予防) | |
公共水域への排水対策 | |
B.土壌や自然環境の保全 | 鳥・昆虫・魚が生息できる敷地内緑地など |
植樹・間伐など敷地外での木々育成 | |
地下水涵養、森や土の保全 | |
絶滅危惧種の保護・育成 | |
C.温暖化抑制と省資源活動による生態系保護 | 省エネ・脱炭素社会への貢献 |
省エネ・脱炭素実現へ向けた討議開催 | |
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発・職場環境の改善 | 地域行政との生物多様性活動の連携 |
本業(調達から廃棄工程)での貢献 | |
生物多様性についての社員意識啓発 | |
生物多様性保全を意図した職場環境の改善 |
ルネサスの生物多様性保全活動実績
2023年度のルネサスの生物多様性保全活動は製造拠点を中心に120件実施しました。
ルネサス(国内拠点) | A.海洋・水質保全 | B.土壌や自然環境の保全 | C.温暖化抑制と省資源活動による生態系保護 | D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発・職場環境の改善 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
製造拠点 | 29件 | 22件 | 23件 | 39件 | 113件 |
事業所 | 2件 | 1件 | 2件 | 2件 | 7件 |
計 | 31件 | 23件 | 25件 | 41件 | 120件 |
2023年度の各拠点における主な活動事例
A.海洋・水質の保全
大量の水資源を必要とする半導体製造業にとって海洋・水質の保全は欠かせません。ルネサスは、工業用排水路の定期的な清掃や、地域の清掃ボランティアへの参加を通じ、海洋・水質の保全に努めています。
海岸線に近い拠点では、地域の皆さんと一緒にビーチクリーン活動を行っています。
用水路が近い錦工場や、マレーシアにある2工場では排水路の定期的な清掃活動を実施しています。
工場敷地周辺の美化活動も積極的に行っています。
B.土壌や自然環境の保全
人々の健やかな暮らしと持続可能な未来を築くために、豊かな土壌や木々、そこで育まれる多様な生物の保全は不可欠です。各地に点在するルネサスの拠点では、それぞれの地域と密接に結びついた活動を行っています。
ペナン島の海岸近くを拠点とする2工場では、沿岸保護や絶滅危惧種の保護活動を行っています。
マングローブは海岸線浸食の軽減や水質浄化、海洋生物の生育場所を保全します。
ウミガメは生息地の喪失や海洋ゴミの影響等で個体数は減少し、絶滅危惧種に登録されています。
豊かな地下水を誇る熊本市に位置する川尻工場では、ウォーターオフセット事業に長年参画しています。
熊本県錦町の町花であるツクシイバラは絶滅危惧Ⅱ類に登録されていましたが、保護活動が奏功し準絶滅危惧種に見直されるまでにその数が回復しました。
C.温暖化抑制と省資源活動による生態系保護
ルネサスは温暖化抑制や省資源活動も生態系を保護するための喫緊の課題と認識しています。省エネ効果の高い設備への更新や高効率ラインの導入、グリーン電力の購入から職場の節電まで、様々な側面から環境課題の解決に取り組んでいます。
ボイラー燃料を灯油からLNGへ切り替え、CO2排出量を年間714t-CO2削減できました。
従業員に対し、公共機関の利用や社有バスの利用を推進する活動も行っています。
社内だけでなく自治体や関連企業も含め、省エネ・省資源に関する討議や意見交換等も活発に行っています。
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発・職場環境の改善
製造拠点が所在する地域行政の環境課題への取り組みにも積極的に協力しています。
Palm Bay Factoryでは、市と提携し1日当たり30㎥の再利用水を市に供給しています。
Kuala Langat Factoryは低炭素社会を実現するためのイニシアチブに参画しています。
全ての製造拠点において、半導体製造工程で必要な各種材料や資源の使用量削減、廃棄物の減量、リサイクル等に取り組んでいます。
各拠点で環境教育や環境情報の共有、キャンペーン活動を通じ、定期的に社員の意識向上を行っています。
ルネサスは社員食堂でも環境への取り組みを重視しています。
一部の拠点では環境に配慮した食事の提供を開始しています。
マレーシアに所在する2拠点では社内食堂でのプラスチック製品の使用を削減しました。
ルネサスの2023年度の生物多様性保全活動評価
ルネサスの生物多様性保全活動評価は各拠点の自己評価の平均値で算出しています。 評価2年目となった2023年度は、日本以外の製造拠点も含めてグローバルで全15拠点を評価しました。日本以外の製造拠点でも生物多様性保全の取り組みは活発に行っており、全ての指標で前年の評価を上回る結果となりました。
拠点ごとの比較においては、マレーシアに所在する2つの拠点が、土壌や自然環境の保護等の実地の活動から地域行政との協調、従業員の意識向上まで幅広い活動を実施し、特にPenang FIZ3 Siteは最高評価となりました。また、節水キャンペーンや準絶滅危惧種の保護等、地域に根差した活動をしているBeijing Factoryや錦工場も高評価でした。さらに、省エネ設備の導入や敷地外清掃活動を開始した米沢工場は、前年から大きく評価が改善しました。
今後も生物多様性保全活動の継続と、活動内容の改善に向けた情報共有を進め、ルネサス全体として生物多様性保全への貢献に努めます。
1) 日本国内の1事業所と7製造拠点(本社地区、那珂、高崎、西条、川尻、米沢、大分、錦)の平均点
2) 1)に以下日本以外の7製造拠点を加えた平均点 Beijing Factory, Suzhou Factory, Kuala Langat Factory, Penang FIZ2 Factory, Penang FIZ3 Site, Palm Bay Factory, Dresden Site
SDGsへの貢献
ルネサスグループの生物多様性保全活動への対応に向けた取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。
11.6 2030年までに大気の質および一般並びにその他の廃棄物に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人あたりの環境上の悪影響を軽減する。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
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