EV用バッテリマネジメントシステムの開発期間の短縮を実現するデバイスドライバソフトウェアを提供開始

　ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長兼CEO: 柴田　英利、以下ルネサス）は、このたび、電気自動車（EV）の車載バッテリマネジメントシステム（BMS）向けに、AUTOSAR準拠の複合デバイスドライバ（Complex Device Driver：CDD）ソフトウェアを提供開始しました。このソフトウェアをルネサスの車載用マイコン「RH850/P1M」に搭載し、リチウムイオンバッテリマネジメントIC「ISL78714」と組み合わせることで、バッテリマネジメントシステムの性能を最大化し、開発期間の短縮を実現します。

　このCDDソフトウェアは、RH850/P1M とISL78714 ICを搭載した、ルネサスのウィニング・コンビネーションであるBMSリファレンスデザイン・ハードウェアキットに対応するものです。CDDは、ルネサスがRH850マイコン用に提供するMCAL（Microcontroller Abstraction Layer）ソフトウェア上に搭載します。CDDは、バッテリマネジメントの基本的なソフトウェアであり、バッテリセルの電圧と温度の測定値を収集し、ISL78714のセルバランシング機能を制御します。パラメータ設定によりBMSシステム内のセルの数や、バッテリセルのデータ収集の頻度を指定できます。

　このCDDソフトウェアには、シンプルながらフル機能を備えたAPIが用意されており、ユーザのアプリケーションソフトウェアによってバッテリセルの測定値をリアルタイムで受信することができます。ISL78714の動作に必要なソフトウェアインタフェースとプロトコル管理はCDDソフトウェアに組み込まれており、MCALソフトウェアモジュールに含まれる既存の低レベルSPI、GPIO、および汎用タイマ（GPT）ドライバの上で動作します。CDDソフトウェアは、ソフトウェア設計を簡素化する実用的なアーキテクチャをユーザに提供するため、ユーザは独自のアプリケーション機能の開発に注力することができます。

　CDDソフトウェアならびにMCALソフトウェアモジュールは、自動車用機能安全規格ISO26262で最も高いASIL Dの開発プロセスに準拠しています。車載マイコンのRH850/P1MもASIL Dをサポートしています。ユーザがASIL Dに準拠したソフトウェア開発を行う際にCDDをサンプルソフトウェアとして使用することにより早期開発が可能になります。また、設計の支援を希望するユーザは、ルネサスのパートナであるTATA Elxsiと契約し、システム開発を行うことができます。

　ルネサスの車載アナログパワー＆ビデオ事業部、Vice PresidentのNiall Lyneは次のように述べています。「EV市場が急速に拡大し続ける中、バッテリマネジメントは新車を成功させるために欠かせない要素となっています。ルネサスのISL78714と新しいCDDソフトウェアを組み合わせることにより、ユーザがバッテリマネジメントシステムから短期間で最高の性能を引き出せるようにすると同時に、厳しいASIL D安全要件に適合させるための難しいプロセスを容易にします。」

　Our Next Energy社のバッテリマネジメント担当バイスプレジデントであるChris Klesyk氏は次のように述べています。「ルネサスのバッテリマネジメントICであるISL78714のユニークな機能は、新しいCDDソフトウェアと組み合わせることで、当社の統合BMSを開発するための強力なプラットフォームを提供します。この技術パートナシップは、当社の喫緊のBMSのニーズに応えるものであり、かつ将来の機能強化の道筋を示すものです。」

CDDソフトウェアに関連する詳細は、こちらのブログ（英語）をご覧ください。
https://www.renesas.com/blogs/jump-start-bms-asil-software-development-isl78714-complex-device-driver
ISL78714についての詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/isl78714

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