集積化したシンプルデジタル電源モジュールの新ファミリを発売

　ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長兼CEO:呉　文精、以下ルネサス）は、このたび、集積化した「Digital DC/DC PMBus™」電源モジュールの新ファミリの発売を発表しました。5種類のシンプルデジタル電源モジュール「RAA210xxx」は、高度なデジタルテレメトリとパフォーマンスを可能とし、ルネサスのアナログ電源モジュールと同様に簡単に使用できます。本ファミリは完全な降圧型安定化電源で、出力電流はシングル25A、33A、50A、70A、デュアル25Aを供給でき、業界標準の12Vまたは5Vの入力電源レールで動作します。RAA210xxx ファミリは、サーバ、ストレージ、光ネットワーク、通信機器等で使用される先進のFPGA、DSP、ASIC、メモリなどにポイントオブロード（POL）コンバージョンを提供します。各デバイスは、熱的に最適化されたHAD（High Density Array）に、PWMコントローラ、MOSFET、インダクタ、受動素子を集積化したモジュールです。電源供給のために追加で必要なものは入出力用のバルクキャパシタのみです。

　RAA210xxxは、より低価格で簡素化されたデジタル電源モジュールファミリで、フル機能を持つデジタルISL827xMシリーズとピン対ピンの互換性を保っています。RAA210xxxシンプルデジタル電源モジュールは、PMBusサブセットコマンドによってプログラム上の構成変更に対応するランタイムデジタルプログラム機能を有しており、完全なテレメトリとシステムモニタリングも可能です。後から高度なデジタルコントロールが必要になった際には、ピン互換のISL827xM モジュールにアップグレードすることが可能で、並列に接続された複数のモジュールとのカレントシェア機能、「PowerNavigator™」ツールを使用してのすべてのPMBusコマンドへのアクセス、およびコンフィギュレーションストレージとしての非揮発性メモリが有効となります。

　ルネサスのインダストリアルA&P事業部の事業部長であるPhilip Chesleyは次のように述べています。「当社のシンプルデジタル電源モジュールは、より使いやすく、よりコストを抑えたデジタル電源ソリューションを求める設計チームの製品化までの時間を大きく削減します。RAA210xxxシンプルデジタル電源製品群により、厳格なマルチレールPOL要件に対応する、電力密度、高効率、および高速過渡応答性能において、当社は今後も最前線に立ち続けます。」

　RAA210xxxファミリ独自のHDAパッケージは、フルロード時にも比類ない電気的・熱的パフォーマンスを発揮します。これを可能にするのが単層の導電性パッケージ基板で、効率よく熱をモジュールからシステムボードへ移し、エアフローやヒートシンクを使わずにその熱を放散させることができます。空間に制限があるボード上ではHADの高電力密度の利点がフルに活かされます。これは個々の部品では実現は不可能です。RAA210xxxシンプルデジタル電源モジュールは、ピーク時は最大96%、ほとんどの条件下で90%以上の効率を誇る、ルネサスが特許を取得している「ChargeMode™」制御アーキテクチャを活用しています。また、出力電流の負荷変動に対しシングルクロックサイクルの高速過渡応答も実現します。これは必要なキャパシタの容量を削減し、コストとボードのスペースの節約にもつながります。