ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、本日、自動運転時代に向けた新たなコンセプト「Renesas autonomyTM」を発表しました。
また、Renesas autonomyの第一弾として、スマートカメラ向けSoC(System on Chip)「R-Car V3M(注1)」の発売も発表します。R-CarV3Mはスマートカメラ向け高性能画像認識向けSoCです。高性能な画像認識機能を実現しながらも、自動車用機能安全規格ISO26262をサポート、画像の絵づくりや認識処理向けにセンサ信号の変換処理を行うISP(Image signalprocessor:画像センサ信号処理エンジン)も搭載し、カメラ一体型システムに最適です。
Renesas autonomy について
自動運転時代の車はセンシング・車両制御だけでなくクラウドサービスとも連動したものとなっています。求められる技術はすべての機能が広範囲に連動し、より高い信頼性が求められる一方、個々の技術への要求もより高度となり、エンド ・ツー・ エンドのトータル・ソリューションの要求が高まっています。ルネサスは自動車市場で長年培った経験と実績をもとに、これら要求される複雑かつ高度な技術をオープンなプラットフォームとして提供すべく、自動運転時代に向けた新たなコンセプト、Renesas autonomyを発表しました。
Renesas autonomyを支えるソリューション群の特長は以下のとおりです。
(1)高信頼、スケーラブル、高性能かつ低消費電力なSoCおよびマイコンのラインアップ
Renesas autonomyはセキュアなクラウドへの接続、センシングから判断・制御までADAS・自動運転システムの全領域をカバーしています。構成するラインアップはスケーラブルで開発資産を将来も活用できるものであり、システム開発者はプレミアムモデルからエントリーモデルまで、車載市場で長く信頼と実績を重ねてきたルネサスのソリューションにより効率的かつタイムリーな開発が可能となります。
(2)革新的なアクセラレータと機能安全
ADAS・自動運転システムで必要とされるアルゴリズムの処理のため、システム開発者はRenesas autonomyからハードウェアアクセラレータをはじめ最適なIPコアを選択することにより、性能と消費電力のバランスを選ぶことができます。多様なIPでいかに低消費電力を実現するかというルネサスのノウハウはシステムの部品点数削減も可能にします。
また、自動運転システムには高度な機能安全が求められます。ルネサスにおける機能安全への取り組みは早く、2008年に初めて対応した車載マイコンを市場投入し、2014年に発表したセーフティマイコン「RH850/P1xシリーズ」はISO 26262 ASIL-Dに対応。最新の安全運転支援システムでの利用が可能な高性能SoC「R-Car M3」「R-Car H3」はASIL-Bに対応しています。
(3)エコシステムを充実させるオープンな開発プラットフォーム
ルネサスはパートナによるソリューションの拡充にも注力してまいりました。195社のパートナを有するR-CarコンソーシアムにおいてもADAS・自動運転分野でRenesas autonomyを支えるパートナが増え続けています。Renesas autonomyは、ルネサスまたはエコシステムパートナのどちらとでも開発を始めることを選択できる、オープンな開発プラットフォームとなっています。これにより、システム開発者は、自社開発するか、またはR-Carコンソーシアムの活用により開発工数/期間を短縮するか、といった選択が可能となります。
「ADAS・自動運転システムは今後の自動車市場を牽引するものです。Renesas autonomyはオープンかつ革新的、そして信頼をコミットするプラットフォームで、セキュアなクラウドへの接続、センシングから判断・制御までADAS・自動運転に求められる技術をカバーしています。」とルネサスのセーフティ・ソリューション事業部 副事業部長であるジャン=フランソワ・シュトー(Jean-Francois Chouteau)は述べます。「Renesas autonomyはお客様自身が将来の選択を可能とするもの、つまり『You decide what the future of driving will look like』を実現するためのプラットフォームなのです。」
スマートカメラ用SoC「R-Car V3M」について
R-Car V3MはRenesas autonomyの第一弾となるスマートカメラ向けSoCで、NCAP (注2) 安全基準を満たすカメラシステム開発に最適です。
標識、車線、歩行者そして車などスマートカメラに求められるリアルタイム認識には高い性能が求められます。またスマートカメラはそれら対象物の視認性が高いフロントガラスに設置され直射日光にさらされることから、機密性の高い筐体内の高温化対策のためSoCには低消費電力が強く求められています。さらに認識結果は緊急自動ブレーキなどに利用されるため、高い信頼性と機能安全の実現が必須となります。R-Car V3Mはカメラ向け信号処理を行うISPをとりいれ、かつ高性能な画像認識機能を実現、さらにASIL-Bへの対応に加え、より高いASILが求められるシステムでの使用を想定した安全機構の強化、また低消費電力を実現します。
当社は、R-Car V3Mのサンプル出荷を本年12月より開始し、2019年6月より量産を開始する計画です。
R-Car V3Mの特長は以下のとおりです。
(1)高効率な画像認識を実現する画像認識エンジンを搭載、高度な機能安全をサポート
R-Car V3Mはルネサスが長年開発をしてきた画像認識エンジンを進化、IMP-X5-V3Mとして、低消費電力でありながら高い画像認識性能を実現できます。各種画像認識アルゴリズムであるオプティカルフロー、さらにはニューラルネットワークなどを高速化処理することが可能です。
またR-Car V3Mには、ARM® Cortex®-A53のCPU2つを搭載する他、ロックステップ方式を採用したCPU、Cortex-R7 を搭載しています。Cortex-R7上では AUTOSARの実装が可能なため、これによりR-Car V3MはASIL-Bよりも高いASILをターゲットとしたシステムにも対応が可能です。
(2)カメラ一体のインテグレーションによりコスト削減も可能にするISPを搭載
R-Car V3Mに内蔵されたISPを利用することで、画像認識アルゴリズム開発者は、センサからのローデータを直接利用し、アルゴリズムにあわせた信号処理が可能です。従来、必要だったカメラ向けISPが不要になり、システム構築におけるトータルシステムコストの削減が可能です。
(3)エコシステムパートナとの連携で効率的な開発を可能とするオープンな開発環境
R-Car V3Mは、ルネサスとそのエコシステムパートナが提供する、センサなどのハードウェア、OS、画像認識のノウハウを利用することが可能。これによりシステム開発者は、フロントカメラシステムの開発において自身の設計資産による価値の最大化、あるいはパートナ活用による開発期間短縮を選択することが可能です。
なおルネサスは、本日4月11日(火)にザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)で開催する同社最大のプライベート総合展「Renesas DevCon Japan 2017」で、Renesas autonomyおよびR-Car V3Mを紹介します。
ルネサスのADAS・自動運転への取り組みはこちらの動画(英語のみ)でご覧いただけます。
https://youtu.be/aVDwcdh84_E
R-Car V3Mの主な仕様は 別紙(184KB)をご参照ください。
Renesas autonomyの情報は、https://www.renesas.com/ja/solutions/automotive/adas.htmlをご覧ください。
以 上
(注1)本製品は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の成果の一部を実用化した技術を含んでいます。
(注2)NCAP (New Car Assessment Program):世界各国で行われている自動車の安全性を評価するテストであり、最近はADAS、特に自動ブレーキのアセスメントテストが盛り込まれている。
*Renesas autonomyは、ルネサス エレクトロニクス株式会社の商標です。ARMおよびCortexは、ARM Limited(またはその子会社)のEUまたはその他の国における登録商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
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