~CMOSイメージセンサも接続可能なPDC内蔵品をラインアップに加え、システムコスト・工数の大幅低減に貢献~
2013年10月7日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、産業分野や、ビルディングオートメーション向けの32ビットマイコン「RX600シリーズ」内の「RX631グループ」に新たに 15品種を加え、本年10月よりサンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、CMOSカメラモジュールも接続可能なPDC(パラレルデータキャプチャユニット)を内蔵しているのが最大の特長で、内蔵RAMは128KB(キロバイト)、内蔵ROMは256KB、384KB、512KBの3つのバリエーションを有する15品種です。

 新製品は、その他に100MHz駆動で内蔵ROMにノーウエイトのアクセスが可能であり、これにより165DMIPS (Dhrystone MIPS:ドライストーンミップス、注) の高性能を実現しています。また、USB2.0フルスピード(Host/Function/On-The-Go)、CAN、I2C及び多機能な8/16 ビットタイマをはじめ豊富な周辺機能を内蔵しているため、白物家電、自販機、宅内用簡易監視カメラ等のCMOSカメラ機能を低コストで容易に実現できま す。さらに、豊富な周辺機能を有するため、カメラ機能だけでなく、多岐にわたるアプリケーションへの搭載も可能です。

 新製品のサンプル価格は内蔵ROMが512KB、LQFP144ピンパッケージの場合で890円/個、本年12月より量産を開始し、2014年6月には月産10万個を予定しております。

 近年、CMOSイメージセンサの低価格化に伴い、従来は搭載されていなかった白物家電などのアプリケーションにもカメラ機能が追加されるようになってまいりました。

 しかしながら、ユーザーが既存システムにカメラ機能を追加する場合、大きく2つの課題があります。

 第1に、ユーザーのシステムコストが大幅に増えるという課題です。カメラ機能を実現するには、既存のシステムコントロール用マイコンに、カメラインタフェースを内蔵した新規のマイコンもしくはコントローラを追加する必要があります。さらにその周辺部品としてクロックやリセットIC、電源IC等、及び画像デー タのバッファ用外部メモリ、取得した画像データの出力用にUSBやシリアル等、パネル表示用にLCDの追加も必要となってきます。また、一般的にカメラ制 御が可能なマイコンには、動画等大量のデータを処理するためROMレスで、かつJPEGエンコード等の画像処理用エンジンや描画用のOpenGLをハード ウェアで搭載している高機能なマイクロプロセッサ(MPU)タイプが多く、家電製品等では許容できるシステムコストに限りがあり、高機能で高価なMPUとその周辺部品を既存のシステムに新たに追加することは困難です。

 さらにこれらの MPUでは家電のシステムコントロールに必要とされる超低消費電力動作やパワーオンリセット(POR)、低電圧検出回路(LVD)、内蔵発振回路 (OCO)等を持たないことが一般的であるため、ユーザーの既存システムコントロールとカメラ機能を1つのマイコンで実現することは困難となっています。 第2に、開発期間が増加するという課題があります。白物家電等のユーザーにとってカメラ機能は導入実績や開発経験が少ないため、既存システムへのカメラ機能の導入には開発リソース不足、ノウハウ不足といった課題が多いのが実状です。

 こうした課題を解決するため、ルネサスはワンチップで既存システムのコントローラとカメラ機能を両立できる新製品を開発しました。さらに、開発期間を短縮するためのソリューションを提供する環境を準備いたします。

 PDCを内蔵したRX631グループの特長の詳細は以下のとおりです。

 今回開発したRX631グルー プは、家電システムコントロールに必要なPOR、LVD、OCO等の基本的な周辺機能とPDC及び100MHz(メガヘルツ)動作で165DMIPSの高 性能32ビットCPUコアにより従来の家電システムのコントロールとカメラ機能を両立できるため、従来システムにMPUを追加した場合と比べ、システムコ ストを約30%低減(MPU使用時、当社調べ)可能。

 新製品の開発環境として、ルネサスの新統合開発環境「CubeSuite+」、統合オンチップデバッギングエミュレータ「E1」及び「E20」、フラッシュメモリプログラマ等を提供する。

 また新製品の開発に合わせ、今後、カメラ機能、USB、シリアル等RX631グループが内蔵する周辺機能を評価する評価用ボード、各周辺機能用ドライバの無 償サンプル及びユーザーが使用条件に則したドライバを容易に作成できるドライバジェネレータ、ユーザーの実使用を想定して作成されたアプリケーションノート及びサンプルコード、FATファイルシステム、画像処理用ミドルウェア等、ユーザーがすぐに評価、開発を行える環境を整備している。

 さらに、カメラ機能においては、先のソリューションに加え、当社パートナー企業の協力のもと、ユーザーのアプリケーションソフトウェアの開発を支援する体制も整えている。ユーザーがこれらのソリューションを活用した場合、当社見積りで約1/3の期間で評価・開発を行えるため、ユーザーは開発リソースをかけることなく、計画どおりのタイミングでシステムの市場投入が可能となり、機会損失を未然に防ぐことができる。

 先述の通り、CMOSカメラ機能を実現する場合、一般的に高性能で高機能なMPUを用いることが多いため、消費電流も高くなる傾向にあり、既存システムの電源回路の見直しも必要となる。

 新製品の消費電流は、通常動作時100mA(ミリアンペア)/100MHz(max.)であり、MPUと比較した場合、当社調べで約50%減となり、システムの省エネ化に安価で貢献できる。

 当社は、新製品をRXファミリにおけるPDC内蔵マイコン第一弾製品と位置づけ、今後もRXファミリの周辺機能のひとつとして継承性を維持しつつ製品展開を行うとともに、積極的な販売活動を展開してまいります。

 新製品の主な仕様は別紙をご参照ください。

RX631グループの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx600/rx63n-631.html をご覧ください。

以 上

(注)DMIPS: Dhrystone million instructions per second CPU性能を示す一つの指標。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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