~5V対応、1インバータ制御に特化した機能を搭載、少ピンパッケージもラインアップ~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、この度、民生・産業用のファンやポンプなどの小型モータに向け、高効率にインバータ制御を実現する32ビットマイコン「RX13T」を発売しました。従来オンとオフだけでモータを制御していた機器を、高効率に制御できるよう、1モータのインバータ制御に最適な機能を搭載しました。これにより周辺部品を削減でき、少ピンパッケージもラインアップしたことにより基板面積も削減できることから、BOM(部品表)コストの低減が可能です。これらにより、省エネニーズの高まる工場の排水・給水用ポンプや、データセンタのサーバ冷却用ファン、コードレスによるバッテリ駆動の長時間化のニーズが強まっている電動工具や掃除機など家電機器のモータを、省スペースでBOMコストを抑えつつ、高効率に制御することが可能です。
RX13Tは、動作周波数は32MHz、同周波数帯では世界初(注1)となるFPU(Floating Point Unit、浮動小数点演算処理装置)を搭載しました。また、RXファミリで実績のあるインバータ制御タイマ(MTU3)や12ビットA/Dコンバータ、PGA(プログラマブルゲインアンプ)、データフラッシュなどを搭載し、1チップでブラシレスDCモータの制御を行うことができます。RX13Tは既に量産出荷を開始しており、参考価格は32ピンQFPパッケージ、ROM 64KB品の場合、1万個一括購入時に0.99米ドル(税別)です。
今回、RXファミリでは初となる、小型の32ピンLQFPパッケージと、48ピンLFQFPパッケージを用意しました。さらなる省スペース化に貢献する32ピンで5mm角、48ピンで7mm角のQFNパッケージの提供も予定しています。既存品であるRX23TやRX24T等と、タイマやピン配置などの継承性が高いため、ユーザはハードウェアやソフトウェアの設計資産の流用が容易です。
開発環境として、モータ付き24Vモータ制御評価キットに対応した「RX13T用CPUカード」を提供します。エミュレータ機能を搭載しているため、オンチップデバッギングエミュレータが不要であり、CPUカードとパソコンをUSBケーブルで接続するだけですぐに評価が可能です。また、モータ制御サンプルコード(センサレスベクトル制御)を用意しており、モータ制御開発支援ツール「Renesas Motor Workbench 2.0」にも対応しているため、すぐにモータ制御の評価を開始できます。
ルネサスのIoTプラットフォーム事業部、事業部長の伊藤 栄は次のように述べています。「RXファミリは十年前の市場投入以来、モータ制御用32ビットマイコンのラインアップを充実させてきました。RX13Tは、ルネサスが世界中のあらゆるモータを省エネ、省コストで実現できるよう、追求し続けてきた結果の表れと言える製品でしょう。今年はRXファミリを発売して10周年となる特別な年になりますが、それを祝してRXファミリを使って素晴らしいソリューションを開発するお客様やパートナ各社のために、さまざまな活動を展開してまいります。」
RX13Tの主な特長は次の通りです。
- CPUは、RXv1コア搭載、動作周波数32MHz、98.56CoreMark(注2)
- FPU搭載により、固定小数点演算時の桁合わせ処理が不要となり、ソフトウェアの可読性向上に貢献
- 電源電圧は、2.7Vから5.5Vのワイドレンジに対応。5V対応による高いノイズ耐性を実現
- インバータ制御用タイマMTU3を搭載。タイマカウントクロックはCPU動作周波数と同一の高速クロックで動作し、インバータ制御に必要なデッドタイム付きの相補PWM出力を容易に生成可能
- チャネル専用サンプル&ホールド機能(3チャネル)により、3相の電流値を同時サンプリング可能なため、誤差補正が不要となりソフトウェア負荷を軽減
- コードフラッシュ128KB(キロバイト)または64KB、SRAMを12KB搭載。さらに、データフラッシュ4KBを搭載しており、外部のEEPROMが不要
- PGAを3チャネル、コンパレータを3チャネル、高速クロック発振器(HOCO、精度±1.0%)を搭載しており、周辺部品を削減可能
- 動作温度範囲、-40°C から85°C、または-40°C から105°C対応品を用意。産業や家電分野で増加する高温環境下での使用ニーズに対応
RX13Tの詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx100/rx13t.html
以 上
(注1)2020年3月31現在、当社調べ
(注2)CoreMark:米EEMBC (Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)がCPUコアの評価に特化したベンチマーク・テスト。実行性能を表す値
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