ルネサス エレクトロニクス株式会社(CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、半導体の設計情報であるIP(Intellectual Property)の販売を強化する一環として、ルネサス製IPを活用したデバイスを容易に開発できるソリューションを「IPユーティリティ」として提供を開始します。「IPユーティリティ」は、ユーザが効率的にオリジナルの半導体製品を開発するためのソリューション群です。昨今、RSIC-VなどのオープンアーキテクチャCPUの台頭もあり、IPを活用したデバイスの開発は増々活性化しています。独自のデバイス開発を行うためには、CPUだけでなく、周辺機能やアプリケーション特有の機能など、各々のIPを組み合わせて検証するために多大な工数と時間が必要となります。ユーザは、「IPユーティリティ」を活用することにより、ルネサスの市場実績が豊富で信頼性の高いIPを活用して、短期間でオリジナルの半導体デバイスを開発し、早期に市場へ投入することが可能になります。
ルネサスのコアIP開発統括部、統括部長の松本 哲也は次のように述べています。「ルネサスは、2018年にIPライセンス市場に参入して以来、すでに80種類以上のIP製品をラインアップしており、多くのIPベンダがIP単体を提供する中で、ルネサスは実績あるCPUや周辺IPを含めた豊富なIPソリューションを提供できます。今回新たに半導体設計の経験を活かしたIPユーティリティを提供することにより、IP市場の創出とさらなるビジネスの拡大を狙います。」
ルネサスが今回提供を開始する「IPユーティリティ」は次の通りです。
- オリジナルマイコンを短TATで開発できる「アプリケーションパッケージ」
アプリケーション特有の機能を実現するマイコン開発に向けて「アプリケーションパッケージ」を提供します。その第一弾として、汎用品では対応が困難な多軸モータ制御用マイコンの開発に向けて、「12軸モータ制御パッケージ」の提供を開始しました。デフォルトで12軸のステッピングモータ制御が可能なCPUとその周辺IP、モータ制御用IPを搭載しています。軸数の変更や、ブラシレスDCモータ制御への変更、CPUの入れ替えなど、所望のカスタマイズが可能です。 - AIアクセラレータコアを先行評価可能な「アーリーアダプターキット」
IP製品として2021年にリリース予定の8.8TOPS/Wと高い電力効率を特長とするAIアクセラレータIP「Processing-in-Memory(PIM)」を早期に評価可能な「アーリーアダプターキット」を提供開始します。ソフトウェア開発に対するサポートも提供します。制御ボードにRaspberry Piを活用し、PIM機能は最大3枚までスタック可能な構成として、推論実行の規模拡大に対応します。 - IPコアのコンフィグレーション容易化ツール
高機能で複雑なIPの仕様検討と、ユーザアプリケーションにおけるパフォーマンスの最適化を検討可能なコンフィギュレーションツールを提供します。第一弾となるPCI Expressコントローラコア向けツールは、転送スピード、レーン数、バスビット幅など、50万通りを超えるバリエーションから最適なパフォーマンスが得られる構成を容易にシミュレーション可能です。 - 製品仕様検討向け TCAMフロントエンドライブラリの提供
高機能、省電力なTCAM(Ternary Content Addressable Memory)IPのフロントエンドライブラリを提供します。ユーザは従来のネットワークパケット処理だけでなく、7nm等先端テクノロジに適応した、所望の構成のTCAMマクロを活用して、新たなソリューションの検討が可能です。 - デバイス向けに提供していた、ノイズ(EMC)設計コンサルティング
ルネサス製デバイスのノイズ設計で培ったノウハウを活かし、ノイズ設計コンサルティングをIPライセンス製品のユーザ向けにも提供します。端子配置、ボード設計、部品配置など、システム開発の上流でノイズ設計を検討することにより、製造後のノイズ対策やイタレーションの軽減に貢献します。
ルネサスはこの他にも、Ethernet TSNの性能をすぐに評価可能な評価環境や、市場実績が豊富なCPUコアをFPGAへ実装した評価ボードの提供など、今後も「IPユーティリティ」の拡充を図ります。
詳しくは、こちらのwebサイトをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/ip-products.html
以 上
* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。