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RAファミリ メインストリーム:RA4M3,RA6M4,RA6M5グループのBGAパッケージ製品追加

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Takeo Mimura
Takeo Mimura
Senior Staff Engineer
掲載: 2023年5月9日

ルネサスはこの度、Arm®コア搭載32ビットマイコンRAファミリのメインストリームであるRA4M3、RA6M4、RA6M5の三つのグループに、144ピンBGAと64ピンBGAのラインナップを新たに追加し、合計34製品の量産を開始しました。これにより、高性能かつ、豊富なコネクティビティとセキュリティ機能を持ったこれらの製品を実装面積に制約のあるアプリケーションなどさらに幅広い用途でご利用可能になります。

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RA4M3、RA6M4、RA6M5の各グループは、その高い性能や多彩なコネクティビティ機能、セキュリティ機能などを評価いただき、ロボット掃除機、IoTゲートウェイ、ディスプレイ機器、メディカル・アナライザー、産業ミシンなどといった、民生・医療・産業と様々な分野でその採用が拡大しています。

市場からの評価は予想以上で、従来のLQFPパッケージに代表されるラインナップでは、サイズ的に収まらないようなスペースに制約のある機器でも採用したいというご要望が多数寄せられるようになりました。このたび、0.65㎜のボールピッチを確保しながら6㎜角のサイズに収めた64ピンBGAと、7㎜角の小型パッケージでありながら多くの端子を使用可能な144ピンBGAパッケージ製品が追加されたことで、小型機器においても、RA4M3、RA6M4、RA6M5をご検討して頂くことが可能となります。

例えば、光ケーブルのようにとても限られたスペースしかないアプリケーションにおいて、高い性能とセキュリティが求められる場合、RA6M5のBGAパッケージがとても有効です。
RA6M5は最大200MHzで動作するArm Cortex-M33コアを搭載しており、CoreMarkでは790.76と高いスコアを実現しています。また、セキュア暗号エンジン(SCE9)を搭載しており、データ通信の暗号化・複合化の処理をSCE9で実行することにより、ソフトウェアで実行する場合と比べて数倍高速に実行することができるだけでなく、CPUの処理能力を本来の処理に割り当てることが可能になります。

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また、SCE9を使用すると外部にセキュアエレメントを使用せずにSSL/TLSの実装が可能で、セキュアエレメント分の実装スペースが不要になるだけでなく、下記の表にしめした、バス接続による制限が無くなる、低消費電力に貢献などといったメリットがあります。

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Advantages of using SCE9
項目一般的なマイコン+
外付けセキュアエレメント
RA6M5 / RA6M4 / RA4M3
実装面積デバイス2個分の面積デバイス1個のため小
バス接続による制限シリアルバスのためスループットに制限
(データ処理:MCU、鍵:SE)
Nバス接続による制限なし
チップ外とのセキュア通信不要
消費電力デバイス2個分の消費電力デバイス1個のため小
コストセキュアエレメントの単価分コストUP
余計に端子を数本消費
マイコンの単価のみ
柔軟性適用可能な暗号アルゴリズムは限定的
鍵の数にも制限あり
アルゴリズムの追加が容易
鍵の保管に制限なし

なお、SCE9を用いることで、複製/IP盗難/インフラへの侵害を防止するための安全な鍵のインストールや、導入した製品を常に最新の状態に保ち最新のセキュリティ脅威から保護するためのセキュアブート/セキュアファームウェアアップデートなども実装可能です。Renesas.com/iot-securityにより詳しい情報が記載されていますので、ご確認ください。

もう一つの実装例として音声認識アプリケーションをご紹介します。

近年、IoTの急速な普及や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行により、音声技術の導入が世界的に加速、推進された結果、音声認識に対する世界市場の需要は劇的なスピードで拡大しました。中でも、少ない単語を理解することに重点を置いている、 家電機器、ポータブル機器、医療機器、産業機器などといったIoTエンドポイントでは、実装面積が限られている場合が少なくありません。また既存の製品に新しい機能を追加する際に、小さなサブ基板を用いて実現するケースもあり、小型パッケージでかつ高性能なMCUがもとめられます。それは具体的にはカメラやポータブル電子辞書、スマート電球などといったアプリケーションが該当します。

今回量産を開始したBGAパッケージ製品は6mmx6mm(64ピン)、7mmx7mm(144ピン)と小型であるため、これらの用途に最適な製品です。また、従来のアナログマイクからの音声データ入力だけでなく、MEMSマイクロフォンなどのデジタルマイクから音声データを取り込めるようにシリアルサウンドインタフェース(SSI)も実装していますので、用途に合ったマイクを選択することが可能です。

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SSI Implementation

また、ルネサスのパートナ企業である、Cyberon社、東芝デジタルソリューションズ株式会社、株式会社アドバンスト・メディアにて音声認識ソリューションが提供されており、評価から量産までサポートすることが可能です。より詳しい情報はRenesas/RA-partnerの各パートナ様のリンクに記載されていますので、ご確認ください。

RA6M5、RA6M4、RA4M3に新しく加わったBGAパッケージ製品の実装例はいかがだったでしょうか?単に製品を量産化しただけではなく、初期検討に有効なSWなどもすでに提供していることを知っていただけたのではないでしょうか?
これらの製品にご興味をお持ちになりましたら各製品ページで詳細を確認して頂けたら幸いです。

RA4M3グループの主な特長

  • 最大動作周波数100MHzのArm Cortex-M33を搭載、TrustZoneテクノロジに対応
  • 最大1MBのフラッシュメモリ、最大128KB のRAM、8KBのデータフラッシュ、1KBのスタンバイSRAMを内蔵
  • アクティブモードで動作電流119µA/MHz、ウェイクアップ時間30µs、スタンバイモードで1.6mAの低消費電力
  • フラッシュメモリのバックグラウンド動作とブートスワップ機能に対応
  • 静電容量式タッチセンシングユニット搭載
  • Quad SPIおよびSDHIメモリインタフェース、SSI、USB 2.0フルスピード、SCI、SPI/I2Cなど各種インタフェース搭載
  • 100ピン、144ピンのLQFPパッケージ、ならびに144ピン、64ピンのBGAを用意

RA4M3の詳細については、こちらをご覧ください。
renesas.com/ra4m3

RA6M4グループの主な特長

  • 最大動作周波数200 MHz のArm Cortex-M33コアを搭載、TrustZoneテクノロジに対応
  • ルネサス独自の暗号エンジンSecure Crypto Engine搭載
  • DMA(Direct Memory Access)付きイーサネットコントローラ
  • 静電容量式タッチキー搭載
  • A/Dコンターバータ×2
  • USB 2.0 Full SpeedおよびCANインタフェース
  • Quad SPI およびOctaメモリインタフェース
  • SCI(UART、Simple SPI、Simple I2C)およびSPI/I2Cマルチマスターインタフェース
  • SDHIおよびSSI(Serial Sound Interface)
  • 100ピン、144ピンのLQFPパッケージ、ならびに144ピン、64ピンのBGAを用意
  • 64ピンから144ピンまでスケーラブルなLQFPパッケージ

RA6M4の詳細については、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/ra6m4

RA6M5グループの主な特長

  • アクティブモードで107µA/MHzの低消費電力(フラッシュメモリからのCoreMarkアルゴリズムの実行時)、スタンバイからの30µ秒の高速ウェイクアップタイム
  • 最大動作周波数200 MHz のArm Cortex-M33コアを搭載、TrustZoneテクノロジに対応
  • ルネサス独自の暗号エンジンSecure Crypto Engine搭載
  • 1MB、1.5MB、2MBのフラッシュメモリと、512KのSRAM(うち64KBはECC付き)を内蔵
  • 静電容量式タッチキー搭載
  • バックグランドオペレーション(BGO)とメモリブロックスワップ機能に対応
  • CAN FD対応品とCANのみ対応品を用意
  • DMA(Direct Memory Access)付きイーサネットコントローラ
  • USB 2.0 フルスピート/ハイスピード
  • A/Dコンターバータ×2
  • Quad SPI およびOctaメモリインタフェース
  • SDHI、SCI、SSIE、SPI、HDMI-CEC、IICの多様なシリアルインタフェス
  • 100ピン、144ピン、176ピンのLQFPパッケージ、ならびに176ピン、144ピンのBGAを用意

RA6M5の詳細については、こちらをご覧ください。
renesas.com/ra6m5

すべての RA ファミリ デバイスの操作に関する一般的な概要については、RA ガイド ブックを参照してください。

RA MCU のいくつかのユニークな機能の詳細については、次のブログ記事を参照してください。

アプリケーションをより高いセキュリティ レベルに移行するためのより良い方法について詳しく知りたい場合は、無料の DLM サービスを使用したセキュア キーのインストールの記事で、費用対効果が高く使いやすい Secure Crypto Engine についてお読みください。

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