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ルネサスの最先端110nmプロセス技術がもたらす かつてない電力効率の実現 Technology

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Markus Vomfelde
Markus Vomfelde
Director
掲載: 2024年1月26日

技術が目まぐるしく進化し続ける今日において、半導体メーカーにとって最重要課題となるのは電力効率の最適化です。この課題を解決すべく、ルネサスでは低消費電力設計に革命をもたらす最先端の110nmプロセス技術を開発しました。この技術を支えるのは、電力効率、性能、コスト効率の完璧なバランスです。これにより、パワーマネージメント、集積化、性能のどれをとっても最新技術を落とし込んだ、市場をリードするマイクロコントローラ(MCU)のラインアップが実現しました。

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‘Tried & True’ – Renesas MCUs Made for You

130nm(MF3)から110nm(MF4)へと移行したルネサスのMCU

マイクロコントローラ技術のパイオニアであるルネサスは、先進的なプロセス技術でイノベーションの限界を超え続けています。その中でも特筆すべきは、130nmプロセス技術のMF3から、110nmプロセス技術のパワーを活用したMF4への移行です。ここでは、性能の向上、電力効率、コストの最適化、機能強化など、110nmプロセス技術(MF4)への移行による多くの利点についてさらに掘り下げ、どのような可能性をもたらすのか探っていきましょう。

最先端110nmプロセス技術を活用しているMF4は、MF3ベースのMCUで使用されている130nm技術から大きく飛躍しています。ノードサイズが小さくなり、トランジスタ密度が上昇した結果、集積度の向上とシステム性能の向上が見られます。これにより、開発者の皆さまには、機能強化、処理能力の向上、設計におけるエネルギー効率の改善を期待していただけます。

MF4プロセスにおける改良点の1つは、ESF2(Embedded SuperFlash)の基盤の上に構築されたESF3フラッシュメモリ技術の採用です。読み出し速度の高速化、効率的なプログラミングと消去操作、データ整合性の向上が実現し、よりスムーズな動作とシステム性能の向上が見られ、信頼性が高く効率的なフラッシュメモリベースのソリューションを開発できるようになります。

さらに最先端110nmプロセス技術と最適化された設計技術の組み合わせにより、消費電力が削減されるため大幅な電力効率の向上が見込めます。バッテリ駆動のアプリケーションや電力制約のあるアプリケーションにとっては特に重要なポイントであり、バッテリ寿命の延長とエネルギーコストの削減につながります。性能を妥協することなくエネルギー効率の高いソリューションを構築できるという点で、多くのアプリケーションにとってMF4プロセスは理想的な選択肢となるでしょう。

どんなMCUの移行においても、コストの最適化と周辺機能の強化は極めて重要な点ですが、MF4プロセスはこの面でかなり優れています。ノードサイズが小さい110nmプロセス技術は、ウェハーあたりのチップ歩留まりが向上し、拡張IPの追加が可能となり、コストと機能の最適化が進みます。さらに、改良された統合と性能能力により、追加コンポーネントや外部デバイスの必要性がなくなり、さらなるシステムコスト削減が望めます。より大容量のメモリ、改良された通信インターフェース、強化された周辺機器統合などの高度機能と組み合わさり、予算内で洗練されたアプリケーションを作成いただけるのです。

また、私たちが掲げる長寿命化へのコミットメントは、ESF3フラッシュメモリ技術搭載110nmプロセス技術で構築されたMF4ベースのデバイスが、将来を見据えたソリューションを提供できることを保証します。少なくとも今後15年間にわたる長期サポートと互換性が保証されていますので、開発者の皆さまに設計の可用性、信頼性、互換性について不安を抱えていただくことはありません。私たちは、長期プロジェクトにおいてMF4ベースのMCUが確かな選択肢であることを保証します。

MF4ベースのMCUはIPエリアサイズや読み出し速度といった面でさまざまなメリットがあります。以下では主な違いをご説明いたします。

  • IPエリアサイズ: MF3からMF4への移行により、IPエリアサイズが縮小します。IPエリアサイズとは、MCUに統合されたIP(Intellectual Property)コンポーネントのサイズを指します。512KBのフラッシュサイズの場合、MF4ベースのMCUはMF3と比較して30%のサイズ縮小を達成し、フットプリントが小さくなります。このサイズ縮小によって、システム全体の統合とコスト効率の面でメリットが生まれます。
  • 読み出し速度: MF4ベースのMCUは、MF3ベースのMCUに比べて読み出し速度が向上します。MF3ベースのMCUの読み出し速度が32MHzである一方で、MF4ベースのMCUは48MHz以上の高速読み出しを実現します。MCUのメモリへの素早いアクセスは、命令の高速実行とシステム性能の向上につながります。

このように、130nmから110nmへ移行したルネサスの先端プロセス技術は新たなチャンスをもたらし、性能の向上、電力効率の改善、コストの最適化、機能強化によってアプリケーションの可能性を最大限に広げます。この機会を逃すことなく、マイクロコントローラにおける革新、効率、成功が詰まった新たな旅に出かけましょう。

110nmプロセス技術を搭載したMF4ベースのMCUがもたらす新たな可能性

RL78/G2xRX100RA2などのファミリを含むMF4ベースのMCUは、高い信頼性、スケーラビリティ、およびESFフラッシュメモリ技術、製造プロセス、さらに全体的な性能に関連するメリットをもたらします。

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Renesas RA, RL78, and RX MCUs

以下でそれぞれの特長をご紹介いたします。

ESFフラッシュメモリ技術: 第3世代のESFフラッシュメモリ技術を採用した110nmプロセスのMCUは、プログラム保存用に信頼性が高く堅牢な不揮発性メモリを提供します。高い耐久性、データ保持力、信頼性をもたらし、保存データの完全性を保証するのがESF技術です。

ESF製造プロセス: ESFフラッシュメモリ技術の実装に使用されている特殊な製造プロセスは、フラッシュメモリの性能と信頼性を最適化するように設計されており、安定した動作を保証します。

標準CMOSプロセスとの互換性: 標準CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセス技術との互換性があるMF4プロセスは、他のCMOS回路とシームレスな統合ができ、設計と製造が簡単になります。

SSIプログラミングとFNトンネル消去: MF4プロセスがサポートしているSSI(Source Side Injection)プログラミングとFN(Fowler-Nordheim)トンネル消去によって、負電圧が不要になり、プログラミングプロセスが簡素化されシステムの複雑さが軽減されます。

低消費電力プログラミングと小面積サイズ: 低消費電力プログラミングを特徴とするMF4プロセスは、プログラミング動作中の効率的なエネルギー消費を保証します。さらに、ESFフラッシュメモリ技術によって面積が小さくなり、他の回路に使用できるチップスペースを最大限に活用できます。

低電圧ワード線駆動と高電圧不要の読み出しアクセスパス: MF4プロセスは低電圧ワード線駆動を採用し、効率的で信頼性の高い読み出し動作を可能にします。読み出しアクセスパスに高電圧を必要としないため、低消費電力と複雑性の低減に貢献します。

高速ランダム読み出し: フラッシュメモリへの高速ランダム読み出しアクセスをもたらすMF4ベースのMCUでは、迅速なデータ検索が可能です。保存された情報への高速アクセスを必要とするアプリケーションにとって有益です。

低消費電力読み出し動作と小面積サイズ: 読み出し動作時の低消費電力を保証し、エネルギー効率を最適化したMF4ベースのMCUは、フラッシュメモリの面積サイズが小さいため、システム全体のコンパクト化に役立ちます。

高信頼性、低消費電力、小面積の不揮発性メモリストレージを必要とする多様なアプリケーションにとって、以上のような特長を持つルネサスのMCUは信頼性、拡張性、効率性に優れたソリューションとなります。より詳しい仕様や詳細情報については、ルネサスの公式ドキュメントを参照していただくか、サポートチャネルまでお気軽にお問い合わせください。

ルネサスの110nmプロセス技術がもたらす付加価値

ルネサスの110nmプロセス技術における付加価値のなかでも、特に重要なポイントをご紹介いたします。

  • 電力効率: 電力効率を最適化し、性能と消費電力のバランスを実現しているルネサスの110nmプロセス技術は、低消費電力動作を可能にし、バッテリー駆動のデバイスやエネルギーを重視するアプリケーションに最適です。消費電力の低減により、バッテリ寿命の延長、熱放散の低減、全体的なエネルギーコストの削減を実現します。
  • 性能の最適化: マイクロコントローラや集積回路の性能を向上させ、より高いトランジスタ密度を実現し、より複雑な回路や機能を1つのチップに集積しています。その結果、処理速度の向上、データ転送速度の高速化というように、さまざまなアプリケーションで全体的な性能が向上します。
  • 費用対効果: 半導体メーカーにとってコストメリットがあるのもルネサスの110nmプロセス技術ならではのポイントです。ノードサイズが小さいため、ウェハーあたりのチップ歩留まりが向上し、製造コストを削減できます。さらに、集積度を高めることができるため、追加部品が不要となりシステムの複雑さが軽減されます。コスト重視のアプリケーションに有益であることはもちろん、システム全体のコスト削減に貢献します。
  • 長寿命へのコミットメント: 少なくとも今後15年間は110nmプロセス技術で製造された製品が安全であることを保証する長寿命化へのコミットメントが、長期的な可用性、サポート、互換性を保証し、陳腐化のリスクを低減し、製品の継続性と拡張性を可能にします。
  • 設計の柔軟性: 半導体メーカーは特定のアプリケーション要件に合わせて製品をカスタマイズできるだけでなく、幅広い電圧範囲のサポートにより、さまざまな電源条件での動作が可能です。それぞれのニーズに対応し、システム設計を簡素化します。
  • 信頼性と品質: 高品質で信頼性の高い製品を提供することで高評価を得ているルネサスは、110nmプロセス技術においても、一貫した性能と信頼性を確保する厳格な試験と品質管理を実施しています。継続的で信頼性の高い動作を必要とするミッションクリティカルなアプリケーションにとって極めて重要なポイントです。
  • 最先端IPビルディングブロック: マイクロコントローラ設計における豊富な経験を活かし、110nmプロセス技術には最先端IP(Intellectual Property)ビルディングブロックを組み込んでいます。最先端のRL78、RX CPUコア、Arm® Cortex®-Mコア、その他市場で実績のある周辺機器や通信オプションを用いることで、マイクロコントローラの機能と汎用性を高めます。

ここまで見てきたように、電力効率、性能の最適化、コスト効率、長寿命へのコミットメント、設計の柔軟性、信頼性、最先端IPビルディングブロックなど、大きな付加価値をもたらすのがルネサスの110nmプロセス技術です。さまざまなアプリケーション向けに革新的で効率的、かつコスト最適化されたソリューションを開発したい半導体メーカーにとって、魅力的な選択肢となるのがお分かりいただけたと思います。

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