ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、PCやサーバ、プリンタの高速DRAMなどの専用電源として、25A対応製品では業界で初めて電源用パワーMOSFET(注1)と電源コントローラを1パッケージ化し、電源システムの小型化、省電力化に貢献するパワー半導体(POLコンバータ)「R2J2075 1NP」を製品化し、本年2月よりサンプル出荷を開始します。
新製品は、5Vの電圧をメモリ向けに1.5Vに変換するなどの電圧変換を行うPOLコンバータで、チップの微細化と実装技術等により、(1)2つのパワーMOSFETとその駆動制御を行う電源コントローラ(ドライバ内蔵PWM(注2)コントロールIC)を6mm×6mmの超小型パッケージへ搭載し、当社比約60%の実装面積削減を実現しています。また、(2)25A対応製品で効率94.5%と、単品構成版も含め業界最高(注3)の効率を達成し、装置の省電力化に貢献します。
新製品のサンプル価格は1個あたり315円で、量産は2011年3月から開始し、2012年3月以降は月産50万個を計画しております。
PCやサーバで搭載する半導体の低電圧化により、高速DRAM(DDR型)などの電源システムには低電圧・大電流化への対応が求められています。しかし、大電流駆動のためには電源システムに使用するパワーMOSFETや受動部品などの搭載数が増えるため、実装面積低減が大きな課題となっています。
新製品はこの解決策として、パワーMOSFETと電源コントローラ(ドライバ内蔵PWMコントロールIC)を1パッケージ化し、実装面積の大幅低減を図ると共に、電力変換効率も向上し、省電力化のニーズにも対応するものです。
新製品の主な特長は以下の通りです。
(1)当社比約60%の実装面積削減を実現
高速DRAM(DDR型)等向け電源(POLコンバータ)として、最大電流25A対応製品では業界最小となる6mm×6mmサイズを実現しました。電圧変換に使用する一対のパワーMOSFETとその駆動制御を行う電源コントローラ(ドライバ内蔵PWMコントロールIC)の単品構成と比べ、当社比で約60%実装面積を削減しています。このため、電源システムの小型化に貢献します。
(2)25A製品では業界最高の最大効率94.5%を実現
5Vの入力電圧を1.5Vに変換して出力する場合の電力変換効率は最大94.5%(5A時)であり、25A対応のパワーMOSFETと電源コントローラ(ドライバ内蔵PWMコントロールIC)の構成版では業界最高の効率を実現しています。電力変換時の損失を低減できるため、省電力化が図れます。
(3)複数組み合わせて動作でき、大電流対応を実現
25A以上が必要な大電流に対応するため、新製品では複数個組み合わせて1つの製品のように使用(マルチフェーズ動作)できるよう、当社独自のクロック伝達方式(リレー方式(注4))を開発し、連携動作を実現しました。これにより、システムラインアップ時に高速DRAM(DDR型)などの電子デバイスの消費電流に応じて、柔軟に個数を変更可能であり、電源設計の簡略化が図れます。
加えて、マルチフェーズ動作時には、内蔵しているオート・フェーズ・コントロール機能を使い、電源の出力電流に応じて、(5A時は1フェーズ、30A時は4フェーズ等)自動的に最適なフェーズ数に切替えることが可能であり、装置の省電力化に貢献します。
(4)各種保護機能を内蔵
「R2J20751NP」はPOLコンバータに要求される、過電流保護、過電圧保護などの各種保護機能を内蔵しており、少ない外付け部品で信頼性の高い電源システムを構築できます。
なお、パッケージは、実績ある高放熱タイプのQFN 40ピンパッケージを採用しており、パッケージ裏面の大半を占めるダイパッドにより、放熱性の高い実装が可能です。
新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
以 上
(注1)MOSFETはMetal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor(金属酸化膜半導体 電界効果トランジスタ)の略。
(注2)PWMはPulse Width Modulation(パルス幅変調)の略。 本製品では、POLコンバータの出力電圧を安定化するために、入力電圧や出力電流に応じてパルス幅の調整を行っています。
(注3)当社調べ
(注4)リレーのように製品から製品へ動作開始クロックの受け渡しをしながら、連携動作(マルチフェーズ動作)する。
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