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MOSTやイーサネットなどのネットワーク機能とシステム制御を1チップで実現する車載用マイコンの発売について

2011年6月8日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、32ビットマイコン「V850ファミリ」のなかでもカーオーディオやカーナビゲーションをはじめとする、いわゆるカーインフォテイメントシステムのシステム制御およびネットワーク処理に適したSシリーズを6品種製品化し、本日より順次サンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、端子数が100本の「V850E2/SG4-H」が2品種、144本の「V850E2/SJ4-H」が2品種、176本の「V850E2/SK4-H」が2品種の合計6品種です。2.5DMIPS (デーミップス、(注1)/MHz(メガヘルツ)を実現する32ビット高性能CPU「V850E2M」と、信頼性の高いプロトコルで大容量データを転送するMOST(Media Oriented Systems Transport)やイーサネットなどのネットワーク処理回路を1チップ化しているため(1)車載情報端末のネットワーク機能付加が容易で、(2)システム制御とネットワーク機能の同時処理が可能などの特長を有しております。

 新製品の採用により、音質の良い音楽再生、交通情報をはじめ様々な情報のパネル表示、アプリケーションソフトの更新などを実現する車載情報端末の開発が容易になります。

 新製品のサンプル価格は、端子数やメモリ容量などにより異なりますが、端子数が176本、内蔵フラッシュメモリが2MB(メガバイト)のV850E2/SK4-Hが2,000円/個です。量産は2012年6月より開始し、2014年度に6品種合計で月産50万個を計画しております。

 MOSTは、オーディオ/ビデオのデジタルデータに加え、パケットデータやリアルタイム制御コマンドなどの各種信号を1秒間に最大150メガビットで転送できる車載用マルチメディアネットワークとしてMOST Cooperation(注2)が策定した規格です。高品質な音楽や映像の再生、交通情報などのパケットデータの転送、燃費向上に向けた車輌の軽量化、といった自動車に対する昨今のニーズを満たすネットワーク技術として普及しつつあります。その結果、今日ではカーインフォテイメントシステムの通信基幹として100台以上の車種に使用されております。またFA機器や産業用途で普及しているイーサネットは、故障診断やソフトウェア更新の際、車両外部からデータ通信を行う手段として採用が進んで います。

 新製品はこのようなネットワーク対応のニーズに応えるため開発されたもので、カーオーディオ、チューナー、アンプなどのユニットに向けて、マルチメディアデータ処理機能とシステム制御機能を1チップで実現します。

 新製品の特長の詳細は以下のとおりです。

(1)車載情報端末のネットワーク機能付加が容易

 CANやIEBusのほか従来外付けされていたMOSTやイーサネットといった各種ネットワーク処理回路を1チップに集積している。これにより、カーインフォテイメントシステムの各種ネットワークへの対応が容易となる。また、高性能CPUも搭載しているため、システム制御とネットワーク機能で必要な情報をリアルタイムにやりとりできる。さらにイーサネットのPHYやMOSTネットワーク・インタフェース・コントローラを外部接続することで、イーサネットとMOST間での故障診断用システムデータの転送や、最大6チャネルのI2SバスインタフェースによりMOSTとの間でオーディオ・ストリームを容易に実現できる。

(2)システム制御とネットワーク機能の同時処理が可能

 2.5DMIPS/MHzを実現する高性能CPU、V850E2Mを搭載。最大160MHz(400DMIPS)の動作が可能なため、ネットワーク機能の処理中にシステム制御のタスクを実行することができる。

(3) 様々なアプリケーションに応じたマイコン選択が可能

 内蔵フラッシュメモリ容量1MB~2MB、内蔵RAM容量96KB~192KB、端子数100本~176本のQFP (Quad Flat Package) パッケージをラインアップ。これによりネットワーク機能をもつ様々なアプリケーションに応じてマイコンを選択可能。新たなマイコンをSシリーズ内で選定する場合、ソフトウェア資産の流用が容易となるため、開発期間の短縮および開発コストの圧縮に貢献できる。

(4)豊富な開発環境でソフトウェア開発を支援

 ハードウェア開発環境の新しいラインナップとして、性能測定機能を強化したフルスペックエミュレータ「IECUBE2(アイイーキューブツー、(注3))」、オンチップデバッギングエミュレータ「E1エミュレータ」や従来の「MINICUBE(ミニキューブ)」も使用できる。これにより、デバッグニーズに合わせて最適な製品を選択可能である。

また、統合開発環境「CubeSuite+(キューブスイートプラス)」、μITRON(マイクロアイトロン)仕様準拠のリアルタイムOSおよびフラッシュメモリ・プログラマ「PG-FP5」も用意し、アプリケーションソフトの開発を強力に支援する。

 ルネサスは新製品を、普及車におけるカーインフォテイメントシステムのイーサネットやMOSTネットワーク対応を促進するものと位置づけ、同市場を積極的に開拓してまいります。

新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1)Dhrystone MIPS(ドライストーンミップス)の略。コンピュータの演算性能を評価するプログラムDhrystoneによる性能測定値のこと。本製品の性能値は、測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

(注2)MOST Cooperationは自動車メーカと車載系サプライヤで構成されるMOSTの標準化団体です。

(注3)IECUBE2についての詳細は当社WEBをご参照ください。 http://japan.renesas.com/iecube2

*MOSTは、Standard Microsystems Corporation の登録商標です。I2C および I2S はNXP Semiconductors の登録商標です。IEBus はルネサス エレクトロニクス株式会社の登録商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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