モータ制御システム 導入支援サイト
ブラシレスDC(BLDC)モータを、高効率かつ低コストで駆動する『センサレスベクトル制御方式』に注目が集まっています。
この制御方式は複雑であり、本来導入のハードルが非常に高いものですが、 ここに纏めた手順でモータ制御評価キットをお使いいただければ、初めての方でも、たった1日でセンサレスベクトル制御を始められます。
評価環境(製品概要)
Evaluation System for BLDC Motor
永久磁石同期モータ(ブラシレスDCモータ)用の評価キット
ルネサスが提供するEvaluation System for BLDC Motorは永久磁石同期モータを容易に評価できるソリューションキットです。CPUカードと合わせて使用することで、様々なルネサス製マイコンでモータ制御を行うことができます。サンプルソフトや開発支援ツールRenesas Motor Workbenchを使用することで、評価や解析を容易に行うことができるため、キット購入後すぐに評価を始めることができます。
どんなことができる?
まずは本キットの概要を動画でご覧ください。
- 電源を投入して、ボード上のボリュームを回すだけで、BLDCモータを好きな速度に回転させられる *1
- WEB公開している各種サンプルソフトを書き込んで使用可能
- PCとボードをUSBで繋げば、モータ制御パラメータをPC上でリアルタイムに、オシロスコープのように表示可能(デバッグ効率が上がり、開発期間を短縮)
- パラメータを変えながら動作確認できるため、マイコンやモータ制御をより深く理解したいという場合の学習に役立つ
- モータ固有のパラメータやPIゲインなどの制御パラメータを自動調整
*1 このキットでモータを回転させる方法は二種類あります。ボードのスイッチとボリュームを操作する方法と、Renesas Motor Workbenchから操作する方法です。キットを購入した初期状態では、ボードからの操作がデフォルトのプログラムとなっていますが、Web公開しているサンプルプログラムはRenesas Motor Workbenchからの操作がデフォルトになります。これらの操作方法は切り替え可能です。詳細はサンプルプログラムのアプリケーションノートを参照ください。
開発支援ツール
Renesas Motor Workbench
モータ制御開発支援ツール
モータ制御にはさまざまなノウハウがあり、その調整・デバッグには通常大きな工数・費用がかかります。ルネサスのモータ制御開発支援ツール Renesas Motor Workbench を使用すれば、これを大幅に削減することができます。
2021年12月にRenesas Motor Workbench 3.0をリリースしました。より操作が簡単なEasy GUIを追加し、既存のUser buttonやCommander機能もアップデートしました。新機能について以下の動画も参照ください。
Analyzer 機能
制御状態を見える化、デバッグ・評価効率UP!
- 変数読み書き&リアルタイム波形表示
制御変数をオシロスコープのように表示/トリガ指定 - 動作Profileを作成し、指定した通りのモータ制御実現
Tuner 機能
ノウハウ不要でベクトル制御に必要なパラメータを自動調整!
- モータの定格電流、極対数を入力し、Startボタンを押すだけで、抵抗やインダクタンスなどのモータ固有パラメータやPIゲインなどの制御パラメータを自動抽出
- 抽出したパラメータを使用してモータをすぐに回転させることや、制御パラメータの微調整も可能
最終的なパラメータはヘッダーファイルの形式で出力可能
* RL78ファミリはTuner機能に対応していません。
* RL78/G1Gは本ツールに対応していません。
Easy GUI
モータをより直感的に操作できるGUIを実装
- スライダの操作で指令値を設定可能
- 指令値のプロファイルを設定可能
- 回転速度や電流値等をメータで表示
- 機能切り替え用スイッチ
- 変数の変化を波形で表示
- 各種パラメータの表示
評価キット・ツールの使い方
(1) Renesas Motor Workbench:セットアップ編
- PC側のソフトウェア インストール
- PCとボードの接続
(2) Evaluation System for BLDC Motor:セットアップ編
- 同梱物一式の説明
- ボードの接続
(3) Evaluation System for BLDC Motor:ソフトウェアダウンロード編
- CPUカードとE2エミュレータLiteの接続
- サンプルソフトウェアの入手
- サンプルソフトウェアのCS+でのビルド
- マイコンへのプログラム書き込み
* プログラム書き込みには、E2エミュレータまたはE2エミュレータLite が必要です
(4) Renesas Motor Workbench:Analyzer基本編
モータ制御中の内部変数をオシロスコープ感覚で表示!
- マイコン内部変数の表示・書き換え
- マイコン内部変数のリアルタイム波形表示
(5) Renesas Motor Workbench:Tuner基本編
ノウハウ不要・即座にセンサレスベクトル制御が可能!
- センサレスベクトル制御に必要なパラメータを自動調整
- 抽出したパラメータを利用したモータ制御
(6) Renesas Motor Workbench:Analyzer+Tuner応用編
モータの挙動・内部変数の波形表示を見ながら、モータ制御のパラメータ調整が可能!
- モータ起動時の内部変数をトリガ設定して波形表示
- 速度指令値とモータ回転速度の確認
- 制御のパラメータを変えて追従性と安定性を制御
(7) Renesas Motor Workbench:Analyzer Math機能
波形表示した変数にユーザー設定の演算波形を追加表示!
- チャネルの値に各種の演算をした波形を表示
- チャネル同士の演算、演算値だけの表示も可能
対応演算:遅延、正弦、余弦、正接、逆正接、平方根、べき乗、乗算、除算、加算、減算
(8) Renesas Motor Workbench:Analyzer Status Indicator機能
変数がユーザ指定の条件(変数+閾値条件)に合致すると、回転灯色の変化でお知らせ!
- 複数の変数を監視可能
- 1変数に対して複数の条件の設定が可能
- 条件に合致した情報をログとして一覧画面に表示
(9) Renesas Motor Workbench:Analyzer 波形表示候補チャネル数の拡大
波形表示する変数の切り替えが簡単!
- ユーザが設定した多数のチャネル情報を保持
- 波形表示をする/しないは、Check Box[Use]のON/OFFで切替え
(10) Renesas Motor Workbench:Analyzer 変数名の別名定義(Alias Name)機能
意味の分かりづらい変数名をユーザ設定の別名で表示!
- 長い変数名、分かりづらい変数名を別名に表示変更
- 切り替えは変数ごとに設定可能
- 日本語表示もOK
(11) Renesas Motor Workbench:Analyzer USER BUTTON機能
複数操作も1クリックで実現!
- 同時実行など細かいシーケンスが作成可能
- 内部変数を使い、読み込みした値をそのまま書き込みも可能
(12) Renesas Motor Workbench:Analyzer COMMANDER機能
変数Writeとインターバルを登録してシーケンシャルな動作を実現!
- シーケンシャルに書き込みを実行
- インターバル間隔が設定可能
- 繰り返し(ループ)処理が可能
(13) Renesas Motor Workbench:Analyzer ONE SHOT機能
プログラムでバッファリングしたデータを波形表示!
- バッファリングされたデータを波形で表示することが可能
- スケールとオフセットの設定が可能
(14) Renesas Motor Workbench:Analyzer NAVIGATION機能
【RMW3.1 New function 】
マニュアルいらず!RMWの各機能の操作手順を使用しながら確認できます!
- RMWの各機能の操作手順をRMW内に表示
- User Button、Commander、Status Indicator、Tunerに対応
(15) Renesas Motor Workbench:Analyzer Parameter Output機能
【RMW3.1 New function 】
メモの必要なし!調整した制御パラメータをヘッダファイルとして出力し,プログラムへ簡単に反映!
- 調整した変数を,マクロ定義としてヘッダファイルへ出力
- マクロ定義に紐づける変数を選択する事が可能
- 新規マクロ名称を入力してファイルの末尾に追加して出力可能
(16) Renesas Motor Workbench:Analyzer Variable Meaning機能
【RMW3.1 New function 】
チェック不要!変数の用途情報をControl Window上で表示可能に!
- CSVファイルの読み込みにより変数の用途情報を表示
- 変数の検索時に用途情報を利用可能
(17) Renesas Motor Workbench:Servo機能
【RMW3.1 New function 】
これでもう迷わない!サーボ制御時に必要な操作を,パラメータ入力とボタン操作のみでGUI上で簡単にできる!
- Inertia Estimation: モータ軸に接続されているロータ+負荷イナーシャを推定可能
- Servo Tuning: 位置制御方式や制御周波数などのパラメータ調整が可能
- Return to Origin: 原点復帰方法、復帰速度を設定可能
- Point to Point: PTP動作(Point to Point)の設定と動作確認が可能
(18) Renesas Motor Workbench:Easy GUI
モータ駆動とデバッグをだれでも簡単に実行
- 直感的な操作により,モータの速度制御や位置制御をだれでも簡単に実行可能
- モータ動作状況はメータや波形で表示
ソフトウェアの入手場所
統合開発環境(CS+,e2studio)
* リンクサイズが128Kバイト以内に制限された無償評価版もあります。
モータ制御開発支援ツール Renesas Motor Workbench
[document:1023161]
アプリケーションノート
24V Motor Control Evaluation System for RX23Tを利用したRL78/G1Fの初期位置検出ソフトウェアとアプリケーションノートは[document:996426]*3
*1:パートナー製のボードを使用。
*2:入手については、営業・特約店にお問い合わせください。
*3:ソフトウェアを利用するためには24V Motor Control Evaluation System for RX23Tのインバータボードの回路変更が必要です。回路修正を行った場合は、通常のインバータボード向けのその他のプログラムは、動作できなくなります。回路修正については、弊社が修正後のソフトウェアの動作を保証するものではありません。
*4:PWM出力タイマとして、2種類のタイマ(MTU/GPT)設定を実装しており、コンパイル時に選択可能。
FAQ
本キットをご使用するにあたって困ったことがあれば、以下のFAQも参照ください。
24V Motor Control Evaluation System for RX23T / Renesas Motor Workbench FAQ集 (PDF)
よくある質問:
- Renesas Motor Workbenchが起動できない
- Renesas Motor Workbenchと評価ボードが接続できない
- サンプルソフトを書き込んだらモータが駆動できなくなった