~コネクティビティとセンシングを融合した独自のドップラーイメージング技術などを含め、クライアント・アクセスポイント向けのWi-Fi 6/6E、Wi-Fi 7チップセットを開発中~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、産業機器やIoT機器向けに、Wi-Fi製品群を包括的に提供していく計画を発表しました。ルネサスは、2021年に買収したCeleno社の技術を活用して、Wi-Fi 6/6E、Wi-Fi 7に対応する製品を開発し、幅広いWi-Fiクライアント・アクセスポイント機器向けに提供する予定です。
現在、ルネサスは、高性能なWi-Fi 6/6E製品としてCL8000ファミリを量産出荷しています。またWi-Fi 6Eのトライバンド無線(6GHz、5GHz、2.4GHzを切り替え可能)、160MHzチャネル帯域幅、および最大2.4Gbpsのデータリンク速度をサポートする2x2 Wi-Fi/BLEコンボチップもサンプル出荷しています。この低レイテンシかつ高セキュリティのチップセットは、BluetoothおよびBluetooth Low Energy 5.2をサポートしており、メディアストリーミングデバイス、IoTゲートウェイ、クラウド接続デバイスなどに適しています。
ルネサスは、独自の特許技術であるWi-Fiドップラーイメージング技術を搭載したWi-Fi 6Eチップセットも開発しています。このWi-Fiレーダ技術は、標準的なWi-Fi信号を使用して、人や物を検出することができるため、家庭や商業施設などで、複数のカメラやセンサを使用する必要性がなくなります。例えば、室内における人の有無や居場所を検知し、空調の流れを最適化することで、光熱費を削減できます。また、セキュリティで保護された施設への侵入検知や、モーションセンシングでカメラを起動させるコネクテッドカメラの機能などにも使用できます。このコネクティビティとセンシングを組み合わせた製品は、1年半後の提供を予定しています。
Extremely High Throughput(EHT)とも呼ばれるWi-Fi 7は、さらに高速な変調と2倍の帯域幅により、非常に高速なスループットを実現します。6GHz帯では最大速度が2倍以上になり、2.4GHz帯と5GHz帯では最大で30%も速度が向上します。さらに、Wi-Fi 7の優れた機能により、ネットワークの信頼性、レイテンシ、およびユーザエクスペリエンスが改善されます。例えば、MLO (マルチリンクオペレーション)により、デバイスは異なる周波数帯の複数のチャネルでデータを同時に送受信できるようになります。ユーザは、両方の帯域を同時に使用することにより、超低レイテンシかつ信頼性の高い通信が可能です。Wi-Fi 7は2024年にリリースされ、携帯電話、コンピュータ、ネットワーク機器などに早期導入される見通しです。その後、IoTや産業用および民生用アプリケーションにも広く普及すると想定しており、ルネサスはこうした組み込み機器向けにWi-Fi 7用ソリューションを提供する予定です。
ABIリサーチの業界アナリストであるAndrew Spivey氏は次のように述べています。「最近のさまざまな動きから、家庭および企業向けのWi-Fi市場に革命が生まれる兆しが見えます。スループットとレイテンシを大きく改善することが期待されている6GHzの新帯域を利用したいという欲求や、レガシ帯域の混雑緩和に後押しされ、Wi-Fi機器への6GHzの普及が今後数年で急速に進むでしょう。一方、Wi-Fiによる動体検知などの新しいWi-Fi付加価値サービスの台頭やWi-Fi 7アクセスポイントの導入は、2024年のプロトコル標準化を経てさらに加速し、そのわずか2年後には、6GHz対応アクセスポイントの出荷製品のほとんどがWi-Fi 7にも対応している状況になっているでしょう。」
Celeno社のCEOでルネサスのIoTインフラ事業本部Wi-Fi担当Vice PresidentのGilad Rozenは次のように述べています。「ルネサスは、真に差別化されたWi-Fiソリューションと業界をリードするマイコンやMPUを組み合わせることで、最高のパフォーマンス、セキュリティ、コスト競争力を実現できるようになりました。お客様も当社のこの取り組みに満足しており、今後も適切なタイミングで適切な製品を市場に提供できると確信しています。」
ルネサスの執行役員常務 兼 IoT・インフラ事業本部長であるSailesh Chittipeddiは次のように述べています。「ルネサスはこれまで3件の買収を完了したことにより、クラウドからエンドポイントまで持続的にインテリジェンスを提供する能力を大幅に強化しました。業界をリードする当社の組み込みプロセッシング、アナログ、センサのポートフォリオに、Celeno社のWi-Fiソリューション、Dialog社の低消費電力コネクティビティソリューション、Reality AI社の組み込みAIソリューションを追加したことで、エンドツーエンドのソリューションをお客様に提供できるようになりました。」
ウィニング・コンビネーション
ルネサスは、ホームゲートウェイ向けの高速Wi-Fi 6ルータや、5Gネットワーク向けのIEEE 1588ワイヤレスソリューションなど、Wi-Fi製品と幅広いルネサス製品を組み合わせた数多くのウィニング・コンビネーションを提供しています。今後も、ビデオIP電話、スマートホームセキュリティ端末、ルネサスのクイックコネクトIoT用Wi-Fi 6ボードなど、Wi-Fi 6を用いたウィニング・コンビネーションソリューションを開発、提供してまいります。さらに、2x2 MIMOで広帯域、高性能なWi-Fi 6クライアントを必要とするIoTアプリケーション向けに、クイックコネクトIoT用のWi-Fi 6とBluetooth Low Energy 5.2のコンボボードもリリースする予定です。このRFモジュールは、PCIeとUSBの両方のインタフェースに対応できるため、開発時間を短縮し、デバイス調達を効率化することにより、製品の市場投入も迅速化します。
ルネサスのWi-Fiソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/products/interface-connectivity/wireless-communications/wi-fi/
ルネサスは、本ロードマップを、2022年11月15日~18日にドイツのミュンヘンで開催されているelectronica 2022で発表しました。
以 上
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