~買収したSteradian社と共同で開発した4x4チャネル、76~81GHz帯のレーダトランシーバにより、ADAS用センサフュージョンのポートフォリオを拡充~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、ルネサスとして初めて車載レーダトランシーバ「RAA270205」を開発しました。2023年第1四半期からサンプル出荷を開始し、量産は2024年の予定です。使用可能な周波数範囲は76G〜81GHzで、4チャネルのトランスミッタ(Tx)回路、4チャネルのレシーバ(Rx)回路を搭載しました。新製品は、ADAS(先進運転支援システム)およびレベル3以上の自動運転システムの要件を満たすように設計されています。ルネサスは、本格的に車載用レーダ市場へ参入することにより、従来注力する車載カメラシステムやその他センシングシステムとも組み合わせて、センサフュージョンのポートフォリオを拡充します。
新たなトランシーバMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)は、ルネサスが本年買収したSteradian社と共同で設計しました。前方監視長距離レーダや4Dイメージングレーダに適しており、さらにコーナレーダや、集中型アーキテクチャのサテライトレーダにも使用できます。新製品は4Txおよび4Rxチャネルを搭載しており、最大16チャネルのMIMO(マルチインプット・マルチアウトプット)レーダに対応します。また、カスケード接続により、さらに多くのチャネル数とレーダ分解能を実現することができます。
新製品は、最大5GHzの周波数帯域で、112.5MSPS(メガサンプル/秒)と高いサンプリングレートのA/Dコンバータを搭載しています。レシーバ回路の雑音指数(NF)は9dB。最大300MHz/µs(メガヘルツ/マイクロ秒)の高速チャープ変調により、レーダ分解能および物体検出性能を向上させます。消費電力は1.2Wと極めて低く、高精度と低消費電力を両立しました。パッケージは7.6mm×5.6mmと小型のeWLBです。車載品質規格のIATF 16949、AEC-Q100 Grade2に準拠し、機能安全規格ASIL Bの要件に対応可能です。
ルネサスの執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部副本部長のVivek Bhanは次のように述べています。「今日のレーダトランシーバMMICは、安全性の高いADASや自動運転プラットフォームを実現するために、高い精度が求められています。ルネサスは、レーダ設計に関する深い専門知識を持つSteradian社との緊密な連携により、機能安全対応や低消費電力を重視したセンサフュージョン製品を拡充することで、お客様の開発コスト削減と市場投入までの時間短縮を支援します。」
「AD/ADAS向けサテライトレーダシステム」 ソリューションを提供予定
レーダトランシーバRAA270205とルネサスの様々なデバイスを組み合わせた「AD/ADAS向けサテライトレーダシステム」ソリューションを、2023年第2四半期に提供する予定です。このレーダシステムは、複数のレーダユニットからのセンサデータを融合することで360°の検出範囲を実現します。本ソリューションは、ルネサス製品を最適に組み合わせ、あらかじめ動作検証を行っているウィニング・コンビネーションの一環であり、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。他にも、様々なアプリケーションに向けた300種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらからご覧いただけます。
https://www.renesas.com/win
ルネサスは、本製品を、2022年11月15日~18日にドイツのミュンヘンで開催されているelectronica 2022で発表しました。
車載用レーダトランシーバ「RAA270205」の詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/automotive-products/automotive-sensors/automotive-radar-sensors/raa270205-automotive-mmwave-radar-transceiver
レーダトランシーバについてのブログ「レーダーアーキテクチャ:複数のレーダーセンサーを接続する」も併せてご覧ください。
以 上
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