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車載向けソフトウェアのリモート開発環境に対する取り組み

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Yoshihito Ogawa
Yoshihito Ogawa
Sr Staff Software Engineer
掲載: 2022年9月19日

車載ソフトウェアとリモート開発環境

近年、車載向けソフトエア開発では、スマートフォンのアプリのように、付加価値の高いソフトウェアをいち早く、継続的にリリースしていくことが求められ始めています。こういったトレンドに対応するためのソフトウェア開発の手法として、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)のような、開発プロセスを自動化する開発手法の採用が自動車分野においても進んでいます。自動化の対象には当然、開発したソフトウェアのテストも含まれますが、車載ECU用のソフトウェア開発のような組み込みソフトウェア開発では、このテストに実機を使用します。その為、テストに使用される実機をリモートで自動制御できる仕組みが必要となります。

また、車載ソフトウェアの開発規模増大に伴い、ソフトウェア開発には多くのエンジニアが携わるようになりました。多くのエンジニアが異なる拠点から参加するような分散開発では、全てのエンジニアへ実機を提供してそれぞれで開発環境を立ち上げるために時間と費用がかかります。1つの拠点で実機による開発環境を立ち上げてリモートで利用できるようになれば、この課題を解決することができます。

ルネサスのリモート開発環境に対する取り組み

実機を使用した開発環境をリモートで利用するためには、電源のON/OFF、開発したプログラムのフラッシュへの書き込み、プログラムの再起動といった作業がネットワーク越しに利用できなくてはなりません。従来から、ルネサスは車載向けSoC「R-Car」シリーズのソフトウェア開発環境として、評価ボードを提供しておりますが、評価ボード単体ではリモート環境を構築するために十分な機能、情報が提供されておらず、リモート環境を構築するためにはお客様でシステム検討、環境開発を行っていただく必要がございました。

私達は、この課題を解決するため、お客様のリモート開発環境の構築を支援するリモート開発環境のリファレンスデザインの開発に取り組んでおります。その取り組み一環として、R-Car S4搭載評価ボード(型名:RTP8A779F0ASKB0SP2S)やR-Car V4H搭載評価ボード(型名:RTP8A779G0ASKB0FS0SA000)を使用したソフトウェア開発環境向けに、リモートでファームウェアを更新するためのソリューションを2022年4月より提供開始しました。

このリファレンスデザインは、リモート開発環境を構成するために必要となる機材や部品の情報、その環境を制御するためのサンプルソフトウェア、リモート開発環境の構築方法とサンプルソフトウェアの利用方法を記載したユーザガイドから構成されます。ユーザガイドの記載に従って必要な機材、部品を導入していただくことで、簡単にリモート開発環境を構築していただくことが可能です。また、リモート開発環境を制御するソフトウェアツールは、例えばお客様がすでに構築済みのCI/CD環境との統合が容易に行えるように、オープンソースソフトウェアとして提供します。

本リファレンスデザインで実現するリモート開発環境の構成を以下に示します。

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Remote Development Environment in Reference Design

例えば、評価ボードにインストールされているファームウェアを更新するには、評価ボードのスイッチを切り替える必要があります。このソリューションでは、スイッチの切り替えをリモートで実施する方法を提供します。評価ボードのスイッチを切り替える仕組みとして、ルネサスが提供するリモート制御ボード(R-Car remote control board、型名:RTP8A779G0ASKB0SS0SN080)とシングルボードコンピュータ(Single board computer)を使用します。

今後の展開

私達は、お客様の開発環境構築を容易にするソリューションの拡充に継続的に取り組んでおります。本ソリューションは、現在のところR-Car S4とR-Car V4Hの評価環境を対象としておりますが、今後は他のR-Car製品や車載向けのMCU製品も対象としてサポートを拡充していく予定です。

R-Car S4やR-Car V4Hを使用したリモート開発環境の構築をご検討の方は、窓口から、R-Car remote control board、型名"RTP8A779G0ASKB0SS0SN080"とご連絡いただき、お問い合わせください。

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