メインコンテンツに移動

産業・民生用リチウムイオンバッテリ設計期間を大幅に短縮するオールインワンのバッテリマネジメントソリューションを発売

~電池残量管理IC、事前検証済みのファームウェア、開発ツール、ドキュメント、評価ボードを全て包含~

2025年3月18日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、このたび、電動自転車や掃除機、ロボット、ドローンなどのさまざまなバッテリ駆動機器向けに、バッテリ設計期間を大幅に短縮するオールインワンのバッテリマネジメントシステム開発用「R-BMS F(Renesas Battery Management System with Fixed Firmware)ソリューション」を発売しました。本ソリューションは、2~4セルと3~10セルの2種類のオールインワンキットとして提供します。キットには、アナログフロントエンドとマイコンを内蔵した電池残量管理IC(FGIC)、事前検証済みのファームウェア、モニタリング用ソフトウェアツール、パラメータ設定ツール、マニュアルなどのドキュメント一式と、評価ボードなどが含まれます。これにより、バッテリ開発に要するリソースを大幅に削減し、安全で電力効率の良いバッテリマネジメントシステムを迅速に設計できます。

事前検証済みのファームウェアで開発期間を短縮

 ファームウェアは、バッテリの充電状態(SoC)や健全状態(SoH)、電流、温度を監視し、各電池セルの電圧のバランスを取りながら、不具合を検出する役割があるため、バッテリマネジメントシステムに不可欠な要素です。一方で、バッテリを安全な温度域で動作させ、充電や放電を繰り返しても十分なバッテリ寿命を確保する制御アルゴリズムを開発するためには、高度な専門知識が求められます。

 本R-BMS Fソリューションには、FGICに内蔵されているマイコン用に設計された事前検証済みのファームウェアが搭載されています。このファームウェアは、バッテリ寿命を最大限に延ばし、安全な動作を確保するための機能が事前に実装されています。これには、セルバランシング、電流、電圧、温度の監視なども含まれます。さらにGUI(Graphical User Interface)ツールによって特定の要件に応じた各種パラメータを設定することができるため、統合開発環境(IDE)を使用することなく、さまざまなセル構成に対応するよう柔軟に調整することができます。

 ルネサスの執行役員兼パワー担当ジェネラルマネージャであるChris Allexandreは 次のように述べています。「高度なパワーマネジメントソリューションを設計する上で特に大きな障害となるのが、ファームウェアの開発と検証という複雑な作業です。あらゆる企業が、独自にアルゴリズムを開発できるほどの専門知識や社内リソースを備えているとは限りません。そこでルネサスは、マイコンのプログラミングや高度なバッテリ管理設計に関する技術的な専門知識がなくてもバッテリマネジメントシステムを実現できるオールインワンのソリューションを開発しました。」

オールインワンのR-BMS Fソリューション

 R-BMS Fソリューションの中核となるFGICは、アナログフロントエンドと超低消費電力のマイコンRL78を一つの小型パッケージに搭載しています。アナログフロントエンドでは、セル電圧、電流、温度の正確な測定に加えて、外付けMOSFETの制御、アナログデータからデジタル信号への変換を行います。マイコンには、CPU、クロック、タイマ、シリアルインタフェースなどの機能が搭載されています。事前検証済みファームウェアは、マイコン内のフラッシュメモリに格納されています。この他、USBシステムマネジメントバス(SMBus)変換基板、GUIツール、ホストシステムとの通信用ケーブル、回路図や部品表(BOM)を含むドキュメント一式と、評価ボードが含まれています。これにより、バッテリの使用状況を安全に監視し、バッテリ寿命を延ばしながら、環境への影響を低減するインテリジェントなパワーマネジメントシステムを迅速にかつ安心して開発できます。ルネサスは、今後全てのFGICにターンキーR-BMS Fソリューションを導入する予定です。

2~4セルソリューション(RTK0EF0163DK0002BU)

 2~4セル(最大8V~16V)用のR-BMS Fは、FGIC「RAJ240055」を搭載し、小型掃除機などの民生機器やヘルスケア機器に適しています。ウィニング・コンビネーションとして、FGICと様々なデバイスと組み合わせた「スマートロボット掃除機」ソリューションを提案しています。

3~10セルソリューション(RTK0EF0136DK0002BU)

 3~10セル(最大12V~40V)用のR-BMS Fは、FGIC「RAJ240100」を搭載し、電動自転車、電動モビリティ、掃除機、ロボット、ドローンなど、産業、民生、医療用システムなど幅広い用途に適しています。本ソリューションは、3~8セルFGIC「RAJ240090」 用にも使用できます。ウィニング・コンビネーションとして、複数の入力および出力オプションを備えた「ポータブル電源システム」ソリューションや、7セルのバッテリパックで最大140Wの電力を供給する「USB PD 140W 充電器のバッテリ管理」ソリューションを提案しています。

 新製品の詳細はこちらのwebサイト2~4セルソリューション(RTK0EF0163DK0002BU) と、3~10セルソリューション(RTK0EF0136DK0002BU)をご覧ください。

 なおルネサスは、2025年3月16~20日に米国ジョージア州アトランタで開催されるApplied Power Electronics Conference(APEC)のルネサスブース(ブース番号2021)に、本ソリューションのデモを出展する予定です。

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする