ルネサスのHVACシステムは、モータ制御、センシング技術により快適・省エネを実現します。ビルディング・オートメーションにおけるHVACシステムは、セントラル空調方式、個別空調方式に分類できます。ルネサスは半導体ソリューションをご提供いたします。
セントラル空調方式
右図に示すセントラル空調方式とは、一箇所で作られた熱源を各部屋まで、空気、水または蒸気を循環・熱交換させ、部屋を設定温度に冷暖房する仕組みです。
冷凍機(チラー)で冷やした冷水はAHU(Air Handling Unit)にポンプにて搬送され、そこで熱交換を空気と行い冷風を作りダクトを通じ各部屋を冷房します。温められた冷水は冷凍機に戻り再び冷やされますが、その際熱の媒介をしたフロン冷媒等は蒸発し圧縮機に送られそこで高温高圧のガス状態になります。このガスを液化させる為冷却水が使われますが、凝縮器で熱交換を受けた冷却水は屋上の冷却塔に送られ空気と接触させて温度を下げ、再び冷凍機まで戻るサイクルを繰り返します。熱源機(ボイラー)は、ガス、油、および電気を使って、容器に入った水を加熱し、温水または蒸気を作ります。部屋を暖めるには、この温水または蒸気を各部屋に循環・熱交換させています。
冷水・温水を循環させるための配管数によって2管式と4管式に分類することができます。 AHU(Air Handling Unit)やFCU(Fan Coil Unit)などへ分配する冷水・温水の配管が、往路/復路で2管式の場合、冷水と温水を季節により切り替えることで、冷房と暖房を実現しています。したがって、冷暖房を同時に運転することができません。その一方で、AHUやFCUに内蔵されている冷却コイル、加熱コイルにそれぞれ往路/ 復路の配管がある場合、同一ビル内においても、冷暖房同時運転が可能となります。配管数の合計から、4 管式と呼ばれています。
室内の空気を屋外に排気(換気)するとき、熱、および冷気を取り除き、屋外から取り入れた新鮮な空気に、その熱や冷気を伝えることで、 外気との温度差を最小にするのが、外調機(全熱交換機)です。
AHU は、空気調和機とも呼ばれ、熱源装置から供給される冷水、温水、蒸気を用いて、空気の温度、および湿度を調整し、各部屋へ供給する装置です。
HVACシステムで、熱交換する媒体として、空気、水、冷媒があります。セントラル空調の空冷方式では、VAV(Variable Air Volume)式があり、ダクトを通じて冷却(熱した)した空気の量を、バルブで調整する方法を言います。水冷方式では、冷水・温水を循環させ、FCUで熱交換し、部屋の温度を調整します。
個別空調方式
個別空調方式では、冷媒ガスを循環させて熱交換する仕組みを利用しており、その代表例としてビル用マルチエアコンがあります。各部屋ごとに設定温度を変えることができ、冷暖房同時運転が可能となる特長があります。ビルの規模、目的によって、セントラル空調と個別空調を組み合わせて採用しているケースもあります。
Additional Information
各空調方式で使われるモータの制御対象となる機器を下表に示します。省エネへの要求から、モータ可変速制御でのインバータ適用、ブラシレスDCモータ化が進んでいます。また、室内機や室外機では一つの機器内で複数のモータを制御する場合があります。