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自社開発の32ビットRISC-V CPUコアを搭載した第一弾の汎用マイコンを発売

〜開発環境および量産出荷体制の整備が完了、RISC-Vマイコンは現実的な選択肢に〜

2024年3月26日

  ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、自社開発の32ビットRISC-V CPUコアを搭載した第一弾の汎用マイコン「R9A02G021」を発売、量産を開始しました。近年、多くのマイコンメーカがRISC-V製品の開発を推進しているなか、ルネサスはいち早く独自にRISC-Vコアを開発し、テストを経て、マイコン製品へ実装しました。そしてこのたび、開発環境および量産出荷体制の整備が完了し、提供を開始しました。この新RISC-Vマイコンにより、ユーザは消費電力とコストを重視した幅広いアプリケーションの開発に際し、オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)に基づくRISC-Vを選択肢の一つとして選ぶことができるようになります。ルネサスは今後も、RISC-Vマイコンの拡充を図る計画です。

 従来ルネサスは、RISC-V製品としてアンデス社のCPUコアを搭載した32ビット音声認識用ASSPモータ制御用ASSP、および64ビット汎用マイクロプロセッサのRZ/Fiveを提供しています。新製品は、32ビットの汎用マイコンとして、IoT機器やコンシューマエレクトロニクス、小型家電、ヘルスケア機器、産業機器などの幅広い用途に使用できます。ユーザは、RAファミリやRXファミリなどの汎用マイコンと同様に、ルネサスとパートナ企業が提供する開発環境を利用することができるため、開発工数やコストを低減し、開発期間を短縮可能です。

 ルネサスのエンベデッドプロセッシング第一事業部、事業部長のDaryl Khooは次のように述べています。「ルネサスは、ASSPからこの汎用マイコンに至るまで、RISC-Vアーキテクチャを活用しつつ、お客様が迅速に量産まで移行できることを目指してきました。お客様は時に、複雑な設計課題を解決する上で、性能、消費電力、メモリ、CPUの選択において妥協せざるを得ない状況がありますが、ルネサスはオープンアーキテクチャ製品を使いたいと考えているお客様に、RISC-Vマイコンという選択肢を提供します。」

 Yole Group のメモリ&コンピューティング事業部、半導体のプリンシパルアナリストであるTom Hackenberg氏は次のように述べています。「これまで、RISC-Vの重要な潜在市場であるマイコン市場には、市場の約85%を占める大手マイコンサプライヤから商用となる強力な製品が提供されていませんでした。今、ルネサスがその多様なマイコン製品群にRISC-Vマイコンを投入し、業界標準のツールサプライヤが必要なサポートを提供することで、RISC-V市場はようやく成長を加速し始める態勢が整いました。他の主要ベンダがルネサスに倣うことで、RISC-Vは2029年末までにマイコン市場全体の10%に近づき、その後も大きな成長が期待できます(注1)。」

性能と消費電力のバランスを確保

 新製品は、最大動作周波数48MHzの性能でありながら、スタンバイ時の消費電力は0.3µAと極めて低く、性能と消費電力のバランスを確保しました。128KB(キロバイト)の高速フラッシュメモリ、16KBのSRAM、4KBのデータ保存用フラッシュメモリを備えており、-40℃~125℃の広い温度環境で確実に動作します。また、A/DコンバータおよびD/Aコンバータを搭載し、標準的なシリアル通信インタフェースを装備しています。これらにより、センサ、ディスプレイ、その他外部モジュールと高速かつ確実に接続可能です。さらに、入力電圧範囲が1.6V~5.5Vと広いためノイズ耐性も高く、低電圧・低電流動作も可能でバッテリ駆動機器にも適しています。

RISC-VマイコンR9A02G021の主な特長

  • CPU: 最大動作周波数48MHz、3.27 Coremark/MHzのRISC-Vコア -
  • メモリ: 128KBコードフラッシュ、16KB SRAM(うちECC 付き4KB)、4KBデータフラッシュ
  • 消費電力: 162µA/MHz(アクティブ)、0.3µA(SWスタンバイ)
  • ウェイクアップ時間:4µs(SWスタンバイモードからの復帰時間)
  • シリアル通信インタフェース: UART、SPI、I2C、SAU(シリアルアレイユニット)
  • アナログ周辺機能: 12ビットA/Dコンバータ、8ビットD/Aコンバータ
  • 動作温度範囲: -40℃~125℃(周囲温度:Ta)
  • 動作電圧範囲: 1.6~5.5V
  • パッケージ: 16 WLCSP、24/32/48 QFNパッケージ(QFPオプション)

開発環境

 新製品は、ルネサスの統合開発環境(IDE)e² studioによりサポートされており、ユーザは無償で使用できます。この他、コードコンフィグレータ、LLVMコンパイラ、高速プロトタイピングボード(FPB)を含む一連のツールチェーンを用意しました。また、ルネサスのパートナからも開発環境が提供され、IARはIAR Embedded Workbench とデバッグプローブI-jetを、SEGGERはEmbedded Studio、デバッグプローブJ-Link、フラッシュプログラマFlasherを提供します。ドキュメントとして、FPBのユーザマニュアル、スターターガイドに加え、FPBの回路図、部品表(BOM)、ガーバーファイルもダウンロードできます。

ウィニング・コンビネーション

  ルネサスは、新製品のRISC-Vマイコンと、ルネサスの多数の製品(DC/DCコンバータRAA211412、シグナルコンディショナZSSC3224/3240、IGBTドライバRV1S9231A、IGBT RJH60T04DPQ、Wi-Fi SoC DA16200など)を組み合わせた「スマート圧力鍋」ソリューションを開発しました。インターネットに接続してアップデートが可能な最新の家電向けに、コスト効率が高くコンパクトなモジュール型のソリューションです。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせてエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。renesas.com/win

RISC-Vマイコン「R9A02G021」の詳細は、こちらをご覧ください。https://www.renesas.com/R9A02G021
RISC-Vデバイスに関するブログは、こちらをご覧ください。「RISC-V Unleashes Your Imagination(英語)

ルネサスのマイコンについて

  ルネサスは、年間35億個以上を出荷する世界トップクラスのマイコンメーカです。約50%が自動車向けであり、他に産業用やIoT機器、データセンタ、通信インフラ向けに提供しています。8ビット、16ビット、32ビットの幅広いラインアップを展開し、比類のない性能と品質、電力効率を誇ります。信頼できるサプライヤとして、スマートでセキュアなマイコンを設計してきた数十年の経験を持ち、デュアルファブ生産モデルや、業界最先端のプロセス技術、250社以上のエコシステムパートナも有しています。詳しくはrenesas.com/MCUsをご覧ください。

以 上

(注1)出典:The Microcontroller Market Monitor, 2024 Q1 Edition, Yole Intelligence

*ArmとArm Cortexは、EUとその他の国におけるArm Limitedの商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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