ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、自動車メーカが低コストのアナログ用ケーブルやコネクタでHDビデオ映像を伝送できるようにするオートモーティブHDリンク(AHL)対応製品を拡充し、4つの入力ソースを同時に処理できる4チャネル対応AHLビデオデコーダ「RAA279974」のサンプル出荷を開始しました。従来ルネサスは、1チャネル対応のエンコーダ「RAA279971」とデコーダ「RAA279972」を発売しています。今回の新製品が加わることにより4映像まで1チップで同時にデコードすることができるため、サラウンドビューやマルチカメラのアプリケーションは、よりシンプルなシステム構成が可能となります。
ルネサスは、新製品の評価ボードに加えて、これと組み合わせて使用できる、4台のカメラと4つのAHLエンコーダ「RAA279971」を搭載したカメラキット「RTKA279974ZK0000BU」も提供を開始しました。これにより、早期にシステムの開発、評価が可能です。
ルネサスのアナログ&コネクティビティプロダクトグループのVice PresidentであるDavin Leeは次のように述べています。「多くのお客様にとって、マルチカメラによる安全システムは急速に必須の機能となりつつあります。AHLシステムにより、自動車メーカはエコノミーモデルを含むすべての新車にこれらの機能を搭載することができるようになります。」
AHLを使ったウィニング・コンビネーション
多くの自動車メーカは、サラウンドビューによる駐車用補助モニタシステムなどに向け、複数の車載カメラをサポートする必要があります。AHLは、ルネサスの車載用SoC「R-Car」、車載用マイコン「RH850」、車載用PMIC(パワーマネジメントIC)などとの組み合わせが可能で、様々な安全機能をコスト効率よく車両に実装することができます。ルネサスは、ビデオシステムをユーザが迅速に実装できるよう、「AHL搭載駐車支援システム」や「サラウンドビュー& AR-HUD用ビデオ出力拡張ソリューション」など、ルネサスのコンポーネントを組み合わせて事前に設計検証したウィニング・コンビネーションを提案しています。
ルネサスのAHL技術について
ルネサスのAHL技術は、変調アナログ信号を用いて映像を伝送します。HD信号をデジタル伝送する場合と比べ、必要な伝送レートは約10分の1であり、非シールドのツイストペアケーブルや標準コネクタで、長い伝送距離(最大30m)に対応できます。既存の標準画質のアナログビデオケーブルとコネクタも使用できます。非シールドのツイストペアケーブルを使用することにより、コストを削減できるだけでなく、車両内の配線が容易になり、軽量化によりエネルギ効率も向上します。一方、SerDesなどのデジタルリンクでは、厳重にシールドされた高価なケーブルやコネクタが必要となる上、5〜7年で交換が必要になる場合もあります。
AHLはノイズに強く、優れた画質を提供します。アナログ信号の基本的な性質により、AHLビデオ伝送はノイズや干渉に対して優れており、デジタル伝送はノイズや干渉により映像が途切れますが、AHLはそのような環境下でも良好なライブ映像を映し出し、より高い安全性を実現します。
AHLの主な特長
- HD映像では最大1080p/30fps、VGA映像では最大720p/60fpsの解像度をサポートし、16:9以外のアスペクト比にも柔軟に対応可能
- MIPI-CSI2、BT656、DVPの各入出力信号処理により、新旧のイメージセンサに対応できる柔軟なインタフェースを装備
- AHLは、イーサネット方式のような圧縮を必要としないため、低遅延で伝送可能
- PLL内蔵により、27MHzの水晶クロックのみで、高解像度に必要なクロック周波数を生成できるため、コストを削減可能
- AHLは、UTPケーブルを使用したBCIおよびCISPR25 EMC/EMIテストに合格済み
- AHLは、低コストのツイストペアケーブルが使用可能なため、ケーブルとコネクタを合わせて約30%コスト削減可能
- バーチャルチャネル付きのMIPI-CSI2出力により、4チャネルのビデオを1つのデータバスインタフェース経由でSoCに送信可能(SoC上の入力ポートを節約可能)
新製品の詳細については、こちらをご覧ください。http://www.renesas.com/RAA279974
以 上
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