環境活動
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化学物質への対応
半導体製造プロセスでは、健康・安全・環境リスクをもたらす物質や材料を使用しています。
ルネサスは、半導体製造に関わる環境リスクの軽減に取り組んでいます。そのため、法規制や顧客要求事項を遵守しつつ、使用量の削減、代替化、適正な処理に注力しています。
化学物質管理と体制の構築
ルネサスは、グリーン調達や法規制情報に基づく化学物質データベースを基盤として各種アセスメントを実施しています。さらに使用している化学物質の総量を把握するとともに、有害性という観点から使用量と排出量を管理し、削減に努めています。このようにしてグリーン製品やエコファクトリーにつながる研究・開発を行っています。
PRTR※1法やVOC※2対象物質については、少量部分の取扱量まで正確な収支管理を行い、収支結果は行政へ報告するだけでなく、解析し、化学物質の代替化や排出量削減に向けた活動にフィードバックしています。
ルネサスは、2023年4月に施行されたPRTR法の一部改正に伴い、改正の対象となる物質を特定するとともに、部材サプライヤーと協業してSDS※3の整備を進め、2023年3月末に改正PRTR法に対応した管理体制を整え、管理を開始しています。
※1 Pollutant Release and Transfer Register:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出量把握管理促進法)
※2 Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物
※3 Safety Data Sheet:危険性や有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡または提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を記載した文書
化学物質収支(日本国内):PRTR 第1種指定化学物質
取扱量総計(日本国内)上位6位までを列記
対象期間:2023年1月1日~2023年12月31日
単位:ton/年
政令番号 | 化学物質名 | CAS番号 | 取扱量 | 排出量 | 移動量 | 消費量 | 除去処理量 | リサイクル (売却含む) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 公共用水域 | 土壌 | 下水道 | 廃棄物 | |||||||
374 | ふっ化水素及びその水溶性塩 | NONE | 697 | 2 | 32 | 1 | 43 | 0 | 435 | 184 | |
677 | テトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド | NONE | 154 | 0 | 8 | 3 | 20 | 123 | 0 | ||
232 | N,N-ジメチルホルムアミド | 68-12-2 | 59 | 0 | 0 | 13 | 46 | ||||
746 | N-メチル-2-ピロリドン | 872-50-4 | 35 | 1 | 20 | 0 | 1 | 12 | |||
20 | 2-アミノエタノール | 141-43-5 | 34 | 0 | 6 | 0 | 28 | ||||
80 | キシレン | NONE | 33 | 2 | 8 | 10 | 7 | 6 |
使用量・排出量の把握と管理区分の導入
ルネサスは、環境保全活動の最重点課題の一つとして「環境負荷を低減した製品の提供」を推進しています。この実現には、製品を構成する部品や材料などの環境負荷の低減が不可欠です。この為、グリーン調達や法規制情報に基づく化学物質データベースを基盤とした各種アセスメントを実施し、使用化学物質の総量を把握するとともに、有害性という観点から使用量と排出量を管理し、削減に努めています。
また、グローバルの環境負荷物質に関する法規制動向やお客様の要求等を考慮して、化学物質を「禁止」「削減」「管理」「構成」の4区分に分類し、部品材料(容器、梱包材、付属品を含む)の選定・購入段階からの化学物質管理、製造工程での化学物質管理、および製品含有化学物質の管理を実施しています。管理区分については、適宜見直しを行っています。
化学物質の定義 | 管理区分 | |
---|---|---|
ルネサス 管理化学物質 | 1. 製品への含有、及び製造工程での使用を禁止する物質 | 禁止物質 |
2. 製品含有量、及び製造工程での使用量、環境への排出量の自主目標をたて、削減を推進する物質 | 削減物質 | |
3. 使用、在庫、排出、移動の量の管理を行うべき物質 | 管理物質 | |
4. 構成材として把握しておく必要がある物質 | 構成物質 |
部品や材料の化学物質については、全社購買情報と連携した「化学物質管理システム」により、少量部分の取扱量まで正確な収支管理を行っています。また、お客様からの製品の環境負荷に関するお問い合わせへの迅速な対応に活用しています。
製造工程の化学物質管理では、化学物質に係る環境関連法令、当社規則の遵守および環境事故防止を目的として、2017年3月にガイドラインを設定し、各拠点・事業所の化学物質管理を強化しています。
VOC 排出量削減活動
ルネサスは、イソプロピルアルコールやキシレンなどのVOCについては、有機系排ガスを処理する設備にて可能な限り無害化したのちに工場から放出しています。当社はすべての事業において VOC の排出を削減するために継続的に努力します。製造プロセスの最適化や効率的な生産設備の運用を行い、継続してVOC排出量削減に取り組んでいます。
日本では、2006年に改正された大気汚染防止法の目標(2010年3月までに揮発性有機化合物(以下、VOC)の排出量を2000年度比で30%削減)を踏まえ、段階的に削減を進め、VOC排出量を2010年度において2000年度比で36%削減することができました。以降は排出量を2010年度以下に抑制することを目標に定め、2023年度実績では、VOC排出量は2010年度から約60%の削減を実現しています。
オゾン層の保護
ルネサスは、モントリオール議定書の附属書に掲げられているCFC※4やHCFC※5といったオゾン層破壊物質(ODS※6)については、製造工程での使用を全廃しています。さらに、冷凍機や冷蔵庫、エアコンなどで使用されている冷媒用のフロンについてもモントリオール議定書の規制に合わせて計画的に使用量の削減、代替物質への切り替えを推進するとともに対象機器の廃棄時にはODSを回収し、破壊処理の実施を徹底しています。冷媒用途についても、CFCを使用した機器は大型の冷凍機から小型の冷蔵庫類に至るまで計画的に低破壊係数の冷媒を使用した機器への更新を図り、2024年度で全ての処分が完了しています。
※4 CFC:Chlorofluorocarbons
※5 HCFC:Hydrochlorofluorocarbons
※6 ODS:Ozone-depleting substances
環境関連法規への対応
ルネサスの半導体製品は、多くの製品に搭載され、世界各国で使用されます。このため、製品に係る環境関連法規を遵守すべく主要国の法規制の情報を入手し、当社グループ製品に反映させるとともに、お客様へタイムリーに化学物質の含有情報などを展開しています。
国際的に準拠が求められているPOPs条約※4の付属書に掲載されている物質については、日本では化審法等の法律に反映され、POPs条約が担保されています。当社では、POPs条約で付属書A(廃絶)に指定された物質が化審法の第1種特定化学物質として反映された段階で随時、ルネサス化学物質管理区分「禁止」に指定し、グローバルに共有するとともに遵守を徹底しています。
※4 POPs条約:Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)
有機フッ素化合物への対応
ルネサスは、半導体製造工程で界面活性剤として有機フッ素化合物を含む材料を使用しています。近年、有機フッ素化合物は環境中での残留性や生体蓄積性、長距離移動性が懸念されており、POPs条約※4など国際的に規制が強化されているなか、当社は技術部門と連携しながら順次、環境負荷の低い材料への切り替えを進めています。
半導体製造においては、有機フッ素化合物の使用が非常に重要な役割を果たしていますが、前述の規制強化により、2009年には、PFOS (ペルフルオロオクタンスルホン酸) とその塩、及びPFOSF (ペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド) が、POPs条約の附属書B (制限) に追加され、日本国内においても化学物質の審査及び 製造等の規制に関する法律 (化審法) における第1種特定化学物質に指定されました。2019年には、PFOA (ペルフルオロオクタン酸) とその塩、及びPFOA関連物質が、POPs条約の付属書A(廃絶)に追加され、国内では2021年にPFOS同様、化審法第1種特定化学物質に指定されました。
ルネサスでは、材料サプライヤとともに積極的に環境負荷の低い代替物質への切り替えを進め、半導体製造工程で使用されるPFOS含有材料については、2010年までに、PFOSを含まない材料への代替化を完了しています。また、PFOA含有材料についても、材料サプライヤと協力し、2020年をもって使用を全廃いたしました。その他、PFHxS (ペルフルオロヘキサンスルホン酸) とその塩及びPFHxS関連物質やパーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物 (PFAS) といった有機フッ素化合物の広範囲な規制の動向においても、継続的に積極的な対応を進めてまいります。
主要な日本以外の環境関連法規とルネサスの対応状況
欧州のRoHS指令※5やELV指令※6では、含有禁止物質の閾値(しきいち:規格値または限界値)が定められています。このため、半導体製品を構成する部材について、お取引先様から分析データと禁止物質非含有報告書などをいただくとともに、当社グループにおいても製品の分析をすることで閾値以下であることを確認しています。
※5 RoHS指令:電気・電子機器に対する特定有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、臭素系難燃剤(PBB、PBDE)、フタル酸エステル類(DEHP、BBP、DBP、DIBP))の含有を制限するEUの指令
※6 ELV指令:自動車に対する鉛、水銀、カドミウム、六価クロムの含有を制限するEUの指令
当社の法規制への対応状況
中国での取り組み
中国の電器電子製品有害物質使用制限管理弁法(改正中国版RoHS)では、指定された有毒・有害物質を含有する場合はその物質と環境保護期限(安全に使用できる期限)の表示を最終製品に行うことを求めています。半導体製品は、電器電子製品の最終製品ではなく、直接マークを表示することは行わず、物質の種類ごとの含有情報や環境保護期限については、販売会社および特約店を通じてお客様への情報提供を行っています。
欧州での取り組み
ルネサスの半導体製品は、化学物質を意図的に放出することのないアーティクル(完成品)のため、欧州REACH規則※7の登録義務はありません。ただし、高懸念物質(SVHC※8)の含有情報については、サプライチェーンから情報を入手し、お客様に提供しています。
今後も、日本以外の法規制に係る情報の把握に努め、適切に対応していきます。
※7 REACH 規則:EU域内にて化学品を製造、輸入する場合に登録、評価、認可、制限を義務付ける規則
※8 SVHC:高懸念物質(健康や安全に害をおよぼす恐れのある物質)
SDGsへの貢献
ルネサスグループの化学物質への対応に向けた取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
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